4792.jpg
傷ついた女の子たちが放置されている――「性暴力」被害者へのケアはどうあるべきか?
2015年08月27日 17時56分

10代・20代の女子学生が、性暴力に対する理解を深める勉強会「Girl's会議」が8月27日、衆院議員会館内の会議室で開かれた。女子大生ら約30人が参加し、性暴力被害者が受ける診察のようすを再現したビデオを見たり、医師や弁護士ら専門家の意見を聞きつつ、どんな仕組みがあれば同世代の被害者を支援できるのかを話し合った。

10代・20代の女子学生が、性暴力に対する理解を深める勉強会「Girl's会議」が8月27日、衆院議員会館内の会議室で開かれた。女子大生ら約30人が参加し、性暴力被害者が受ける診察のようすを再現したビデオを見たり、医師や弁護士ら専門家の意見を聞きつつ、どんな仕組みがあれば同世代の被害者を支援できるのかを話し合った。

●泣き寝入りしている女性の「声」を毎日きく

性暴力の被害女性から相談を受け付けているNPO法人「BONDプロジェクト」の橘ジュン代表は「声にならない、相談という形にもなっていない、泣き寝入りしているような女の子たちの声」を毎日聴いているという。

橘さんたちが渋谷で保護した10代のある少女は、性暴力の被害にあったにもかかわらず、自分がどういうことをされたかを、ちゃんと言葉で説明できなかったそうだ。

「被害者という意識もないので、なかなか言葉では伝わってこないんです。でも、一緒にいると、身体に違和感があって、トイレに行けないというようなことがわかってきました」

時間をかけて聞き取った結果、この少女は家族から性虐待を受けていたことがわかり、連れ添って病院に行くことになったという。

●被害者が相談しようとするまで時間がかかる

「傷ついて傷つきっぱなしの女の子たちが、どこにも誰にも気づかれないで放置されています。ひとりで『ああ、自分が悪かったのかもしれない』『痛いな、つらいな、家に居たくないな』という思いを抱きながら、毎日死にたい、大人なんかになりたくないと思いながら、生きています。

性被害を受けた子どもたちが、検査をしようとか、警察に言おうとか、弁護士に相談しようとなるまでには、ものすごく時間がかかります。相談の現場にいる私たちとしては、一緒に苦しんで、悲しんで、悔しがるしかないんですよ。同じ時間を過ごすっていうことしか。

被害者たちがケアにつながるための場所はあります。でも、彼女たちには色々なハードルがあって、なかなかつながることが難しい。そのことを、みなさんに知ってもらいたい。そこで、何ができるのかを相談現場、医療現場、法律の専門家たちと一緒に考えてもらいたい」

橘さんは参加者たちにこのように呼びかけていた。

参加した女子学生たちは「警察や病院の前に、被害者がたどり着く機関が必要だ」「ツイッターやLINEで相談ができると良いのではないか」「被害者として認めてもらうためのハードルが高すぎる。加害者の処罰と被害者のケアは別々に考えるべきだ」といった意見を発表していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る