627.jpg
財産ゼロ、失業して「不倫の慰謝料」を払えない! 「自己破産」すれば免除される?
2018年03月23日 09時50分

不倫の慰謝料を月々、分割で支払っているが、失業したため支払いができない。どうしたらいいかーー。そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

相談者によれば、「不貞行為の慰謝料支払いが月々15000円ある」という。しかし仕事を失ったため、「収入がなく、支払いできないんです」。また「子どもが2人いて、財産などないです」。

このような場合、自己破産をしてしまえば、以後の支払いは免除されるのだろうか。加藤 寛崇弁護士に聞いた。

不倫の慰謝料を月々、分割で支払っているが、失業したため支払いができない。どうしたらいいかーー。そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

相談者によれば、「不貞行為の慰謝料支払いが月々15000円ある」という。しかし仕事を失ったため、「収入がなく、支払いできないんです」。また「子どもが2人いて、財産などないです」。

このような場合、自己破産をしてしまえば、以後の支払いは免除されるのだろうか。加藤 寛崇弁護士に聞いた。

●自己破産が認められるケース、認められないケースがある

「支払能力を欠くために、借金などの返済ができない状態が継続している場合、自己破産が可能です。ご質問の内容からは、一時的な失職かどうか分かりませんし、支払うべき慰謝料の残額も不明なので、これだけの事情では自己破産できるかどうかは分かりません。

自己破産の要件は必ずしも厳格ではないのですが、今回は自己破産したと仮定して、その場合に慰謝料の支払義務を免れるかどうかを検討しましょう」

自己破産の理由として認められるものと、認められないものがあるのか。

「浪費や賭博で多額の借金をつくったなど問題のある事情は『非免責事由』に該当し、自己破産は認められません。

一方で、こうした事情がなければ支払い義務は免責され、借金などの支払義務がなくなります。また、非免責事由が存在しても、その程度が重くない場合などには、裁判所が裁量で免責を認めることも少なくありません」

不貞行為の慰謝料はどうか。

「不貞行為で支払義務を負ったことはどの非免責事由にも当たらないので、別個に非免責事由に当たる事情がない限りは、免責されることになります」

●免責されても「支払い義務」は残る

「ただし、免責されても、全ての支払義務がなくなるわけではありません。

『非免責債権』といって、破産手続で免責されても支払義務が残るものもあります。養育費や税金などは、きちんと支払義務を果たすべきものとして、自己破産後も支払い義務はあります」

慰謝料については、どうだろうか。

「結論としては、支払義務を免れる可能性が高いです。

他人に被害を及ぼしたことによる損害賠償義務で非免責債権に当たるものとしては、『破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権』と『破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権』とがあります。

このうち、不貞行為は、他人の『生命又は身体を害する』行為ではないので、前者には該当しません。

該当する余地があるとすれば、後者の『破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権』でしょう。ここでいう『悪意』とは、積極的な害意を意味します。不貞行為に即して言うなら、積極的に相手の家庭を壊す目的で不貞をしたような場合でないと該当しないことになります。しかし一般には、そのような不貞はないでしょう。

この点が争われた事例はそれほど多くは見受けられませんが、見受けられる範囲では、不貞行為の慰謝料支払義務は、非免責債権には当たらないと判断している判決が大勢です」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る