5484.jpg
マッチングアプリで出会った「彼氏」が既婚者だった 騙されたのは私なのに、訴えられてしまう?
2024年12月08日 08時41分
#マッチングアプリ #慰謝料 #既婚者 #貞操権の侵害

マッチングアプリで知り合い交際していた男性が、未婚だと嘘をついていたのが許せない——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の女性は、元カレとマッチングアプリを通じて付き合いました。交際時には未婚だと言っていましたが、実は交際前から結婚していたことが後になって発覚したそうです。

女性は、元カレに対して、賠償請求したいと考えているようですが可能なのでしょうか。宮地紘子弁護士に聞きました。

マッチングアプリで知り合い交際していた男性が、未婚だと嘘をついていたのが許せない——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の女性は、元カレとマッチングアプリを通じて付き合いました。交際時には未婚だと言っていましたが、実は交際前から結婚していたことが後になって発覚したそうです。

女性は、元カレに対して、賠償請求したいと考えているようですが可能なのでしょうか。宮地紘子弁護士に聞きました。

●「貞操権の侵害」があったかどうかがカギ

——既婚者であると嘘をついた元カレに対し、賠償請求することはできますか。

相談者の女性が「相手が既婚者と知っていたのであれば性的関係をもたなかった」場合には、貞操権の侵害として損害賠償請求ができる可能性があります。

具体的には、元カレが「独身である」とウソをつき、相談者の女性は元カレが「独身である」と信じた結果、性交渉をしており、騙された相談者の女性は違法に性的自由を侵害されたことになるため、元カレの言動は不法行為に該当すると思います。

——既婚者と知ってからも交際を継続した場合と、直ちに交際を中止した場合で何か違いはありますか。

既婚者であることを知ってからも交際を継続した場合、女性は結婚ができないことを認識している以上、ウソを信じたため性交渉に至ったとはいえず、貞操権侵害による損害賠償は難しいかもしれません。

——既婚者であることを隠していた元カレが刑事責任を問われることはないのでしょうか。

刑事責任を問うことまでは現実的には難しいでしょうが、元カレが独身と偽るために、独身証明書など公的な書類を偽造していた場合には、公文書偽造・同行使罪(刑法155条)等に問われる可能性もあります。

●「既婚者だと疑う事情がないことが重要」

——逆に、元カレの配偶者が女性に対して法的責任を追及することはあるのでしょうか。

そうですね、慰謝料を請求される可能性はあります。

請求された場合には、独身であると信じたことについて過失がないこと等を主張していくことになります。

具体的には、当該マッチングアプリが独身であることを登録要件としていることや、結婚指輪の跡がなかったことなど、既婚者であると疑う事情がないことが重要になってきます。

——マッチングアプリで同種のトラブルに発展したというケースは少なくなさそうです。

交際した相手が実は既婚者であったということは職場や友人を介した出会いでも生じ得ることですが、このような出会いと比べて、マッチングアプリなどは交友関係が重ならないため、出会った相手が既婚者であるか否かが特に分かりにくく、今後、起こりやすいトラブルであると感じています。

もし、交際中に疑問を抱く事柄があった場合には、交際を進めることについて少し慎重になってみることをおすすめします。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る