5983.jpg
加藤官房長官の「コラ画像」法的問題は? 地震後に「嬉しそうに記者会見」と虚偽ツイート
2021年04月13日 21時30分

加藤勝信官房長官は4月12日、2月に福島、宮城両県で震度6強の地震が発生した時の記者会見の画像が改ざんされてツイッターに投稿されていたとして、ツイッター社に通報し削除されたことを明らかにした。

NHK(4月12日)によると、加藤官房長官は「画像を改ざんし、あたかも実際の会見のもようであるかのようにして拡散する行為は、国民に混乱と誤解を与えかねない。被災地域の皆さんに、大変不快な思いをさせているもので、許されず、看過できない」と話したという。

削除されたツイートはどのようなものだったか定かではないが、4月12日17時現在も、笑顔で記者会見する加藤官房長官の画像を添付し「嬉しそうに笑いが止まらないような表情で、記者会見」、「官房長官の資格が無い」と記したツイートが残っている。元画像はテレビの映像を切り取ったものとみられる。

このツイートは地震発生翌日に呟かれたものだが、これに対し、「この人いつもヘラヘラして…にしても何でこんなに嬉しそうなん!?」「久々に見たなニヤニヤ」「一刻を争う時に白い歯を見せている余裕なんてないと思います」と加藤官房長官を批判するコメントも寄せられていた。

有名人の写真を面白おかしく加工したコラ画像はネットで度々見かけるが、果たしてどのような法的問題があるのだろうか。小沢一仁弁護士に聞いた。

加藤勝信官房長官は4月12日、2月に福島、宮城両県で震度6強の地震が発生した時の記者会見の画像が改ざんされてツイッターに投稿されていたとして、ツイッター社に通報し削除されたことを明らかにした。

NHK(4月12日)によると、加藤官房長官は「画像を改ざんし、あたかも実際の会見のもようであるかのようにして拡散する行為は、国民に混乱と誤解を与えかねない。被災地域の皆さんに、大変不快な思いをさせているもので、許されず、看過できない」と話したという。

削除されたツイートはどのようなものだったか定かではないが、4月12日17時現在も、笑顔で記者会見する加藤官房長官の画像を添付し「嬉しそうに笑いが止まらないような表情で、記者会見」、「官房長官の資格が無い」と記したツイートが残っている。元画像はテレビの映像を切り取ったものとみられる。

このツイートは地震発生翌日に呟かれたものだが、これに対し、「この人いつもヘラヘラして…にしても何でこんなに嬉しそうなん!?」「久々に見たなニヤニヤ」「一刻を争う時に白い歯を見せている余裕なんてないと思います」と加藤官房長官を批判するコメントも寄せられていた。

有名人の写真を面白おかしく加工したコラ画像はネットで度々見かけるが、果たしてどのような法的問題があるのだろうか。小沢一仁弁護士に聞いた。

●名誉権侵害に当たる

今回のように、加藤官房長官が会見中に笑っていないのに、笑ったかのように加工された写真をSNSに投稿することは、その写真の内容からすれば、加藤官房長官が会見中に笑ったとの事実を公然と摘示するといえると思われます。

大規模な地震が発生した際の記者会見で、写真のような笑みを見せることは不適切であり、非難に値するものなので、当該事実は加藤官房長官の社会的評価を低下させます。

そして、摘示された事実が虚偽であることは明らかなので、違法性阻却事由は存在しません。

そのため、加工写真をSNSに投稿する行為は、公的な立場であることを考慮しても、加藤官房長官に対する名誉権侵害に当たると思われます。

また、元の映像ないし写真が他人の著作物である場合は、著作権法上の問題も生じると思われますし、今回の投稿により抗議が殺到するなどして窓口部署等の業務に支障を生じさせる場合は、業務妨害も問題になると思われます。

ハッシュタグを見ると、自民党を批判する目的で事実をでっち上げたようにも思われます。政治的言論の自由は広く保障されるべきですが、今回のような行為は、言論として許される範囲を明らかに逸脱するものであり、不当だと思います。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る