5717.jpg
「ごみ屋敷条例」で私有地から古新聞や雑誌を撤去・・・初の行政代執行をどうみるか?
2015年11月26日 10時19分

京都市の50代男性が自宅前の私道に古新聞や雑誌を積み上げて、「ごみ屋敷」となっていたことから、京都市は11月中旬、行政代執行で強制的に撤去をおこなった。

報道によると、男性は京都市右京区の長屋型アパートに在住。玄関前の通路(幅約1.3メートル)に古新聞や雑誌などのごみを高さ約2メートル、幅0.9メートル、長さ約4.4メートルにわたって積み上げていた。奥の部屋で暮らす住民の通行の妨げになっており、緊急時の避難に支障をきたすと指摘されていた。

京都市は6年前に近隣住民から相談を受けて、道路法にもとづいて、市道のごみを撤去した。2014年11月に「ごみ屋敷条例」が施行されて以降は、男性宅に120回以上も訪問・指導してきたが片付けなかったため、今回の強制撤去に踏み切ったのだという。

「ごみ屋敷条例」にもとづいて、私有地に放置されたごみを強制撤去するのは、全国で初めてという。ごみ屋敷そのものは全国的に問題になっているが、今回の行政代執行について、どう見るべきか。「闘う住民と共にゴミ問題の解決を目指す弁護士連絡会」の梶山正三弁護士に聞いた。

京都市の50代男性が自宅前の私道に古新聞や雑誌を積み上げて、「ごみ屋敷」となっていたことから、京都市は11月中旬、行政代執行で強制的に撤去をおこなった。

報道によると、男性は京都市右京区の長屋型アパートに在住。玄関前の通路(幅約1.3メートル)に古新聞や雑誌などのごみを高さ約2メートル、幅0.9メートル、長さ約4.4メートルにわたって積み上げていた。奥の部屋で暮らす住民の通行の妨げになっており、緊急時の避難に支障をきたすと指摘されていた。

京都市は6年前に近隣住民から相談を受けて、道路法にもとづいて、市道のごみを撤去した。2014年11月に「ごみ屋敷条例」が施行されて以降は、男性宅に120回以上も訪問・指導してきたが片付けなかったため、今回の強制撤去に踏み切ったのだという。

「ごみ屋敷条例」にもとづいて、私有地に放置されたごみを強制撤去するのは、全国で初めてという。ごみ屋敷そのものは全国的に問題になっているが、今回の行政代執行について、どう見るべきか。「闘う住民と共にゴミ問題の解決を目指す弁護士連絡会」の梶山正三弁護士に聞いた。

●「ゴミ屋敷状態の解消に長期間を要している」

「ゴミ屋敷対策は必要です。京都市の『ごみ屋敷条例』も実情を理解したうえで制定されたものと思います。しかし、必ずしも成功していません」

梶山弁護士はこう切り出した。どういうところが課題になっているのだろうか。

「今回の行政代執行では、120回以上も訪問・指導したうえで、ようやく実施されたことからもわかるように、ゴミ屋敷状態の解消に長期間を要しています。つまり、その間は生活環境の悪化が維持・継続したわけです。

京都市の条例に規定された措置は、(1)支援、(2)軽微な措置、(3)緊急安全措置、(4)行政代執行です。

いささか煩瑣であるうえに、そのたびに『費用の算定』『被支援者への通知』が必要であり、行政代執行に至るまでに、(a)指導・勧告→(b)公表→(c)命令というステップを必要とします。これでは『迅速な処理』など望むべくもありません。強制的措置に至るまでのステップが臆病に過ぎます」

●自転車撤去と同じような「軽微な強制措置」を導入すべき

どのように改善すべきなのだろうか。

「たとえば、駅周辺の放置自転車撤去条例では、定期的に見回り、所有者に対する何らの通知もなく自転車の施錠を破壊し、軽トラ等で撤去・保することを認めています。それと同様の『軽微な強制措置』を取り入れたらどうでしょうか。

そのような迅速な措置を取ることにより、ゴミ屋敷状態をごく初期段階で解消することができます。費用の節約や環境悪化の予防が実現すると思います。また、撤去した廃棄物を一定期間保管することによって、廃棄物の所有権を主張する者とのトラブルも防げるでしょう。

『廃棄物としての認定』『違法な保管状態に対する強制撤去』は、現行の廃棄物処理法の枠内で十分可能です。

そして毎日できるような、ごく初期段階での軽微な撤去は、被支援者に対して一々費用の通知や回収などせずに、公共サービスの一環として税金負担ですることも検討してほしいと思います」

梶山弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る