490.jpg
忘年会で泥酔、駅で「マーライオン」化…ホームや電車内での嘔吐は犯罪か?
2016年12月30日 10時21分

忘年会や新年会など、酒を飲む機会が多い年末年始。調子に乗って飲みすぎて気分が悪くなり、電車の中や駅のホームで嘔吐している人を見かけることもある。

ネット上の掲示板では、酔っ払った男性が電車の中で「マーライオンのように」豪快に吐いたという目撃談や、「終電帰りで満員電車の中で後ろにいた女性に吐かれてしまいました」という被害体験が見られた。

駅のホームや電車内で嘔吐した場合、何かしらの法的問題が発生するのだろうか。他人の吐いたものが洋服などにかかった場合、弁償を要求できるのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。

忘年会や新年会など、酒を飲む機会が多い年末年始。調子に乗って飲みすぎて気分が悪くなり、電車の中や駅のホームで嘔吐している人を見かけることもある。

ネット上の掲示板では、酔っ払った男性が電車の中で「マーライオンのように」豪快に吐いたという目撃談や、「終電帰りで満員電車の中で後ろにいた女性に吐かれてしまいました」という被害体験が見られた。

駅のホームや電車内で嘔吐した場合、何かしらの法的問題が発生するのだろうか。他人の吐いたものが洋服などにかかった場合、弁償を要求できるのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。

●吐いて放置すると、賠償義務が発生する可能性あり

「まず、法的責任以前に、自分で後片付けをしなければなりませんね。それをしないで鉄道会社が後片付けをした場合、特にそのための清掃費用が生じたのであれば、その賠償義務があります」

大久保弁護士はこのように述べる。

「さらに、人の衣服に嘔吐物がかかった場合は、少なくともクリーニング代の支払をしなければならないでしょう。汚れの程度が酷くてクリーニングもできないようであれば、衣服の時価額の賠償をしなければなりません」

駅のホームや電車内で嘔吐することが、犯罪になる可能性はあるのか。

「『酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律』というものがあります。この第4条1項は、『酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は過料に処する』とあります」

酔っ払いが嘔吐することは、この条文に抵触するのだろうか。

「いいえ。嘔吐は確かに公衆に迷惑をかける行為ではあります。しかし、『著しく粗野又は乱暴な言動』とまではいえません。

また、軽犯罪法の第1条5号には『汽車、電車・・・その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者』は、拘留又は過料に処するとあります。こちらも同様です。ですから、電車ホームなどで吐いたとしても、犯罪が成立することはないでしょう」

嘔吐によって、電車の座席や他人の洋服を汚すことが、器物損壊罪にあたる可能性はあるのだろうか。

「損壊とは、物理的に破壊することに加えて、広くその物の効用を失わせる行為も含まれます。したがって、クリーニングもできないような状況であれば『損壊』にあたりうるでしょう。

しかし、器物損壊罪は故意犯です。酩酊をしている人には、果たして他人の洋服や電車の座席だということを認識して損壊するという故意があるのかは微妙ですね。その意味で器物損壊罪が必ず成立するとも言い難いところです」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る