6795.jpg
フジ改革案ってどう?現役の女性局アナの評価は 調整役「コーディネーター」新設に期待も
2025年05月02日 10時24分
#フジテレビ

フジテレビとフジ・メディアHDは、中居正広さんが元女性社員に性暴力をくわえた一連の問題をめぐり、改革案を発表した。

その中でも「編成・バラエティ部門の解体・再編とアナウンス室の独立」に注目する。詳細が明らかになるのはこれからだろうが、運用次第ではテレビ業界の問題点の改善につながる可能性を秘めていると思う。

すでにテレビ業界内でも改革プランは注目を集めている。現役のアナウンサーの目にどう映っているのか。あるテレビ局の女性アナウンサーが匿名を条件に答えた。(テレビプロデューサー・鎮目博道)

フジテレビとフジ・メディアHDは、中居正広さんが元女性社員に性暴力をくわえた一連の問題をめぐり、改革案を発表した。

その中でも「編成・バラエティ部門の解体・再編とアナウンス室の独立」に注目する。詳細が明らかになるのはこれからだろうが、運用次第ではテレビ業界の問題点の改善につながる可能性を秘めていると思う。

すでにテレビ業界内でも改革プランは注目を集めている。現役のアナウンサーの目にどう映っているのか。あるテレビ局の女性アナウンサーが匿名を条件に答えた。(テレビプロデューサー・鎮目博道)

●新設の「コーディネーター」に期待

アナウンス室の独立に関連して、番組との調整役を果たす「コーディネーター」という職種が新設されるという。これは評価できる。

私が取材した女性アナ(以下、Aアナ)も「前からこういうマネージャー的な人がいてくれたらいいなと思っていた」と期待感を口にする。

各局のアナウンス部署で番組との調整役を担うのは「デスク」と呼ばれる人物だ。通常はベテランのアナが務め、アナウンサーのシフトを管理している。

現状では、デスクは「番組からの依頼を管理して割り振るだけ」の存在に近い。

「あまりに無理な依頼」であれば断ることもあるが、さほど「積極的な調整役」として機能しているとは言いがたい。

キャスティング側となる番組制作部署だが、実はアナウンサーの能力に関する情報が少ない。アナのイメージや人気だけを根拠になんとなくキャスティングされる傾向がある。

その結果として「若くてかわいい人気アナ」ばかりが起用され、実力はあっても人気がなければ出演チャンスすら訪れない。

アナウンサーにとっては「なんとかして自分の人気や知名度を上げなければ」という無言のプレッシャーとなる。

局のアナウンサーは社員でありながら出演者という独特な立ち位置にある。そして、それが「弱さ」を生んでいると言える。

そこにコーディネーターが存在するとどうなるか。アナウンサーは個人で番組制作部署と向き合わなくて済むようになるかもしれない。

たとえば、アナウンサーが自らを売り込み、仕事をつかむための「営業」目的で、嫌な飲み会に参加させられたりしなくて済むかもしれない。

コーディネーターは、芸能事務所の営業やマネージャーのように「このアナウンサーにはこんな得意分野がある。この仕事には彼女が適任ではないか」と売り込みや情報提供の役割も期待される。

結果的に「有名なアナだけに仕事が来るということがなくなるかも」(Aアナ)というわけだ。

●アナウンス室の独立だけではあまり意味がなさそう

なお、改革案では、アナウンス室を編成局から独立させるというが、独立自体ではあまり意味があるように思えない。

Aアナも「そもそもテレビ各局では、アナウンス室は今でも独立してるようなもの。独立したところでキャスティング権限がアナウンス室に来るとは思えない」と話す。

しかし、これがアナウンス「室」がアナウンス「局」に変わり、あたかも「ひとつの芸能事務所」のような組織になるならそれは意味があるだろう。

アナウンス局の中に「コーディネート部」のような部署が新設され、その中にマネージャー的なコーディネーターが多数在籍して活動するイメージだ。

フジテレビならば、在籍するアナウンサーの数を考えると「5人〜10人のコーディネーターがいるならいいのでは」(Aアナ)。

●テレビ番組のキャスティングの透明化も

もうひとつの改革の柱である「編成・バラエティ部門の解体・再編」については、実はそれほど期待値は高くない。これまでも各局で、ことあるごとに編成・制作部署の組織改編がなされてきたからだ。

名称を変えても、人事異動をするだけならあまり意味はないと思える。

改革案の公表にあたり、フジテレビの清水社長は「面白くなければテレビじゃない、からの脱却」を口にしたが、ある意味で「面白くなければテレビじゃない」は普遍の真理だ。脱却する必要はまったく無いと思う。

大切なのは「いかに透明な過程で面白いテレビを作るか」だ。

キャスティングにおける透明性を確保することが大切であって、「キャスティングをオーディションとか入札制にする」(Aアナ)といったレベルのドラスティックな改革が必要だ。

もっと言えば、テレビ番組の企画選考の過程はあまりにブラックボックスすぎる。

もっと公明正大に「番組企画の公募と、透明な選考過程の公表」をすべきだ。

そのために制作部署を全面改革し、番組制作の方策を根本から見直すのだとするならば「編成・バラエティ部門の解体・再編」も意味を持つだろう。

●外部スタッフはどうする?

最後にもうひとつ。大切なのは「被害に遭うのはアナウンサーだけではない」ということだ。

局員全員が被害者になる可能性があるし、外部スタッフも守られなければならない。テレビ業界で働いているのは局員だけではない。

その観点での施策が、今回あまり見えてきていないのが残念だ。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る