6014.jpg
「ドローン空撮」で電波法違反? 機体を飛ばすときに注意すべき「法律問題」
2015年05月27日 12時45分

マラソン大会を空撮するため、小型の無人飛行機「ドローン」に、無免許では使えない周波数帯の電波を発する送信機を取り付けたとして、東京都の映像撮影会社と社長が5月中旬、電波法違反の疑いで書類送検された。

報道によると、社長は昨年11月、神奈川県で開かれた「湘南国際マラソン」を撮影するため、カメラ付きドローンを飛ばした。その際、総務大臣の免許を得ないで、5.8ギガヘルツ帯の電波を使用する映像伝送用の「無線装置」を取り付けた疑いが持たれている。

警察の取り調べに対して、社長は「ほかの会社もドローンで空撮していたので、混信するリスクを避けるため一時的に使った」と話しているという。ドローンをめぐって「電波法違反」の疑いで摘発されたのは、全国初ということだ。今回のポイントや利用者が注意すべき点について、南部朋子弁護士に聞いた。

マラソン大会を空撮するため、小型の無人飛行機「ドローン」に、無免許では使えない周波数帯の電波を発する送信機を取り付けたとして、東京都の映像撮影会社と社長が5月中旬、電波法違反の疑いで書類送検された。

報道によると、社長は昨年11月、神奈川県で開かれた「湘南国際マラソン」を撮影するため、カメラ付きドローンを飛ばした。その際、総務大臣の免許を得ないで、5.8ギガヘルツ帯の電波を使用する映像伝送用の「無線装置」を取り付けた疑いが持たれている。

警察の取り調べに対して、社長は「ほかの会社もドローンで空撮していたので、混信するリスクを避けるため一時的に使った」と話しているという。ドローンをめぐって「電波法違反」の疑いで摘発されたのは、全国初ということだ。今回のポイントや利用者が注意すべき点について、南部朋子弁護士に聞いた。

●無線の利用には、原則として、総務大臣の免許がいる

「電波法では、電波を送受信する無線設備を用いる場合、原則として、総務大臣の免許(無線局の開設の免許)が必要とされています。

無線局の開設というのは、無線設備を設置し、それを操作する人が電波を発射できる状態にすることです。

例外的に、発射する電波が著しく微弱な無線局や、電波法令で定める技術基準に適合する無線設備だけを使用し、無線局の目的や運用が特定されている無線局を開設する場合は、免許が不要です」

南部弁護士はこのように電波法について説明する。今回のケースはどうなのだろうか。

「電波を使って映像を伝送する無線機を利用することも、無線局の開設にあたります。今回のケースでは、おそらく、

(1)ドローンに取り付けて使用していた無線機が、日本の技術基準に適合していなかった

(2)その無線機を使って開設した無線局が、発射する電波が著しく微弱な無線局にも該当しなかった

ものと考えられます。ですから、無線局開設の免許が必要なのに、その免許を取得しないまま無線局を開設した疑いで摘発されたのでしょう」

無免許で無線局を開設した場合、どのような罰則があるのだろうか。

「不法無線局の開設行為については、電波法上、『1年以下の懲役または100万円以下の罰金』という罰則があります。会社の代表者などがおこなった不法無線局の開設に対しては、会社にも罰金刑が科せられます」

●並行輸入品や海外サイトから直接購入したドローンには注意

ドローンは、一般の人の間にも普及しつつある。気軽に使ってみたところ、法律違反と言われないためには、どんな点に注意すべきなのだろうか。

「海外と日本では、電波利用の規制が異なります。

たとえば、並行輸入品や海外サイトから直接購入したドローンは、電波法上の技術基準に適合していない可能性があります。いわゆる『技適マーク』がない状態です。

そのため、日本では使えないことがあります。また、技適マークのある製品でも、カスタマイズによって違法な改造品となり、使用できなくなることもありますので、注意が必要です」

ドローンをめぐっては、事故も多発している。報道によると、今回のケースでは、ドローンが墜落して、マラソン大会の関係者がプロペラで顔を切るケガを負ったという。

「ドローンの利用は、人身事故に発展するおそれがあります。利用する際は、誤操作や誤作動等による墜落リスクの存在を忘れずに、自分や第三者を傷つけることのないよう、慎重に行動していただきたいと思います」

南部弁護士はこのように警鐘を鳴らしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る