4044.jpg
「生まれ育った日本にいさせて」タイ人少年「退去処分」取り消し請求認められず
2016年06月30日 18時30分

日本で生まれ育ったタイ人の少年らが、入国管理局の退去強制処分の取消しを求めていた訴訟で、東京地裁は6月30日、少年側の請求を棄却する判決を下した。少年側は「判決は不当だ」として控訴する方針。

日本で生まれ育ったタイ人の少年らが、入国管理局の退去強制処分の取消しを求めていた訴訟で、東京地裁は6月30日、少年側の請求を棄却する判決を下した。少年側は「判決は不当だ」として控訴する方針。

●「在留特別許可」が認められず

この少年は、山梨県甲府市の高校2年ウォン・ウティナン君(16)。2000年に甲府市で生まれたが、タイ人の母親が不法滞在であることなどから、小学校に通わなかった。その後、甲府市の人権団体から日本語の学習支援を受けて中学校に編入し、日本の学校生活にも慣れた。

ウティナン君は2013年夏、東京入国管理局に「在留特別許可」を申請したが、2014年に退去強制処分を下された。ウティナン君と母親は2015年、国を相手取って、処分の取り消しを求めて提訴した。現在は、一時的に入管施設の収容から解放される「仮放免」という状態がつづいている。

●ウティナン君「タイに居場所はない」

東京地裁の岩井伸晃裁判長は判決で、入国管理局が在留特別許可を与えず、退去強制処分を下した処分について、「裁量権の範囲の逸脱や乱用は認められない」として、ウティナン君側の請求を棄却した。

判決後、ウティナン君は東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開き、「十分覚悟していたが、動揺している」と心境を語った。「日本は母国で、タイに行っても知っている人や居場所はない」「このまま日本にいさせてください」と訴えていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る