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「8年付き合っていた彼氏」に捨てられた「34歳女性」 慰謝料を請求できるか?
2013年11月23日 16時35分

誰でも匿名で投稿できる「はてな匿名ダイアリー」に、11月初旬に寄せられた文章が話題を呼んでいる。投稿者は34歳の女性という。付き合って8年になる彼氏がおり、結婚も意識していたが、彼氏があまり乗り気ではなかった。自分の両親に会ってもらったころからすれ違いが始まり、そのまま別れてしまったのだという。

投稿者はまだショックから立ち直っていないようで、「正直訴えたい。30過ぎた女捨てる事とか犯罪にしてほしい」と悲痛な叫びを記している。「そもそも34で新しい相手とか無理じゃない? 男はいいよ、仕事すれば。女はどうすればいいんだよ。犯罪だよ絶対。まじ訴えたい」「なんかもう絶望。結婚出来ないかもしれない」と書いている。

8年間も付き合っていた彼氏から別れを切り出されたとすれば、胸が張り裂けそうだったろうが、現在の刑法では、「30歳以上の女性と別れること」は犯罪ではない。だが、民事ではどうなのか。

この女性が彼氏を訴えて、慰謝料を請求することはできるのだろうか。男女をめぐる法律問題にくわしい島野由夏里弁護士に聞いた。

誰でも匿名で投稿できる「はてな匿名ダイアリー」に、11月初旬に寄せられた文章が話題を呼んでいる。投稿者は34歳の女性という。付き合って8年になる彼氏がおり、結婚も意識していたが、彼氏があまり乗り気ではなかった。自分の両親に会ってもらったころからすれ違いが始まり、そのまま別れてしまったのだという。

投稿者はまだショックから立ち直っていないようで、「正直訴えたい。30過ぎた女捨てる事とか犯罪にしてほしい」と悲痛な叫びを記している。「そもそも34で新しい相手とか無理じゃない? 男はいいよ、仕事すれば。女はどうすればいいんだよ。犯罪だよ絶対。まじ訴えたい」「なんかもう絶望。結婚出来ないかもしれない」と書いている。

8年間も付き合っていた彼氏から別れを切り出されたとすれば、胸が張り裂けそうだったろうが、現在の刑法では、「30歳以上の女性と別れること」は犯罪ではない。だが、民事ではどうなのか。

この女性が彼氏を訴えて、慰謝料を請求することはできるのだろうか。男女をめぐる法律問題にくわしい島野由夏里弁護士に聞いた。

●交際しているだけだと法的な保護は受けられない

「このケースで、慰謝料を請求することは難しいと思います。刑事上だけでなく、民事上も違法とはなりません」

島野弁護士はこう語る。どうしてだろうか。

「慰謝料が発生するのは、婚姻や婚姻予約、内縁等の法律的な関係、または、それに準ずる関係が、不当に破壊された場合です。

婚姻関係はもちろんですが、内縁(籍が入っていないこと以外は婚姻関係と同視できるような場合)でも、婚姻関係に準じて保護されます。また、婚約状態の場合も、お互いに婚姻に向けて誠実に行動する義務が発生します。

そのような関係にあるにもかかわらず、不当に内縁を解消したり、不当に婚約を破棄した場合は、慰謝料の請求ができるのです」

逆にいうと、いくら長期間、恋愛関係にあったとしても、その関係は法的には、保護されないということか?

「一般的な感覚としては、恋愛の延長上に婚姻があることが多いため、同視しがちですが、法律的には、婚約と交際は全く別物です。交際をしていただけでは、法律上保護に値する関係がそもそも存在しないとされ、関係を解消することは違法にはなりません。

道義的な問題はもちろん別でしょうが、交際期間の長さや相手の女性の年齢を理由としても、法律的には何も問題とならないと言わざるを得ません」

●婚約というためには、指輪や結納・式の予約が必要

結婚を期待していた女性にとっては「酷」な話だ。8年間も付き合って、両親に顔合わせまでしていたが、「婚約」もしくは「内縁」状態だったとは言えないのだろうか?

「彼の方は、結婚には乗り気ではなかったということですので、ご両親に会ったとしても、それだけで婚約と言うのは難しいでしょう。『婚約があった』というためには、結納、婚約指輪の贈与、式場の予約や下見等が必要です。

また、内縁状態と言えるためには、端から見たら夫婦と全く変わらないような形が必要です。ただの同棲では足りません」

●「損切りをする勇気」が必要なときもある

女性は、いったいどうすればよかったのだろうか。

「法律からは離れた話になってしまいますが、男女関係のトラブルを扱っていると、女性が『頑張ったのだから幸せにして』と主張すると、逆に『もっと頑張れ』と強いられる傾向があるように感じます。

また、女性が『ここまで付き合ったのだから結婚してくれないと困る』と主張して、責任を取らせる形で結婚した場合、夫に『結婚してやった』という意識が芽生える可能性もあります。夫婦生活を続けていくうえで、こうした状況は良いとは言えません」

島野弁護士はこう指摘したうえで、次のようなアドバイスを送っていた。

「こうした悲劇を避けるためのポイントは、交際と婚約・結婚は別物である、ということをしっかり認識した上で、結婚の計画を立てることでしょうか。場合によっては、早期に『損切りをする勇気』が必要になることもあるかもしれません」

(弁護士ドットコムニュース)

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