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会社から「個人請負で働いてほしい」と言われたら・・・どんな点に注意すればいい?
2014年05月31日 14時35分

正社員、契約社員に派遣社員、アルバイト、パートタイマー・・・。世の中にはいろいろな働き方がある。最近ではこれに加えて、「個人請負」というスタイルも耳にするようになった。

採用面接に行ったら、「正社員として雇うのは難しいが、個人請負でなら働いてほしい」と言われた、なんていう話も聞く。この「個人請負」とは、いったいどんな意味なのだろうか。ほかの働き方と、どう違うのだろうか。労働問題にくわしい田村ゆかり弁護士に聞いた。

正社員、契約社員に派遣社員、アルバイト、パートタイマー・・・。世の中にはいろいろな働き方がある。最近ではこれに加えて、「個人請負」というスタイルも耳にするようになった。

採用面接に行ったら、「正社員として雇うのは難しいが、個人請負でなら働いてほしい」と言われた、なんていう話も聞く。この「個人請負」とは、いったいどんな意味なのだろうか。ほかの働き方と、どう違うのだろうか。労働問題にくわしい田村ゆかり弁護士に聞いた。

●「請負」は「雇用」とは全く違うもの

「まず、『個人請負』というのは法律用語ではありません。法律上は、『請負』という契約類型に含まれます。フリーのデザイナーなどの個人事業主が、会社などと請負契約を結ぶことを、一般に『個人請負』と呼んでいるわけです」

このように田村弁護士は切り出した。そして、働く際に使われる代表的な契約として、「雇用」「委任」「請負」の3つをあげた。

「1番目の『雇用』は、他人の『労務それ自体』を利用することを目的とする契約です。いわゆる正社員・契約社員など、出勤時間と退勤時間が決まっていて、会社の業務に専念する、というイメージです」

これは、いわゆる「会社員」のイメージだ。

「次に『委任』は、労務提供者が相当に自由な判断をしながら、他人の法律関係などの事務の処理をおこなうという契約です。たとえば私たち弁護士は、依頼者から『委任』を受け、専門知識にもとづいた判断をしています」

こちらは仕事をする側の自由度が高く、「専門家に判断を任せる」というイメージのようだ。

「最後に『請負』は、仕事の完成、すなわち労務によって一定の『結果』を給付することを目的とする契約です。たとえば注文主から仕事を請け負う大工さんは、家を一軒完成させる、というのが仕事ですよね」

この請負は、雇われるのではなく「お金をもらって結果を提供する契約」ということだ。専門技能を活かすタイプの仕事に多そうだ。そして、「個人請負」というのは、この「請負」の一種にあたるのだという。

「個人請負で働くということは、会社に雇われるのではなく、『請負契約』を結ぶという意味です」

●「請負契約」の注意点とは?

つまり、完全に別の働き方なのだ。正社員と比べると、メリットとデメリットはどうなっているのだろうか?

「請負契約は、会社の指揮命令を受けず、他の仕事も同時に請け負うことができるなど、自由な働き方ができるというメリットがあります。

しかし雇われて働く正社員と比べると、労働法によるさまざまな保護を受けられないなど、いくつもの違いがあります。主なデメリットはつぎのようなものでしょう。

(1)働き続けられる保障がない(契約を更新してもらえるとは限らない)

(2)雇用保険の対象とならない(雇用されていない)

(3)報酬が安くなる(残業代等がない)

(4)国民健康保険・国民年金に自ら加入して保険料等の支払いをすることになる」

ちなみに、請負契約のはずなのに、会社に拘束され、その指揮命令に従って働かされるようなケースは、「偽装請負」と呼ばれ、違法なのだという。そういうケースの場合は、働いている人が「労働者」とみなされ、労働法の各種保護の対象となることもある。田村弁護士は「どのような形で働くかは、慎重に判断することをお勧めします」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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