5407.jpg
ウエストランド河本、酒に酔ってタクシー運転手とトラブル…もし会社員だったら「断酒」を命じてもいい?
2024年04月26日 14時01分

お笑いコンビで、2022年のM-1グランプリ王者となった「ウエストランド」の河本太さんが4月20日夜、酒に酔ってタクシー運転手とトラブルになったと「週刊文春」が報じました。

同誌の取材に対して、所属事務所タイタンの太田光代社長は「彼は酒が弱いのであんなことになってしまった」「本人はもう酒は飲まないと反省しています」とコメントしています。

また、報道によると、太田社長は、河本さんの「断酒」をサポートすると発言しているとのことです。

芸能人に限らず、一般の社会でも酒に酔ってトラブルを起こす人はいます。もし会社員がこうした飲酒トラブルを起こした場合、会社は社員に「断酒」など私生活に及ぶ指示をすることは可能なのでしょうか。今井俊裕弁護士に聞きました。

お笑いコンビで、2022年のM-1グランプリ王者となった「ウエストランド」の河本太さんが4月20日夜、酒に酔ってタクシー運転手とトラブルになったと「週刊文春」が報じました。

同誌の取材に対して、所属事務所タイタンの太田光代社長は「彼は酒が弱いのであんなことになってしまった」「本人はもう酒は飲まないと反省しています」とコメントしています。

また、報道によると、太田社長は、河本さんの「断酒」をサポートすると発言しているとのことです。

芸能人に限らず、一般の社会でも酒に酔ってトラブルを起こす人はいます。もし会社員がこうした飲酒トラブルを起こした場合、会社は社員に「断酒」など私生活に及ぶ指示をすることは可能なのでしょうか。今井俊裕弁護士に聞きました。

●断酒を命じることはできるのか?

——会社側が飲酒トラブルを起こした社員に対し、懲戒処分をすることは可能なのでしょうか

従業員が飲酒による影響で問題行動を起こした場合、それが勤務中であれば当然、懲戒処分の対象となります。ろれつが回らない状態で接客したり、工場内での製造ラインで作業したり、自動車の運転をしたなどであれば、もはや論外のレベルです。

——では断酒を命じても問題はないのでしょうか

勤務時間が終了したあとは、従業員とはいえども、会社の就業規則や、その他の社内ルールに拘束はされません。そのため、断酒を命じることは認められないと考えます。

飲酒を含めて社会的に許容される限りで趣味趣向に費やすのは自由です。特にアルコール摂取自体は、我が国においては合法であり、外国と比較すれば、寛容に扱われたり、いわゆる「飲みニケーション」などと称されたりするように、ごく一部の方は先陣を切って飲み会を主催することもあります。

しかし、その飲酒の結果、それが翌日の業務に支障がでるようであれば、やはり懲戒の対象となりうるでしょう。

ただし、厳密には、飲酒行為自体が懲戒の対象となる、ということではなく、飲酒の影響により適正に業務に従事できない精神状態・身体状態で就業していること自体が懲戒の対象となる、という意味です。

会社から従業員に対して、仕事を終えてからの「飲み」はほどほどにしておけよ、などという助言はできるでしょうが、「断酒しろ」と命令をする権限はないでしょう。

その延長線上の問題ではありますが、従業員に対して、断酒や禁酒を命じたり、断酒会や自助グループなどへの参加を強制することもできないでしょう。

もちろん、従業員自体が心底から自己の問題飲酒行為を矯正したいという思いをもって、会社の指示や介入を受け入れるならば、それは問題ありません。従業員が望んでいることを会社がむしろ手助けしてあげているだけですから。それを超えて、さらに薬物療法の段階となると、これはもう、その従業員の意思に任せるべきであると思われます。

我が国でもすでに承認されている抗酒剤、飲酒欲求軽減薬や飲酒量低減薬がいくつかあるようですが、いずれも副作用があるようですから、それについて自覚したうえで服用するかどうかは個人の判断になるでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る