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「改憲」で幼稚園から大学まで「教育無償化」案、憲法で定める意味はあるの?
2017年01月16日 10時02分

幼稚園から大学までーー。安倍晋三首相が2016年10月、自民党の保岡興治憲法改正推進本部長と会談した際、改憲の項目の例として、日本維新の会の憲法改正原案に盛り込まれた「教育無償化」を挙げていたことを毎日新聞(1月11日)が報じた。

維新の案では、義務教育以外の幼稚園や保育所、高校、大学、専門学校などを想定している。一方で、民進党は「法整備で実現できる」として、教育無償化のために憲法を改正することには慎重な姿勢を示している。

現在の法制度のもとでは、教育費はどこまでが「無償」とされているのか。大学まで無償化するために、憲法改正は必要なのか。憲法問題に詳しい村上英樹弁護士に聞いた。

幼稚園から大学までーー。安倍晋三首相が2016年10月、自民党の保岡興治憲法改正推進本部長と会談した際、改憲の項目の例として、日本維新の会の憲法改正原案に盛り込まれた「教育無償化」を挙げていたことを毎日新聞(1月11日)が報じた。

維新の案では、義務教育以外の幼稚園や保育所、高校、大学、専門学校などを想定している。一方で、民進党は「法整備で実現できる」として、教育無償化のために憲法を改正することには慎重な姿勢を示している。

現在の法制度のもとでは、教育費はどこまでが「無償」とされているのか。大学まで無償化するために、憲法改正は必要なのか。憲法問題に詳しい村上英樹弁護士に聞いた。

●憲法で「無償」とされているのは、「小中学校」の「授業料」

「『幼稚園から大学までの教育を無償にするために憲法改正をする必要があるか?』といえば、その必要はありません」

村上弁護士はこのように指摘する。なぜだろうか。

「憲法26条2項が『義務教育は、これを無償とする』と定める意味は、国は義務教育(小中学校)の授業料を取ってはいけないという意味です。

つまり、憲法26条2項の『無償』とは授業料のことと考えられています。それ以外の費用、例えば、教科書代、クラブ活動費や給食費などは、憲法がいう『無償』の対象ではありません。もっとも、教科書は法律で『無償』とされています。

義務教育以外(幼稚園、高校、大学)の授業料をどうするかは、憲法に定めがないので、法律で決めることができます。授業料をとることもできるし、無償にすることもできる、ということです。

ですので、幼稚園から大学までの授業料を無償にするという政策を実現しようと思えば、憲法改正をしなくても法律で実現可能です」

では、憲法にそうした項目をつくることに、何か意義はあるのか。

「憲法を改正して、幼稚園から大学までの授業料を無償にするという意見は、とても教育に積極的な意見です。

『幼稚園から大学までの授業料を無償にする』と憲法に書けば、そのときどきの政府が授業料を取ることにしようと思ってもできないことになります。確かに、国民に対して、手厚い教育を保障するという意味があります。

ただ、現実には、法律を作るのと違って、憲法を改正するには国民投票など特別な手続が必要で時間も相当かかります。数年で実現することは難しいでしょう。

なので、政策として教育無償化を早期に実現するためならば、憲法改正をしなくても、法律をつくって実施することで可能ですし、それが現実的です。

私の意見としても、国民がより充実した教育を受けやすいように無償の範囲を拡大することは賛成です。法律を整備して早期に無償教育が拡大させられたらいいと思います。

その上で、憲法改正して教育無償化の範囲を拡大する定めを作る必要があるかどうかは、時代の流れを見ながらじっくり検討するのが良いと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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