4739.jpg
「夢と魔法はどこへ…」ディズニー、ダンサーに退職か配置転換を要請 法的には?
2020年09月18日 10時08分

新型コロナウイルスの影響で、入園者数を制限している東京ディズニーリゾート(TDR)。運営するオリエンタルランド(千葉県浦安市)が、契約社員のダンサーや出演者に、配置転換や退職を求めると報じられた。

東京ディズニーランドとディズニーシーは7月1日から再開したが、毎年恒例の「ディズニー・ハロウィーン」や「ディズニー・クリスマス」のイベント、プログラムは中止。期間限定のショーやパレードもなくなり、ファンからは「寂しい」という声が上がっている。

日本経済新聞(9月14日)によると、イベントが中止となり仕事がなくなった契約社員のダンサーや出演者に対し、園内の業務にうつるか退職金を受け取り退職するかを選択してもらうという。対象は1000人程度だという。

ファンからは「夢と魔法はどこへ…」「ダンサーさん達ほど大事にしてもらいたい」と心配する声が上がっている。はたして、今回のオリエンタルランドの措置は法的にどう考えられるのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

新型コロナウイルスの影響で、入園者数を制限している東京ディズニーリゾート(TDR)。運営するオリエンタルランド(千葉県浦安市)が、契約社員のダンサーや出演者に、配置転換や退職を求めると報じられた。

東京ディズニーランドとディズニーシーは7月1日から再開したが、毎年恒例の「ディズニー・ハロウィーン」や「ディズニー・クリスマス」のイベント、プログラムは中止。期間限定のショーやパレードもなくなり、ファンからは「寂しい」という声が上がっている。

日本経済新聞(9月14日)によると、イベントが中止となり仕事がなくなった契約社員のダンサーや出演者に対し、園内の業務にうつるか退職金を受け取り退職するかを選択してもらうという。対象は1000人程度だという。

ファンからは「夢と魔法はどこへ…」「ダンサーさん達ほど大事にしてもらいたい」と心配する声が上がっている。はたして、今回のオリエンタルランドの措置は法的にどう考えられるのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●どのような場合でもできるとは限らないが…

ーーダンサーや出演者は退職するか配置転換を受け入れるかの選択を迫られています。オリエンタルランドの措置は法的にはどう考えられますか。

配置転換とは、同一企業内で担当する職種や所属する部署を変えたり、勤務地の変更を命ずる企業の措置ですが、どのような場合でもこれができるとは限りません。

これまでの裁判例では、転勤の事案ですが、労働条件として、勤務地を特定場所に限定する内容にはなっていない、逆に転勤を命ずる根拠規定などがあり、実際に頻繁に行われていた場合に転勤命令を認めます。

しかし、業務上の必要性がない場合や、他の不当な目的から命令する場合、あるいは従業員に著しい不利益を与える場合は、無効であるとされています。

ーー今回は、全く職種が違う業務への配置転換となります。

ダンサーや出演者はそもそも、パレードやショーなどの催し物で活躍する、観客を楽しませる、という業務を担う条件で雇い入れられたはずです。まさかダンスやショーへの出演以外の業務に配置転換の打診がなされるなど予想だにしていなかったでしょう。

また、オリエンタルランドが「現在のディズニーランドとは別の場所に新たなテーマパークの営業を始めたので、その新テーマパークに移ってくれ」というようなことならば話もわかりますが、今回は、そうではありません。全く職種が違う業務への配置転換です。これでは業務上の必要性があるとは言いがたいでしょう。

ダンサーなどが退職したり、会社が契約更新をしなければ雇用契約は終了しますが、今回の配置転換命令は、単に雇用をとりあえず維持する、という目的だけのものです。

しかしながら、今回のコロナ禍は全世界的に企業活動や経済活動に影響をもたらしています。特に多数の観客を楽しませるエンターテインメントやテーマパーク関連の企業が、未曾有の大幅な減収減益に陥っていることは、報道もされており、誰の目にも明らかです。

ある意味、従来の判例の流れがそのまま当てはまらない状況であると言えるでしょう。今回の会社の措置は、雇用を維持するための苦渋の選択とも言えるでしょう。

そのため、あながち、退職とともに、それに加えて、配置転換による就労の維持を選択肢の一つとしてダンサーなどに提案する今回の会社の措置が、無効とは言いがたい面もあります。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る