俳優の坂口健太郎さんと一般女性の同棲を9日11日発売の『週刊文春』(9月18日号)が報じました。同誌によれば、坂口さんは女性と同棲生活を送る一方で、永野さんとも交際していた時期があったそうです。
SNSでは4年も同棲していたことから、「慰謝料をもらえないのか」という声もありました。一般的に、同棲しているパートナーが浮気した場合、浮気相手に慰謝料を求めるなど法的な請求はできるのでしょうか。
●「内縁」や「婚約」といえるか?
原則として、結婚していないカップルの場合、貞操義務は発生しないため、浮気しても浮気相手に対して慰謝料などの法的請求はできません。
ただし、法的に結婚していないパートナーの浮気に対して慰謝料請求が一切認められないわけではありません。内縁関係にあったり、婚約状態にあると認められる場合には、貞操義務が認められ、慰謝料請求の対象となる可能性があります。
なお、これらの場合、パートナーに対してだけでなく、浮気相手に対しても、不法行為に基づく慰謝料請求が認められる可能性があります。
●内縁関係が認められる場合とは?
内縁関係とは、婚姻の意思があり、夫婦として社会的に認められる共同生活を営んでいるにもかかわらず、婚姻届を提出していない男女の関係を指します。
具体的には、当事者間に社会通念上の夫婦共同生活を営む意思(婚姻意思)があるという主観面と、夫婦共同生活の実体があるという客観面により判断されます。
なお、婚姻意思の判断にあたっては、社会通念上夫婦と認められる関係を形成する意思があるかどうかが問題となりますが、婚姻届を提出する意思までは要求されません。
夫婦共同生活の実態があるかどうかの判断にあたっては、長年同棲していたという事実も考慮されますが、それだけでなく、周囲から見て夫婦と認められるような実態があったか、住民票や保険関係などの外形的事実がどうなっていたかなども考慮されます。
なお、いくら同棲期間が長くても、それだけだと婚姻する意思があったという評価に直接つながるわけではないため、内縁にはあたらないと考えられています。
●「婚約」といえるためには?
内縁関係に至っていない場合でも、婚約していたと認められる場合には、パートナーは互いに貞操義務を負い、その貞操義務に反したことを理由とした慰謝料請求が認められる余地があります。
「婚約」についても、双方に婚姻意思があること(主観面)と、婚約している事実が客観的・外形的に認められること(客観面)により判断されます。
たとえば、婚約指輪や結納があったのか、結婚式等の準備が行われていたか、両親や知人への紹介、結婚生活に向けた具体的な準備などが考慮されます。
なお、両親や知人への紹介については、単に交際相手として紹介していただけでは足りず、結婚する予定の相手として紹介していたかどうかが問題となります。