448.jpg
アマゾンに「星5つ」の評価を書いてお金ゲット――「捏造レビュー」の法的責任は?
2015年10月31日 09時57分

商品レビューに「星5つ」など、不当に高い評価を書き込んで「対価」を得る――。そんな捏造レビューの書き込みに対して、米アマゾン・ドット・コムが厳しい対応を講じている。

米アマゾンは今年4月、売り手やメーカーから依頼を受け、高い評価の口コミを有料で投稿していた業者を訴えた。さらに、米ニュースサイト「Tech Crunch」によると、このほど、オンラインでフリーランスのライターなどに仕事を発注できるサイトを通じて、5つ星のレビューを提供していた男性を訴えた。

米アマゾンが具体的にどんな請求をしているかは明らかではないが、実際に商品を使ったことがないのに賞賛するレビューを書くことは、法的にはどんな問題があるのだろうか。消費者問題に詳しい上田孝治弁護士に聞いた。

商品レビューに「星5つ」など、不当に高い評価を書き込んで「対価」を得る――。そんな捏造レビューの書き込みに対して、米アマゾン・ドット・コムが厳しい対応を講じている。

米アマゾンは今年4月、売り手やメーカーから依頼を受け、高い評価の口コミを有料で投稿していた業者を訴えた。さらに、米ニュースサイト「Tech Crunch」によると、このほど、オンラインでフリーランスのライターなどに仕事を発注できるサイトを通じて、5つ星のレビューを提供していた男性を訴えた。

米アマゾンが具体的にどんな請求をしているかは明らかではないが、実際に商品を使ったことがないのに賞賛するレビューを書くことは、法的にはどんな問題があるのだろうか。消費者問題に詳しい上田孝治弁護士に聞いた。

●「アマゾンの通販サイトそのものの信頼性に関わる」

「もし、日本でも同様に、アマゾンが捏造レビューを書き込んだ人に対して裁判を起こすとすれば、考えられるのは、不法行為に基づく損害賠償を請求する訴訟でしょう」

上田弁護士はこのように指摘する。

「利用者にとっては、アマゾンを信頼して買い物をするうえで、『実際に商品を購入した人』が利害関係なしに商品を評価するレビューがあることが、不可欠といえます。

そのため、アマゾンは、金銭を受け取ってレビューを投稿することや、商品の利害関係者がレビューを投稿することを禁止しています。

アマゾンからすれば、レビューの信頼性を揺るがすような『捏造レビュー』は、アマゾンの通販サイトそのものの信頼性に関わる問題といえるでしょう。

アメリカで訴訟が起こされたのは、そうした信頼性を揺るがす行為は『たとえ投稿者が個人であっても許すことはできない』というアマゾンの姿勢の現れではないでしょうか」

捏造レビューを書き込んだ人は、アマゾンに賠償しなければならないのだろうか。

「単なるレビュー投稿の削除だけでなく、損害賠償を請求するとなると、捏造レビューが投稿されたことによって、アマゾンに『損害』が生じていることが必要になります。レビュー投稿と損害の因果関係、損害の内容や性質が問題となります」

●捏造レビューを信じて購入した消費者は?

商品レビューに記載してある内容を信じて商品を購入した消費者については、どうだろう。

「実際に商品を購入したところ、投稿内容と全く異なる商品であったというような場合であれば、投稿者に対して不法行為を理由とする損害賠償請求ができる可能性があります。

もっとも、その個人によるレビューの内容が単なる抽象的な感想にとどまり、具体性を欠くような場合には、通常、そのレビューだけを根拠にして、消費者が商品を購入することはないでしょう。

そのような場合はレビューと購入との間に因果関係が認められず、損害賠償請求は認められないことになります」

上田弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る