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AKB48指原莉乃のプライベート情報を週刊誌に持ち込んだ男性に法的責任はあるか
2012年06月22日 15時20分

6月14日に発売された総合週刊誌「週刊文春」にて、アイドルグループAKB48の人気メンバーである指原莉乃さんのゴシップ記事が掲載された。

記事では指原さんと過去に交際関係にあったと自称する男性が、指原さんと交際に至った経緯や交際していた時のやり取りについて語っている。指原さんはこの記事について、この男性とは友人関係だとして恋人としての交際関係は否定したが、先日のファン投票によるAKB総選挙で4位に入る躍進を遂げたばかりの指原さんにとっては、勢いに水を差されてしまった格好だ。

現時点でこの記事の内容の真偽は不明だが、著名人のゴシップ記事についてはこれまで多くの前例があるように、もし記事の内容が事実に基づかないものである場合には、指原さんは出版社に対して名誉毀損による損害賠償を請求することが可能である。

しかし、今回の記事は交際関係にあったと自称する男性の発言が重要な内容になっているため、もしこの男性の発言内容が事実と異なる場合には、出版社とともにこの男性にも法的な責任が生じることになるのだろうか。

また、男性の発言内容が事実だとしても、今回のように週刊誌に著名人のプライベートの内容を教える行為は法的に問題がないのであろうか。著名人の週刊誌に対する名誉棄損訴訟などを多数手掛けている秋山亘弁護士に聞いた。

「まず、発言内容が事実と異なる場合には、当該男性は、名誉毀損としての民事上の不法行為責任が生じ、損害賠償責任を負うことになります。男女間の交際という事実は、一般的に言えば人の社会的評価を低下させる事実とは言えず、名誉棄損には当たらないと言えますが、今回のケースでは、恋愛禁止というAKBルールに違反して交際をしていたということになりますから、その意味で指原氏の名誉を棄損したと言えることになります。また、このようなケースでは稀ですが、発言内容が事実と異なると認識しながらこのような発言をしたという場合には、名誉棄損罪として刑事責任を問われる可能性もあります。」

「また、発言内容が仮に事実であった場合において、男女間の私的な交際関係を当該男性が週刊誌に赤裸々に告白することに法的な問題はないかという点については、法律の専門家である弁護士、裁判官の中でもかなり意見が分かれる問題だと思います。」

「週刊誌の報道によると、この男性は『周囲には絶対に二人の関係を話さない』という指原氏との約束のもとで交際を開始したとのことですが、この場合は男女間の私的な交際関係という『機微』に関する約束事ですので、芸能人という指原氏の立場に鑑みても、この約束は法的にも尊重されるべきといえます。週刊誌が取材活動の結果たまたま二人の関係を『フォーカス』したというのと、当該男性が指原氏との上記約束に反して積極的に二人の関係を週刊誌に告白したというのとでは、問題とされるべき状況が異なると言えます。」

「もっとも、指原氏と当該男性の約束は、一般的な男女の関係であれば問題なく法的に尊重されるべきと言えますが、指原氏は恋愛禁止ルールのあるAKBに所属しており、仮にそのルールに違反したのだとすれば、恋愛禁止をうたった上での芸能活動という世間一般の信頼を裏切ることになります。このような観点からすれば指原氏と当該男性の約束は法的な保護には値しないという考え方もあり得るでしょう。」

それではどちらの考え方がより説得的か。

「確かに、恋愛禁止ルールに反したという指原氏の行動に問題がなかったわけではないと思います。しかし、だからと言ってそれを理由に当該男性の約束違反の行動を正当化できるかというと、そうとは言えないと考えられます。男女間のプライベートな約束を一方的に反故にした上で、積極的に週刊誌にその内容を告白した以上、当該二人の法律関係としては、当該男性の約束違反の行為に対しては違法との評価を免れないと考えられます。」

「したがって、仮に発言内容が事実であったとしても、当該男性は指原氏に対し民事上の不法行為責任を負う可能性は十分にあるのではないかと考えられます。」

指原さん側がこの男性に対して法的措置を検討しているかどうかは明らかでないが、安易に著名人のプライベートな情報を広めてしまうことには法的なリスクが生じることに気をつけたい。

