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「夫の社内不倫で精神的にキツい」ーー夫の職場の「社内相談窓口」に打ち明けていい?
2016年01月17日 10時07分

妻が借金を肩代わりし、生活費も負担していた恩を忘れ、夫が社内不倫にいそしんでいる。しかも、妻が仕事を辞め「妊活中」というタイミングでーー。そんな妻から、「(夫の)社内不倫で精神的にキツい思いをしている」と夫の勤務先の「社内相談窓口」に相談することは法的な問題になるのか、という質問が弁護士ドットコムの法律相談コーナーにあった。

投稿者によると、夫は同じ部署の社員と社内不倫中。不倫相手に対して「(妻と)離婚して一緒になる」と約束していて、投稿者には「慰謝料についても養育費についても希望額を支払う、その代わり離婚してくれ」と言っているそうだ。

そんな夫の言動について、投稿者の女性は「会社でも同じ部署で毎日会い、会社以外でも関係を持ち、慰謝料を不倫相手に請求しても全て夫が払うと言い、それが私には耐えられない」と書く。

そこで投稿者は、夫の会社のコンプライアンス部門の中にある「社内相談窓口」に相談したいと思っている。窓口は「プライベートなことや夫婦仲の相談も受け付ける」とされているが、投稿者には一抹の不安もあるようで、「(相談することは)違法にあたりますか?」と質問している。

夫の社内不倫について、勤務先の会社の相談窓口に打ち明けることは、法的に問題があるのだろうか。村木亨輔弁護士に聞いた。

妻が借金を肩代わりし、生活費も負担していた恩を忘れ、夫が社内不倫にいそしんでいる。しかも、妻が仕事を辞め「妊活中」というタイミングでーー。そんな妻から、「(夫の)社内不倫で精神的にキツい思いをしている」と夫の勤務先の「社内相談窓口」に相談することは法的な問題になるのか、という質問が弁護士ドットコムの法律相談コーナーにあった。

投稿者によると、夫は同じ部署の社員と社内不倫中。不倫相手に対して「(妻と)離婚して一緒になる」と約束していて、投稿者には「慰謝料についても養育費についても希望額を支払う、その代わり離婚してくれ」と言っているそうだ。

そんな夫の言動について、投稿者の女性は「会社でも同じ部署で毎日会い、会社以外でも関係を持ち、慰謝料を不倫相手に請求しても全て夫が払うと言い、それが私には耐えられない」と書く。

そこで投稿者は、夫の会社のコンプライアンス部門の中にある「社内相談窓口」に相談したいと思っている。窓口は「プライベートなことや夫婦仲の相談も受け付ける」とされているが、投稿者には一抹の不安もあるようで、「(相談することは)違法にあたりますか?」と質問している。

夫の社内不倫について、勤務先の会社の相談窓口に打ち明けることは、法的に問題があるのだろうか。村木亨輔弁護士に聞いた。

●名誉毀損にあたる可能性は?

「相談窓口が、『プライベートな問題や夫婦仲についても相談を受け付ける』と告知していたとしても、いざ相談したことで、のちのち法的な問題に発展する場合がないわけではありません」

村木弁護士はこのように切り出した。どんな問題が生じるのか。

「刑事責任、民事責任に問われる可能性があります。まず、刑事責任としては刑法230条に規定がある『名誉毀損罪』が考えられます。ただし、名誉毀損罪は、『公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損』した場合に成立します。

今回のケースは、相談窓口がコンプライアンス部門に属しているとのことですので、会社側としても、そこで取り扱う情報については管理を徹底するでしょう。したがって、ごく限られた相談窓口の関係者以外の第三者に伝わるリスクは低いと言えます。そのため、社内窓口への相談だけでは、『公然性』が否定される可能性が高いと考えられそうです。

いっぽうで、民事上の責任について、不倫相手や夫から、各人の名誉を侵害したとして『不法行為』(民法709条)に基づいて損害賠償を請求されるおそれがあります。

しかし、この点につきましても、会社の相談窓口に相談をした程度では、成立要件とされる『社会的評価を低下させる事実の流布』とまでは言えないでしょうから、請求が認められない可能性が高いと思われます。

なお、相談者自身も、夫や不倫相手に対し、不貞行為を行ったことを理由に、慰謝料の請求をすることが考えられるでしょう」

ところで、投稿者からの相談によって社内不倫の事実を知った会社が、夫や不倫相手に対して懲戒処分などの対応をする可能性もあるのだろうか。

「社内不倫はプライベートな事柄ですし、業務に関係がない職場外の問題なので、懲戒処分の対象にはならないようにも思えそうです。

しかし、過去の裁判では、社内不倫が企業の秩序や社会的評価に影響を及ぼす問題であるとして懲戒処分がされ、その有効性が争われたことがあります。さらに、裁判例の中には、社内不倫を理由とした解雇処分を有効と判断したケースもありますので、注意が必要です」

村木弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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