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「非常勤講師は最長5年まで」 早大の「就業規則変更」をどう見るべきか
2013年05月05日 13時07分

派遣社員、パート、非常勤講師……雇用期間を定めた非正規労働者に通底する恐怖の1つは「いつ首を切られるかわからない」点にある。事態改善に向け、この4月から有期雇用の労働者が5年を越えて働いた場合、無期雇用に転換できることを定めた改正労働契約法が施行された。

しかし、新たな法の施行は更なる論議を呼んでいる。例えば早稲田大学は3月19日、非常勤講師の就業規則について、これまで上限を決めていなかった通算の契約期間を最長「5年」に変更するとした。非常勤講師の労働組合は変更に反発し、「手続きに違法性がある」と主張しているが、同様に非常勤講師の通算雇用期間を5年までに制限しようとする動きは、他の大学でも見られるようだ。

早稲田大学のような非常勤講師の就業規則の変更は、法的に問題ないのだろうか。労働問題に詳しい波多野進弁護士に聞いた。

●労働者である非常勤講師にとって不利な変更

「これまで上限を決めていなかった通算の契約期間を最長5年に制限するということは、労働者である非常勤講師にとって不利な変更といえます」

このように指摘したうえで、波多野弁護士は次のように説明する。

「労働者に不利益な変更をするためには、法律で定められた手続が必要ですが、その手続きに不備があるとしたら、この就業規則の変更は拘束力を有しない可能性があります」

今回、早稲田大学が非常勤講師の雇用期間の上限を5年にしようとした背景には、労働契約法の改正があるとみられる。その点について、波多野弁護士は次のように語る。

「改正労働契約法の18条は、有期雇用の労働者が5年を越えて働いた場合に、無期雇用に転換できることを定めています。その趣旨は、有期雇用の濫用的な利用を規制し、労働者の雇用を安定させることにあると考えられています。

しかし通算雇用期間を5年までに制限すると、結果として、この『無期雇用への転換』を阻むことになるといえます。つまり実質的には、労働契約法18条の潜脱になる可能性があります。

今回の就業規則の変更は、ただちに違法であったり無効になるとまではいえないかもしれませんが、同条の趣旨に反すると評価できるでしょう」

●使用者が雇用契約の更新を拒絶できない場合とは?

今回のような有期契約の上限を5年とする就業規則は、どのような影響をもたらすだろうか。

「このような就業規則があると、非常勤講師は5年を上限に労働契約の更新を拒絶される事態になり、それをめぐる法的紛争を誘発する危険が高いと考えられます。ただ、5年を上限とする就業規則があっても、非常勤講師は労働契約法19条の適用を主張することが考えられます。

すなわち、実質的に無期労働契約と同視できる場合や、契約更新されるだろうという期待に合理的な理由があると認められたりする場合には、この19条によって、使用者側が契約更新を拒絶することは認められません」

このように波多野弁護士は説明し、「使用者による不合理な更新拒絶に対して、労働者は十分争う余地があります」と見解を述べている。

(弁護士ドットコムニュース)

派遣社員、パート、非常勤講師……雇用期間を定めた非正規労働者に通底する恐怖の1つは「いつ首を切られるかわからない」点にある。事態改善に向け、この4月から有期雇用の労働者が5年を越えて働いた場合、無期雇用に転換できることを定めた改正労働契約法が施行された。

しかし、新たな法の施行は更なる論議を呼んでいる。例えば早稲田大学は3月19日、非常勤講師の就業規則について、これまで上限を決めていなかった通算の契約期間を最長「5年」に変更するとした。非常勤講師の労働組合は変更に反発し、「手続きに違法性がある」と主張しているが、同様に非常勤講師の通算雇用期間を5年までに制限しようとする動きは、他の大学でも見られるようだ。

早稲田大学のような非常勤講師の就業規則の変更は、法的に問題ないのだろうか。労働問題に詳しい波多野進弁護士に聞いた。

●労働者である非常勤講師にとって不利な変更

「これまで上限を決めていなかった通算の契約期間を最長5年に制限するということは、労働者である非常勤講師にとって不利な変更といえます」

このように指摘したうえで、波多野弁護士は次のように説明する。

「労働者に不利益な変更をするためには、法律で定められた手続が必要ですが、その手続きに不備があるとしたら、この就業規則の変更は拘束力を有しない可能性があります」

今回、早稲田大学が非常勤講師の雇用期間の上限を5年にしようとした背景には、労働契約法の改正があるとみられる。その点について、波多野弁護士は次のように語る。

「改正労働契約法の18条は、有期雇用の労働者が5年を越えて働いた場合に、無期雇用に転換できることを定めています。その趣旨は、有期雇用の濫用的な利用を規制し、労働者の雇用を安定させることにあると考えられています。

しかし通算雇用期間を5年までに制限すると、結果として、この『無期雇用への転換』を阻むことになるといえます。つまり実質的には、労働契約法18条の潜脱になる可能性があります。

今回の就業規則の変更は、ただちに違法であったり無効になるとまではいえないかもしれませんが、同条の趣旨に反すると評価できるでしょう」

●使用者が雇用契約の更新を拒絶できない場合とは?

今回のような有期契約の上限を5年とする就業規則は、どのような影響をもたらすだろうか。

「このような就業規則があると、非常勤講師は5年を上限に労働契約の更新を拒絶される事態になり、それをめぐる法的紛争を誘発する危険が高いと考えられます。ただ、5年を上限とする就業規則があっても、非常勤講師は労働契約法19条の適用を主張することが考えられます。

すなわち、実質的に無期労働契約と同視できる場合や、契約更新されるだろうという期待に合理的な理由があると認められたりする場合には、この19条によって、使用者側が契約更新を拒絶することは認められません」

このように波多野弁護士は説明し、「使用者による不合理な更新拒絶に対して、労働者は十分争う余地があります」と見解を述べている。

(弁護士ドットコムニュース)

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