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同僚の「不倫」知ったらどうする? 「見て見ぬふり」はNG?
2013年02月21日 18時30分

夫婦間のトラブルに不倫はつきものだ。婚姻関係の事件に関する司法統計(平成23年度版)をみても、妻から申し立てがあった事件のうちの23%は「異性関係」がその動機とされている。

不倫は離婚の原因になるだけではない。慰謝料という代償が生じる場合もある。たとえば、夫が同僚の女性と不倫した場合、妻はその相手女性に慰謝料を求めることができるのだ。では、会社の同僚が不倫していることを知っていながら見過ごした場合は、どうなのだろうか。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、不倫している同僚に「やめたほうがいい」と注意したら、かえって反発を受けたという相談も寄せられており、「他人の不倫は見て見ぬふりするのが得策」という風潮もあるようだ。しかし、夫が不倫している家庭の妻からすれば、もし同僚の不倫を知ったら注意してほしいと思うのではないだろうか。

はたして同僚の不倫を見過ごした場合、不倫の当事者と同じように慰謝料を請求される可能性はあるのだろうか。不倫関係の案件も多数手がける大和幸四郎弁護士に聞いた。

●夫婦のどちらかが不倫すれば「損害賠償責任」を負うが・・・

結論から言ってしまえば、慰謝料請求は「できない」と大和弁護士は言う。

たとえば、A子とB男という夫婦がいるとしよう。B男が会社の同僚C美と不倫行為(性交渉を伴う)に及び、同僚のDが見て見ぬふりをしていたとする。

「この場合、B男(夫)とC美の不倫行為は、A子(妻)から見れば共同不法行為となり、両者はA子に対して損害賠償責任を負います。したがってA子は、B男とC美に対して慰謝料を請求できます」

では、B男の同僚であるDに対してはどうか?

「Dにとって、B男とC美の不倫は、たとえ同僚であっても全く関係のないことです。DはA子に対して、B男とC美の不倫に関する報告義務を負っていません。よって、同僚Dの見て見ぬふり行為は、A子に対する義務違反とはならず、A子はDに対して慰謝料請求はできないと考えます」

●社員の不倫が「会社の社会的評価」に悪影響を与える場合もある

不倫を見過ごしても責任を問われないのなら、たとえ社内不倫を目撃しても止める人間は減ってしまうだろう。しかし、大和弁護士は「私生活上の行為であっても、会社の社会的評価に重大な悪影響がある場合は、懲戒の対象になり得る」(最高裁判所昭和49年3月15日判決)という判例を引きつつ、不倫行為そのものにブレーキをかける。

引用した判例は、不倫ではなく刑事罰を受けたことに関するものだが、示されているのは「私生活上の行為」も場合によっては懲戒の対象になるという考え方である。発想を引き延ばせば、男女関係もその例外ではない。

「会社内での不倫行為が会社の社会的評価に重大な悪影響がある場合は、懲戒の対象になり得ます。よって、不倫はやめておいたほうがよいと思います」

ときどき有名企業の経営者の不倫がマスコミに報道されて、その会社の評判を落とすことがあるが、社員の不倫も世に知られれば、会社の評価に影響を与える場合があるだろう。その意味では、不倫をしている同僚をいさめることは会社を守ることにもつながる、といえるのかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

夫婦間のトラブルに不倫はつきものだ。婚姻関係の事件に関する司法統計(平成23年度版)をみても、妻から申し立てがあった事件のうちの23%は「異性関係」がその動機とされている。

不倫は離婚の原因になるだけではない。慰謝料という代償が生じる場合もある。たとえば、夫が同僚の女性と不倫した場合、妻はその相手女性に慰謝料を求めることができるのだ。では、会社の同僚が不倫していることを知っていながら見過ごした場合は、どうなのだろうか。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」には、不倫している同僚に「やめたほうがいい」と注意したら、かえって反発を受けたという相談も寄せられており、「他人の不倫は見て見ぬふりするのが得策」という風潮もあるようだ。しかし、夫が不倫している家庭の妻からすれば、もし同僚の不倫を知ったら注意してほしいと思うのではないだろうか。

はたして同僚の不倫を見過ごした場合、不倫の当事者と同じように慰謝料を請求される可能性はあるのだろうか。不倫関係の案件も多数手がける大和幸四郎弁護士に聞いた。

●夫婦のどちらかが不倫すれば「損害賠償責任」を負うが・・・

結論から言ってしまえば、慰謝料請求は「できない」と大和弁護士は言う。

たとえば、A子とB男という夫婦がいるとしよう。B男が会社の同僚C美と不倫行為(性交渉を伴う)に及び、同僚のDが見て見ぬふりをしていたとする。

「この場合、B男(夫)とC美の不倫行為は、A子(妻)から見れば共同不法行為となり、両者はA子に対して損害賠償責任を負います。したがってA子は、B男とC美に対して慰謝料を請求できます」

では、B男の同僚であるDに対してはどうか?

「Dにとって、B男とC美の不倫は、たとえ同僚であっても全く関係のないことです。DはA子に対して、B男とC美の不倫に関する報告義務を負っていません。よって、同僚Dの見て見ぬふり行為は、A子に対する義務違反とはならず、A子はDに対して慰謝料請求はできないと考えます」

●社員の不倫が「会社の社会的評価」に悪影響を与える場合もある

不倫を見過ごしても責任を問われないのなら、たとえ社内不倫を目撃しても止める人間は減ってしまうだろう。しかし、大和弁護士は「私生活上の行為であっても、会社の社会的評価に重大な悪影響がある場合は、懲戒の対象になり得る」(最高裁判所昭和49年3月15日判決)という判例を引きつつ、不倫行為そのものにブレーキをかける。

引用した判例は、不倫ではなく刑事罰を受けたことに関するものだが、示されているのは「私生活上の行為」も場合によっては懲戒の対象になるという考え方である。発想を引き延ばせば、男女関係もその例外ではない。

「会社内での不倫行為が会社の社会的評価に重大な悪影響がある場合は、懲戒の対象になり得ます。よって、不倫はやめておいたほうがよいと思います」

ときどき有名企業の経営者の不倫がマスコミに報道されて、その会社の評判を落とすことがあるが、社員の不倫も世に知られれば、会社の評価に影響を与える場合があるだろう。その意味では、不倫をしている同僚をいさめることは会社を守ることにもつながる、といえるのかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

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