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メスイキ訴訟、堀江貴文さんが山本一郎さんに一部勝訴 「カルトビジネス」は名誉毀損…東京地裁
2022年08月08日 14時00分

ホリエモンこと実業家の堀江貴文さんが、ツイッターの投稿で名誉を傷つけられたなどとして、作家・投資家の山本一郎さんを訴えた裁判で、東京地裁(飛澤知行裁判長)は、その一部について名誉毀損の成立を認め、山本さんに11万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

「カルトビジネス」「メスイキ」という記載をめぐり、司法判断が出されたかたちだ。訴訟が提起されてからインターネット上で注目されていた。判決は8月4日。

ホリエモンこと実業家の堀江貴文さんが、ツイッターの投稿で名誉を傷つけられたなどとして、作家・投資家の山本一郎さんを訴えた裁判で、東京地裁(飛澤知行裁判長)は、その一部について名誉毀損の成立を認め、山本さんに11万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

「カルトビジネス」「メスイキ」という記載をめぐり、司法判断が出されたかたちだ。訴訟が提起されてからインターネット上で注目されていた。判決は8月4日。

●カルトビジネスと堀江さんを結びつける投稿は社会的評価を低下させる

堀江さんは今年に入って、山本さんのツイッター投稿(8件)によって名誉を傷つけられ、プライバシーも侵害されたとして、慰謝料をふくむ損害賠償49万5000円を求めて提訴した。

判決文によると、投稿のうち、不法行為が認められたのは、2020年10月27日の1件だ。

山本さんは、ある実業家の名前をあげたうえで「出資詐欺などを繰り返しトラブルを起こしていた反社会的勢力がネットで金集めは儲かるからと大手を振って進出してきた事案に見える」と記載したのち、それに続く形で「堀江貴文さんのようなカルトビジネス規制に繋がると思う」とツイートした。

東京地裁は、この投稿が、堀江さんがカルトビジネスをおこなっており、それが反社会的・犯罪的なものであるという事実を摘示するものであると判断。

山本さん側から、真実性および真実相当性について主張立証されなかったことから、名誉毀損の成立を認めた。堀江さんに関する「意見論評」であるという山本さんの主張は採用されなかった。

損害賠償11万円はすべてこの投稿に関するものである。

●「メスイキ」「野菜」「ケツの穴」なぜ名誉毀損にならないのか

一方、残りの7件の投稿については、不法行為の成立が認められなかった。

今回の裁判に先立って、堀江さんは2020年9月、広島県の餃子屋に入店しようとした際のマスク着用をめぐり、店側の対応を批判していた。これによって、店にいたずら電話が続き、一時休業するなどトラブルが発生。

これに関して、ツイッターに「ホリエモンが来店した時の正しい対処法『野菜突っ込んでメスイキさせる』」と投稿した者が現れ、堀江さんは発信者について、プロバイダに開示を求める訴訟を起こしていた。

裁判の中で、「メスイキ」とは、男性のオーガズムに関する性的な俗語表現を意味すると理解される「メスイキ」という性行為の一態様と説明される。

こうした発信者情報開示訴訟を受けて、山本さんは「堀江貴文(ホリエモン)が餃子屋に来店した時の正しい対処法は『野菜を(ケツの穴に)突っ込んでメスイキさせる』って記述で発信者情報開示請求って…こんなの受忍限度内じゃないのかな。」(2021年8月5日)などとツイートした。

堀江さんは、このような山本さんの投稿が「メスイキ」という性行為の一態様や、一般的に他人に知られたくない情報について発信され、名誉感情やプライバシーを侵害されたと主張していた(なお、プライバシー侵害は、指摘が真実であるか否かは成立に関係ない)。

判決は、「メスイキ」などと記載された別の人物による投稿記事について、堀江さんが開示請求訴訟を提起していたことを前提事実として、上記の山本さんの投稿などは、そうした裁判を起こしたという事実を摘示しつつ、感想を付加したものにとどまるものとした。

●裁判所「山本さんは堀江さんの性行為の態様を知る立場にない」

また、これら投稿のプライバシー侵害についても、山本さんが堀江さんの性行為の態様を知り得る立場にあるといった事情が認められないとした。

たとえば「いろんなもん出し入れしているくせに」という表現は「メスイキ投稿をめぐって別の開示請求訴訟が起こされているという事実を踏まえた単なる揶揄」であり、プライバシーを侵害するものと認められないとした。

山本さんは8月6日、自身のYouTubeチャンネルで、今回の判決を取り上げ、「敗訴した」と明るく報告した。

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