9160.jpg
裁判所の「偽サイト」、実在する「女性弁護士」の写真悪用…チャットで詐欺サイトに誘導か、本物と見分けつかず
2025年04月16日 20時02分
#裁判所 #偽サイト #最高裁判所

裁判所のウェブサイトになりすました「偽サイト」の存在が確認されたとして、最高裁が公式Xアカウントで「偽サイトにアクセスすると被害を受けるおそれがある」と注意を呼びかけている。

弁護士ドットコムニュースの記者も、気づかぬうちに「偽サイト」にアクセス。本物のサイトとほとんど外見上の見分けはつかなかった。偽サイトは閲覧者をチャットに誘導しており、実在する「女性弁護士」の名前と顔写真を悪用していた。

編集部が「偽サイト」を確認した4月16日以降、サイトを閲覧することができなくなった。最高裁が働きかけたのか尋ねたところ、取材に「なりすましサイトの存在は認識しておりますが、具体的な対応については回答を差し控えます」とした。

裁判所のウェブサイトになりすました「偽サイト」の存在が確認されたとして、最高裁が公式Xアカウントで「偽サイトにアクセスすると被害を受けるおそれがある」と注意を呼びかけている。

弁護士ドットコムニュースの記者も、気づかぬうちに「偽サイト」にアクセス。本物のサイトとほとんど外見上の見分けはつかなかった。偽サイトは閲覧者をチャットに誘導しており、実在する「女性弁護士」の名前と顔写真を悪用していた。

編集部が「偽サイト」を確認した4月16日以降、サイトを閲覧することができなくなった。最高裁が働きかけたのか尋ねたところ、取材に「なりすましサイトの存在は認識しておりますが、具体的な対応については回答を差し控えます」とした。

●すぐには異変に気づかなかった

弁護士ドットコムニュースの記者は4月15日夜、裁判所のウェブサイト(https://www.courts.go.jp/index.html)で調べ物をしていた。

翌4月16日、昨夜の続きをしようと、あらためてサイトにアクセスしたところ、ページの右下に「東京高等裁判所」のチャットができていることに気づいた。

あとでわかることだが、このサイトは前日にアクセスしていたサイトではなく、なりすましの偽サイトだ。本物のサイトとは、URLがことなっていた。

ただ、まだこの時点では記者は気づいていない。昨夜は閲覧できた資料にアクセスできなくなっていて、おかしいとは感じたが、なりすましサイトだとは思えなかった。

チャットでは、女性の名前を名乗る相手から「詐欺被害の資金回収や法律問題についてお困りの方へ、無料相談を受け付けております」として、あるURLが紹介された。

リンクをクリックすると、どうやらLINEの公式アカウントに飛ばされるようだ。

画像タイトル ※なりすましサイトです(女性の写真と名前への加工は編集部)

多少の違和感はあったが、こうしたサポート用のチャットは、役所などの公的なサイトでもよく見かけるものであり、初めて見たときは完全に不審だとまでは感じなかった。

とはいえ、前日まで存在しなかった「裁判所のチャット」に関心をもち、反応などもみるため、投稿することにした。

記者:あなたは誰ですか?

女性の顔写真アイコン:「もしかして、詐欺に遭われたのでしょうか?」

記者:いいえ、◯◯(※女性の名前)さんのプロフィールを尋ねています

女性の顔写真アイコン:「高等裁判所の受付を担当しております◯◯◯(※女性のフルネーム)と申します。何かお力になれることがございましたら、お知らせください。」

流石に職員がフルネームを名乗ることは考えにくい。

女性の名前をネット検索すると、いわゆる「四大事務所」と呼ばれる大手法律事務所に所属する女性弁護士のページにたどりついた。チャットで表示されるプロフィール写真とも合致する。

大手法律事務所の公式サイトのプロフィール写真が、なりすましサイトでも悪用されていたのだ。

●幾重にもかけられた網

実在する弁護士にとっても迷惑極まりない。無断でなりすましサイトに顔と名前が使われることは、肖像権や著作権の侵害にあたりうる。

なりすましの偽サイトを見つけたのは4月16日午前中だったが、同日午後3時半ころには、サイトは閲覧できなくなっていた。

画像タイトル なりすましサイトは中国語(「管理者によって停止している」)が表示されるようになった。(4月16日午後3時台)

裁判所の公式サイトと、偽サイトを並べてみると、ほとんど見分けがつかない。偽サイトのトップページでは、「なりすましサイトへの注意」まで呼びかけていて、盗人猛々しい。

画像タイトル 裁判所の公式サイト(https://www.courts.go.jp/index.html)

画像タイトル 裁判所のなりすましサイト

裁判所のなりすましサイトは他にも存在する可能性がある。少しでも違和感があれば、URLを確認してみることが自衛となる。不用意にアクセスすると、詐欺などの被害に巻き込まれる可能性があり、注意が必要だ。

ちなみに最高裁の公式アカウントによる注意喚起は、4月1日のことだった。弁護士ドットコムニュースの中には「エイプリルフールかも?」と思ってしまった記者もいた。

(※4月17日:最高裁への取材内容を追記しました)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る