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専門家が動画を見て「児童ポルノ」かどうかを判断――冤罪の恐れはないか?
2015年06月17日 15時55分

動画を見た専門家が少女を「18歳未満」と判断した――。児童売春等目的人身売買罪の疑いで逮捕されていた群馬県の男性が5月下旬、児童ポルノ製造罪の容疑で茨城県警に再逮捕された。

報道によると、男性は今年4月4日と同18日、東京都内のホテルで、18歳未満と知りながら少女2人の裸体をそれぞれビデオカメラで撮影し、児童ポルノを製造した疑いが持たれている。専門家による動画の鑑定から、映っている少女が「18歳未満」と判断されたという。

つまり、専門家が動画を見て、「児童ポルノ」にあたるかどうかを判断しているといえるが、このような方式について、ネット上では「見た目だけでは無理」「冤罪(えんざい)が起こるのではないか」という声もあがっている。刑事事件にくわしい岡田功弁護士に聞いた。

動画を見た専門家が少女を「18歳未満」と判断した――。児童売春等目的人身売買罪の疑いで逮捕されていた群馬県の男性が5月下旬、児童ポルノ製造罪の容疑で茨城県警に再逮捕された。

報道によると、男性は今年4月4日と同18日、東京都内のホテルで、18歳未満と知りながら少女2人の裸体をそれぞれビデオカメラで撮影し、児童ポルノを製造した疑いが持たれている。専門家による動画の鑑定から、映っている少女が「18歳未満」と判断されたという。

つまり、専門家が動画を見て、「児童ポルノ」にあたるかどうかを判断しているといえるが、このような方式について、ネット上では「見た目だけでは無理」「冤罪(えんざい)が起こるのではないか」という声もあがっている。刑事事件にくわしい岡田功弁護士に聞いた。

●誰がどう見ても「18歳未満」にしか見えない場合

「ビデオカメラなどで人の裸を撮影した行為が、児童ポルノ製造罪として処罰されるためには、撮影対象者が『児童』、つまり『18歳未満であること』が、客観的な証拠によって認められる必要があります」

岡田弁護士はこう切り出した。どこの誰か特定できないような場合はどうするのか。

「その場合、実年齢を確認することができません。しかし、だからと言って、処罰しないとすれば、法律が予定した取締りの目的を達せられないことになります。

たとえば、よちよち歩きの赤ちゃんの裸体を撮影した動画を作成し、販売して流通させるというケースを考えてみましょう。

その赤ちゃんの身元がわからず、年齢が確認できなくて不処罰になるとしたら、常識的な人であれば、違和感を覚えると思います。

撮影対象者について、誰がどう見ても、『18歳未満』にしか見えないような場合は、実年齢が『18歳未満』である可能性が高いでしょう。また、撮影者も、撮影対象者が『18歳未満』と認識している可能性が極めて高いといえます」

たしかに、このような場合、撮影者が児童ポルノ製造罪で処罰されることに、異論を唱える人は少ないかもしれない。

●見た目だけで『18歳未満』であるかどうか微妙な場合

どうして、専門家が年齢鑑定をおこなうのか。

「捜査機関としては、撮影対象者が『18歳未満』であることについて、できる限り客観的な証拠を得たいと考えるのが通常です。そのため、専門家による年齢鑑定を実施しているものと考えられます」

どのような鑑定をおこなうのだろうか。

「医師などの専門家が、撮影対象者の体の部位の発達の程度や、皮下脂肪の付き方などの医学的根拠にもとづいて、年齢を鑑定するようです。

しかし、当然のことですが、個人差や特異性もありますので、厳密な年齢を判別することまではできず、一定の年齢幅を推定できるに過ぎません。

たとえば、鑑定の結果、16~18歳程度と判定された場合には、18歳の可能性があるわけですから、処罰(立件)される可能性は格段に少なくなります。他方、鑑定の結果、10~12歳程度や14~16歳程度と判定された場合は、有罪の有力な証拠となります」

鑑定が間違っていた場合、冤罪が起きそうだが・・・。

「そのリスクも否定できません。

いずれにしても、撮影対象者の実年齢が不明にもかかわらず、処罰(立件)される事件は、撮影対象者がその映像から、一見して『18歳未満』と見受けられる場合に限られるでしょう。

そもそも、児童ポルノ製造罪が成立するためには、撮影対象者が『18歳未満』であることの認識(故意)が必要です。一見して『18歳未満』とはいえないようなケースで、もし撮影者が『18歳以上だと思った』などと弁解した場合、それを覆すことは容易でないので、鑑定結果にかかわらず、処罰(立件)することは困難といえます。

結局、見た目だけで『18歳未満』であるかどうか微妙な場合は、鑑定結果にかかわらず、処罰(立件)される可能性はとても低いでしょう」

岡田弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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