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不貞相手への慰謝料請求、「サレ」た配偶者の利益になっているか…金額相場は〈弁護士アンケート〉
2025年01月06日 10時18分
#不貞の慰謝料

古今東西、パートナーの不倫に悩む人は少なくない。怒りの感情も含む胸のうちは、パートナーの「相手方」に慰謝料請求することで晴らせるのか――。弁護士ドットコムでは「不貞の慰謝料請求」に関して、会員弁護士にアンケートで考えを聞いた。

日本では、不貞を働いたパートナーだけでなく、その相手方に対しても慰謝料請求できるが、相手方に対する慰謝料は「認めるべきではない」という学説があるほか、海外では相手方の不法行為責任が否定されている国もある。

また、裁判が進むにつれて、当事者のプライバシーに関する情報が掘り起こされて、泥沼化したり、結果として、期待していた慰謝料額に満たなかったりすることもある。

相手方に対する慰謝料請求は不倫された側にとって、本当に有益なのか。弁護士280人が回答した。

不貞の相手方に対する損害賠償請求を「認めるべき」とした弁護士は177人(63.2%)、「認めるべきでない」としたのは58人(20.7%)だった。

不貞の相手方に対する損害賠償請求が、依頼人にとって「利益となっている」としたのは158人(56.4%)、「利益になっていない」としたのは28人(10%)となった。

実際の慰謝料請求の結果、支払いが認められた場合の金額相場についても回答を得た。

古今東西、パートナーの不倫に悩む人は少なくない。怒りの感情も含む胸のうちは、パートナーの「相手方」に慰謝料請求することで晴らせるのか――。弁護士ドットコムでは「不貞の慰謝料請求」に関して、会員弁護士にアンケートで考えを聞いた。

日本では、不貞を働いたパートナーだけでなく、その相手方に対しても慰謝料請求できるが、相手方に対する慰謝料は「認めるべきではない」という学説があるほか、海外では相手方の不法行為責任が否定されている国もある。

また、裁判が進むにつれて、当事者のプライバシーに関する情報が掘り起こされて、泥沼化したり、結果として、期待していた慰謝料額に満たなかったりすることもある。

相手方に対する慰謝料請求は不倫された側にとって、本当に有益なのか。弁護士280人が回答した。

不貞の相手方に対する損害賠償請求を「認めるべき」とした弁護士は177人(63.2%)、「認めるべきでない」としたのは58人(20.7%)だった。

不貞の相手方に対する損害賠償請求が、依頼人にとって「利益となっている」としたのは158人(56.4%)、「利益になっていない」としたのは28人(10%)となった。

実際の慰謝料請求の結果、支払いが認められた場合の金額相場についても回答を得た。

●アンケートは弁護士280人が回答した

アンケート調査は2024年12月1日〜9日に実施して弁護士280人(男性223人/女性57人)が回答した。

280人のうち、不貞行為の「相手方」に対して、請求者側として慰謝料請求事案を扱った経験のある弁護士は230人だった。

事案を扱った経験のある230人に、不貞行為の相手方に対する慰謝料請求事案における依頼人(請求者側)について、夫と妻のどちらが多かったか聞いた。

回答は妻が夫を上回った。

「妻」 143人(62.2%) 、 「夫」 21人(9.1%) 、 「わからない・どちらとも言えない」66人(28.7%)

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●慰謝料額の相場はどうなっている?

続いて、事案を扱った経験のある230人に、請求者の代理人として担当して、不貞の慰謝料支払いが実際に認められた場合の金額の「相場」を尋ねた。

【慰謝料金額の相場】離婚に至らなかった場合の不貞の慰謝料金額の相場(判決を得た場合)

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「100万円以上150万円未満」97人(42.2%)、 「50万円以上100万円未満」 90人(39.1%)、 「50万円未満」 21人(9.1%)、 「150万円以上200万円未満」20人(8.7%)、 「200万円以上250万円未満 」2人(0.9%)

「250万円以上300万円未満」と「300万円以上」は0人だった。

●離婚に至らなかった場合の不貞の慰謝料金額の相場(判決を得ていない場合)

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「50万円以上100万円未満」 108人(47.0%)、 「100万円以上150万円未満」 82人(35.7%)、 「150万円以上200万円未満」 20人(8.7%)、 「50万円未満」 14人(6.1%)、 「200万円以上250万円未満」 4人(1.7%)、 「300万円以上」 2人(0.9%)

「250万円以上300万円未満」は0人だった。

●離婚に至った場合の不貞の慰謝料金額(離婚慰謝料+不貞慰謝料の合計額/判決を得た場合)

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「150万円以上200万円未満」103人(44.8%)、 「200万円以上250万円未満」 50人(21.7%)、 「100万円以上150万円未満」 49人(21.3%)、 「250万円以上300万円未満」 13人(5.7%)、 「50万円以上100万円未満」 13人(5.7%)、 「300万円以上」 2人(0.9%)

「50万円未満」は0人だった。

離婚に至った場合の不貞の慰謝料金額(離婚慰謝料+不貞慰謝料の合計額/判決を得ていない場合)

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「150万円以上200万円未満」96人(41.7%)、 「100万円以上150万円未満」62人(27.0%)、 「200万円以上250万円未満」39人(17.0%)、 「50万円以上100万円未満」 17人(7.4%)、 「250万円以上300万円未満」10人(4.3%)、 「300万円以上」 6人(2.6%)

「50万円未満」は0人だった。

●これまで答えた「相場」は高いと感じるか?