(弁護士ドットコムニュース)

6月14日に発売された総合週刊誌「週刊文春」にて、アイドルグループAKB48の人気メンバーである指原莉乃さんのゴシップ記事が掲載された。

記事では指原さんと過去に交際関係にあったと自称する男性が、指原さんと交際に至った経緯や交際していた時のやり取りについて語っている。指原さんはこの記事について、この男性とは友人関係だとして恋人としての交際関係は否定したが、先日のファン投票によるAKB総選挙で4位に入る躍進を遂げたばかりの指原さんにとっては、勢いに水を差されてしまった格好だ。

現時点でこの記事の内容の真偽は不明だが、著名人のゴシップ記事についてはこれまで多くの前例があるように、もし記事の内容が事実に基づかないものである場合には、指原さんは出版社に対して名誉毀損による損害賠償を請求することが可能である。

しかし、今回の記事は交際関係にあったと自称する男性の発言が重要な内容になっているため、もしこの男性の発言内容が事実と異なる場合には、出版社とともにこの男性にも法的な責任が生じることになるのだろうか。

また、男性の発言内容が事実だとしても、今回のように週刊誌に著名人のプライベートの内容を教える行為は法的に問題がないのであろうか。著名人の週刊誌に対する名誉棄損訴訟などを多数手掛けている秋山亘弁護士に聞いた。

「まず、発言内容が事実と異なる場合には、当該男性は、名誉毀損としての民事上の不法行為責任が生じ、損害賠償責任を負うことになります。男女間の交際という事実は、一般的に言えば人の社会的評価を低下させる事実とは言えず、名誉棄損には当たらないと言えますが、今回のケースでは、恋愛禁止というAKBルールに違反して交際をしていたということになりますから、その意味で指原氏の名誉を棄損したと言えることになります。また、このようなケースでは稀ですが、発言内容が事実と異なると認識しながらこのような発言をしたという場合には、名誉棄損罪として刑事責任を問われる可能性もあります。」

「また、発言内容が仮に事実であった場合において、男女間の私的な交際関係を当該男性が週刊誌に赤裸々に告白することに法的な問題はないかという点については、法律の専門家である弁護士、裁判官の中でもかなり意見が分かれる問題だと思います。」

「週刊誌の報道によると、この男性は『周囲には絶対に二人の関係を話さない』という指原氏との約束のもとで交際を開始したとのことですが、この場合は男女間の私的な交際関係という『機微』に関する約束事ですので、芸能人という指原氏の立場に鑑みても、この約束は法的にも尊重されるべきといえます。週刊誌が取材活動の結果たまたま二人の関係を『フォーカス』したというのと、当該男性が指原氏との上記約束に反して積極的に二人の関係を週刊誌に告白したというのとでは、問題とされるべき状況が異なると言えます。」

「もっとも、指原氏と当該男性の約束は、一般的な男女の関係であれば問題なく法的に尊重されるべきと言えますが、指原氏は恋愛禁止ルールのあるAKBに所属しており、仮にそのルールに違反したのだとすれば、恋愛禁止をうたった上での芸能活動という世間一般の信頼を裏切ることになります。このような観点からすれば指原氏と当該男性の約束は法的な保護には値しないという考え方もあり得るでしょう。」

それではどちらの考え方がより説得的か。

「確かに、恋愛禁止ルールに反したという指原氏の行動に問題がなかったわけではないと思います。しかし、だからと言ってそれを理由に当該男性の約束違反の行動を正当化できるかというと、そうとは言えないと考えられます。男女間のプライベートな約束を一方的に反故にした上で、積極的に週刊誌にその内容を告白した以上、当該二人の法律関係としては、当該男性の約束違反の行為に対しては違法との評価を免れないと考えられます。」

「したがって、仮に発言内容が事実であったとしても、当該男性は指原氏に対し民事上の不法行為責任を負う可能性は十分にあるのではないかと考えられます。」

指原さん側がこの男性に対して法的措置を検討しているかどうかは明らかでないが、安易に著名人のプライベートな情報を広めてしまうことには法的なリスクが生じることに気をつけたい。

(弁護士ドットコムニュース)

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