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アイドル「恋愛禁止ルール」を題材にした法教育、その意義を弁護士に聞く
2016年02月08日 12時19分

「異性との交際は自己決定権そのもの。アイドルでも禁止は行き過ぎ」。アイドルグループのメンバーだった女性が、ファンとの交際を理由に、芸能プロダクションから損害賠償を求められていた裁判で、東京地裁は1月中旬、プロダクション側の請求を棄却する判決を下した。

報道によると、判決では、ファンはアイドルに清廉性を求めることから、交際禁止のルールは「一定の合理性がある」としつつも、「異性との交際は人生を豊かに生きる自己決定権そのもの」として、損害賠償が認められるのは、アイドルが会社に損害を与える目的で、故意に交際を明らかにしたような場合に限られるという判断を示した。

この判決は大きな話題を呼び、アイドルと人権のあり方をめぐってさまざまな議論がおきた。憲法を中心とした法教育の授業を学校で行っている春田久美子弁護士は、今回の裁判が「憲法の授業の素材としてうってつけだ」と指摘する。なぜ、そう考えるのか。春田久美子弁護士に聞いた。

「異性との交際は自己決定権そのもの。アイドルでも禁止は行き過ぎ」。アイドルグループのメンバーだった女性が、ファンとの交際を理由に、芸能プロダクションから損害賠償を求められていた裁判で、東京地裁は1月中旬、プロダクション側の請求を棄却する判決を下した。

報道によると、判決では、ファンはアイドルに清廉性を求めることから、交際禁止のルールは「一定の合理性がある」としつつも、「異性との交際は人生を豊かに生きる自己決定権そのもの」として、損害賠償が認められるのは、アイドルが会社に損害を与える目的で、故意に交際を明らかにしたような場合に限られるという判断を示した。

この判決は大きな話題を呼び、アイドルと人権のあり方をめぐってさまざまな議論がおきた。憲法を中心とした法教育の授業を学校で行っている春田久美子弁護士は、今回の裁判が「憲法の授業の素材としてうってつけだ」と指摘する。なぜ、そう考えるのか。春田久美子弁護士に聞いた。

●「恋愛禁止ルール」は憲法問題?

ーーなぜ法教育の活動に取り組んでいるのですか。

自分の頭で考え、判断し、自分なりに出した答えを友人など他者に分かってもらえるように表現する力や、立場の異なる他者の意見にも耳を傾けつつ、コミュニケーションをとって相手を説得する力を養うことが重要だと考えているからです。何よりも、民主主義を支える将来の主権者を育むために必要なことだと考えています。

そのために、大学生はもちろん、小・中・高校生たち向けに、「ルールはどうしてあるのか?」「こういう問題、あなたなら、どう解決する?」など、法(ルール)や司法(紛争解決のための仕組み)を素材にした授業を多く手がけています。

ーー今回、問題となった「アイドルの恋愛禁止ルール」も、憲法のテーマになるのですか。

そう思っています。大学の授業で実際に扱ったことがありました。まさに「憲法違反の可能性があるかどうか」聞いてみたのです。この問題は、憲法の「私人間効力」という問題を考えるのにうってつけの素材です。

私人間効力というのは、ざっくり説明すると、「憲法は、権力(国家)と国民の関係を規律する法だけど、私人同士の関係でも適用されることはあるのか」という問題です

●「恋愛禁止ルール」学生たちはどう考えたのか?

ーー学生からは、どんな意見が出たのですか。

意見は、大きく「合憲派」「違憲派」の2つに分かれました。合憲派(恋愛禁止ルールに賛成)「だってアイドルだもん」「そういう掟があるって分かってアイドルになったんでしょ!?」などです。「仕方ないんじゃない?」という諦めムードが強いのは、イマドキの若者の風潮なのかもしれませんが、少し心配ですね。

一方、違憲(反対)派からは、理由として「アイドルといっても人間。そういうことまで口出しするのは行き過ぎでは?」「恋愛禁止は営業戦略。営業の自由が恋愛の自由の価値を上回るとは思えない」といった意見がでました。

中には「憲法は国家と国民の間を規律するものなのに、私人同士の問題で憲法って関係あるのかな」など、まさに私人間効力の問題の所在を指摘する鋭い意見もありました。

ーー春田弁護士自身は、今回の問題についてどう考えていたのですか。

当時、私自身は「まだ確たる判例はないのだけれど」と言いつつ、「違憲の可能性があるんじゃないかな。(恋愛禁止ルールがあるとされる)『AKB48』のメンバーが、秋元康総合プロデューサーと法廷で闘ったら、アイドル側が勝つ可能性はあると思うよ!」と解説しました。

今回は、そのことが現実味を帯びてきたと実感できた判決でした。

「決まりが存在していても、声を挙げたら変わるかもしれない、それが憲法で保障されている『主権』というものなんだよ。」今回の判決を通して、子どもたちに、そうしたメッセージも伝えていきたいですね。

(弁護士ドットコムニュース)

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