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離婚の原因になる「悪意の遺棄」って、どんなときに認められるの?
2013年09月23日 13時30分

悪意の遺棄――。おどろおどろしいが、ホラー映画のタイトルではない。裁判所が離婚を認める「離婚原因」の一つとして、民法に書いてある言葉だ。

民法には「夫婦は同居し、お互いに協力、扶助し合わなければならない」とある。「悪意の遺棄」とは、こういった義務を不当に放棄することのようだ。

「夫が何も言わず家出して帰ってこない」「生活費を要求しても一切渡してこない」など、ネットの相談サイトには「それっぽい事例」の相談がたくさん寄せられている。

ところが実際の裁判では、「悪意の遺棄」を離婚の原因として主張するケースはそれほど多くないという。なぜなのだろうか。大澤美穂子弁護士に聞いた。

●合意による別居は「悪意の遺棄」にならない

「『悪意の遺棄』(民法770条1項2号)は、法律で5つ挙がっている離婚原因のうちの1つです。少しかみ砕いて言うと、『わざと(故意に)夫婦としての生活の断絶をしたり、同居・協力・扶助の義務を履行しないこと』とされています。

『遺棄』というと、相手を置き去りにすることだけを指すように思えますが、それだけではありません。相手方を自宅から追い出すことや、外形上は同居していても生活費を全く渡さず、配偶者としての扱いをしていない場合にも、これに該当する可能性があります。

ただし、合意による別居や、正当な理由による同居拒否は該当しません」

こうした説明を踏まえると、その文字面から思い浮かぶ状況よりは、「悪意の遺棄」の範囲は広いように思える。なぜこれが裁判で主張されるケースは、あまり多くないのだろうか。

●結局は「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に集約されることが多い

「離婚裁判では、『悪意の遺棄』だけが主張されることは、あまりありません。というのも、離婚事由は色々ですし、最終的にはそれらが『その他婚姻を継続しがたい重大な事由』(同5号)に集約されることが多いからです。

そもそも『悪意の遺棄』は、上記のようにとらえた場合、『その他婚姻を継続しがたい重大な事由』(5号)と重なる範囲が大きくなります。通常は5号の問題と考えられる虐待や侮辱、飲酒癖なども、場合によっては『悪意の遺棄』に該当することがあり得ます」

つまり、単に悪意の遺棄があったと主張するよりも、色々な状況を加えて「婚姻を継続しがたい重大な事由」があったと主張するほうが、一般的なのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

悪意の遺棄――。おどろおどろしいが、ホラー映画のタイトルではない。裁判所が離婚を認める「離婚原因」の一つとして、民法に書いてある言葉だ。

民法には「夫婦は同居し、お互いに協力、扶助し合わなければならない」とある。「悪意の遺棄」とは、こういった義務を不当に放棄することのようだ。

「夫が何も言わず家出して帰ってこない」「生活費を要求しても一切渡してこない」など、ネットの相談サイトには「それっぽい事例」の相談がたくさん寄せられている。

ところが実際の裁判では、「悪意の遺棄」を離婚の原因として主張するケースはそれほど多くないという。なぜなのだろうか。大澤美穂子弁護士に聞いた。

●合意による別居は「悪意の遺棄」にならない

「『悪意の遺棄』(民法770条1項2号)は、法律で5つ挙がっている離婚原因のうちの1つです。少しかみ砕いて言うと、『わざと(故意に)夫婦としての生活の断絶をしたり、同居・協力・扶助の義務を履行しないこと』とされています。

『遺棄』というと、相手を置き去りにすることだけを指すように思えますが、それだけではありません。相手方を自宅から追い出すことや、外形上は同居していても生活費を全く渡さず、配偶者としての扱いをしていない場合にも、これに該当する可能性があります。

ただし、合意による別居や、正当な理由による同居拒否は該当しません」

こうした説明を踏まえると、その文字面から思い浮かぶ状況よりは、「悪意の遺棄」の範囲は広いように思える。なぜこれが裁判で主張されるケースは、あまり多くないのだろうか。

●結局は「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に集約されることが多い

「離婚裁判では、『悪意の遺棄』だけが主張されることは、あまりありません。というのも、離婚事由は色々ですし、最終的にはそれらが『その他婚姻を継続しがたい重大な事由』(同5号)に集約されることが多いからです。

そもそも『悪意の遺棄』は、上記のようにとらえた場合、『その他婚姻を継続しがたい重大な事由』(5号)と重なる範囲が大きくなります。通常は5号の問題と考えられる虐待や侮辱、飲酒癖なども、場合によっては『悪意の遺棄』に該当することがあり得ます」

つまり、単に悪意の遺棄があったと主張するよりも、色々な状況を加えて「婚姻を継続しがたい重大な事由」があったと主張するほうが、一般的なのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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