これまでに答えてきた「相場」について、高いと感じるか安いと感じるか聞いた。

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「やや安い」 69人(30.0%)、 「妥当」 54人(23.5%)、 「安い」 53人(23.0%)、 「わからない」 25人(10.9%)、 「やや高い」 17人(7.4%)、 「高い」 12人(5.2%)

「やや安い」「安い」と考える人が5割となった。

ここから先の質問は、回答した弁護士全員(280人)に聞いた。

●慰謝料請求認めるべき177人、認めるべきでない58人

不貞の相手方に対する慰謝料請求を認めるべきかを聞いた。

「認めるべき」  177人(63.2%)、 「認めるべきでない」  58人(20.7%)、 「どちらとも言えない」 45人(16.1%)

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任意で考えも聞いている。一部のフリーコメントを紹介する。

【認めるべき】

「性的自由を尊重すべきなので認めるべきでないという意見が傾聴に値すると思っているが、婚姻という契約の効果としては損害賠償請求は維持すべき」

「婚姻関係を法律上保護する以上、その破綻の原因となりうる不貞行為について、共同不法行為が成立するのは当然だと思う」

「消極的な理由。認めないと私刑が横行して社会が大変なことになる」

【認めるべきでない】

「婚姻外の第三者は、自由恋愛の当事者に過ぎない。特に著名人の場合、社会的非難が過剰である」

「結婚の当事者ではない人が、他人の結婚に対して責任があるのはおかしいと考えるから」

「貞操義務を負っているのは配偶者なので、配偶者にのみ責任を問えば良い」

●慰謝料請求は「依頼人」にとって真の利益となっているか

不貞の相手方に対する慰謝料請求が、「依頼人」にとって真の利益となっているかと聞いた。

「依頼人の利益になっている 」 158人(56.4%)、 「どちらとも言えない」    94人(33.6%)、 「依頼人の利益になっていない」28人(10.0%)

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任意で考えも聞いている。一部の回答を紹介する。

【利益になっている】

「法的に認められた権利であり、金銭支払いにより「被害者―加害者」構造が顕在化、明確化するという意味がある」

「日本の法律では自力救済や報復が認められていない以上、金銭請求ができて然るべきであるから」

【利益になっていない】

「依頼者が慰謝料に固執するものの、実際の離婚後の生活維持のためには、金銭的には不十分である。慰謝料以外の生活保持の方法を考えるべき」

「慰謝料額そのものが低く、『利益』としては『裁判を起こして溜飲を下げる』にとどまると思われ、そのために訴訟すべきではない」

●「現状のままで仕方がない」「不倫で大騒ぎする昨今の社会が気持ち悪い」

最後に、今回のテーマに関する考えを任意で求めた。フリーコメントの一部を紹介する。

「理論的には不貞相手に対する請求は認めるべきではないと思うが、実際には、当事者にとって必要な請求のようであるので、現状のままで仕方がないと思う」

「今よりも高額にして、不貞自体に否定的な社会とするか、あるいは不貞をした配偶者の離婚慰謝料のみにするか」

「離婚をされた妻が経済的に困難な状況となる現状では認めるべき。離婚後、養育費を踏み倒す男性も多く、シングルマザーの経済状況は厳しい。社会状況が変化して女性の所得が向上すれば不要としてもいい」

「この問題はとても難しい。総合的な解決は永久的に無理だと思う」

「慰謝料の相場額を上げないと、探偵の調査費用で赤字になり、被害者側が泣き寝入りしかねない」

「不貞行為に対する社会的な批判が強い現状からして、慰謝料請求できないとする考えは社会的な理解を得られないのではないか。慰謝料額も、これだけ不倫が叩かれる世の中なのであるから、もっと増額して行くことが相当と思われる」

「不貞相手への不貞慰謝料請求が原則として法的に成立するという実務は少なくとも不貞の関係者(最低でも3名)にも弁護士を除いた他の人々(国民)にとっても良いことはなく、コストの無駄遣いだと考えている。理論的にも問題多いのこの実務慣行は不貞相手への離婚慰謝料を否定した2019年最判が出たからには早急に無くなるべきである」

「配偶者に対する慰謝料請求はともかく、不貞の相手方に対する慰謝料請求は認めるべきではない。理由は、不貞の相手方に対する慰謝料請求を認めたところで夫婦間の愛情関係がより良く保たれるわけではないからである」

「不倫で大騒ぎする昨今の社会が気持ち悪い。人を好きになるという根源的欲求を婚姻で縛ることの正当性を考えてみてもいいと思う」

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