5476.jpg
「りそな」生体認証導入で「印鑑」不要に…日本の「ハンコ文化」は廃れていく?
2016年06月09日 10時29分

日本の「ハンコ文化」が、転換点を迎えることになるのだろうか。りそなホールディングスが2019年3月までに、傘下のりそな銀行、埼玉りそな銀行の全店舗で、住宅ローンや口座開設などの手続きに、原則として印鑑を不要にすると報じられた。印鑑のかわりに、指の静脈で本人確認をして安全性を確保する。大手行では初の試みだ。

りそな銀行だけでなく、三井住友銀行でも、サインのみで本人確認ができる「サイン認証」サービスを来年2月ごろから、一部の店舗で導入する方針だ。

高額決済や口座開設に「印鑑」がなくなることに不安を覚える人もいるかもしれない。なぜ、りそなは「印鑑なし」に踏み切ったのだろうか。また日本では、印鑑は重要な契約には欠かせないという慣習があるが、今後、「印鑑」は姿を消していくことになるのだろうか。契約問題に詳しい高島秀行弁護士に聞いた。

日本の「ハンコ文化」が、転換点を迎えることになるのだろうか。りそなホールディングスが2019年3月までに、傘下のりそな銀行、埼玉りそな銀行の全店舗で、住宅ローンや口座開設などの手続きに、原則として印鑑を不要にすると報じられた。印鑑のかわりに、指の静脈で本人確認をして安全性を確保する。大手行では初の試みだ。

りそな銀行だけでなく、三井住友銀行でも、サインのみで本人確認ができる「サイン認証」サービスを来年2月ごろから、一部の店舗で導入する方針だ。

高額決済や口座開設に「印鑑」がなくなることに不安を覚える人もいるかもしれない。なぜ、りそなは「印鑑なし」に踏み切ったのだろうか。また日本では、印鑑は重要な契約には欠かせないという慣習があるが、今後、「印鑑」は姿を消していくことになるのだろうか。契約問題に詳しい高島秀行弁護士に聞いた。

●「印鑑は本人確認の方法として万能ではない」

「日本人は、契約書など重要な文書には、署名捺印の他に印鑑を押すという習慣があります。重要な文書に印鑑が押していなければ、合意が成立しておらず、逆に印鑑が押してあれば合意が成立したこととされています。

法律上は、その人の印鑑が押してあれば、その文書はその人の意思に基づいて作成された有効なものと推定されます(民事訴訟法228条4項)。

また、会社にしても個人にしても、役所が、その印鑑が、その会社あるいはその人の印鑑であることを証明してくれる制度があります。これが『印鑑登録』、『印鑑証明』という制度です」

りそなは、なぜ「印鑑不要」に踏み切ったのだろうか。

「印鑑は本人確認の方法として万能ではなく、偽造や盗難、なりすましなどにより、他人が印鑑を使用することが可能です。より本人確認方法として確実な生体認証を採用したものです。

三井住友のサイン認証サービスは、りそな銀行の生体認証とは逆の発想です。より確実な本人確認方法としての手段というより、印鑑が煩わしい人もいるので、サインでも本人確認できる方法を開発したということだと思います」

●将来「ハンコ文化」はなくなる?

今後、日本の「ハンコ文化」は廃れていくのだろうか。

「科学技術が発達すると、印鑑以外でも、より確実に本人確認が可能となりますから、印鑑制度がなくなる可能性はあります。

しかし、銀行はあらかじめ、指の静脈の情報やサインを登録させたりして、本人確認をすることができますが、一般の会社や個人は、相手の指の静脈の情報やサインの情報も持っていません。さらには、その指の静脈の情報やサインを読み取り本人確認をする機械も持っていません。

生体認証技術やサインの認証技術が簡易になり、その読み取った情報で、一般の会社や個人が本人確認をすることができる制度(生体情報登録制度やサイン情報登録制度)が作られれば、印鑑はなくなるかもしれません。

しかし、そのような制度を作ることは、技術面やコスト面だけでなく、役所が国民の生体情報を持つことへのプライバシーの問題にも発展し得ます。日本でただちに印鑑が廃止されることにはならないと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る