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ファストフード店員「最低時給」が1800円に!ニューヨークの動きは日本にも及ぶ?
2015年07月25日 09時55分

アメリカ・ニューヨーク州の賃金委員会は7月22日、「ファストフード店で働く人たちの最低時給を15ドル(約1850円)にするよう勧告する」と決議した。このことでニューヨーク州では、ファストフード店員の最低賃金引き上げが今後数年かけて段階的に実施される見込みとなった。ニューヨーク州の最低時給は現在8.75ドル(約1080円)で、それと比べて大きな上乗せとなる。

ファストフード賃金委員会メンバーは「ファストフード店員の相当数は、健康的な生活を送るのに十分な賃金を得ていない」と、引き上げ理由を説明した。

同委員会によると、賃金引き上げの対象となるのは、一定規模以上のファストフード店で接客、調理、配達、清掃、メンテナンスなどの業務に従事している人たちだ。ファストフード店とは「食べたり飲んだりする前にお金を払うスタイルの飲食店」と定義され、今回対象となるのは、30店舗以上を展開しているチェーンとされている。

一方、この勧告には反発の声も出ている。ニューヨーク州レストラン協会は「(ファストフードという)飲食産業の一部門だけに、不公平で差別的な賃金増加を押し付けようとしている」「急上昇する労働コストの穴埋めするため、オーナー側に営業時間短縮、解雇やテクノロジー利用を強制する、極端な政策だ」と批判している。

この勧告は、日本にも影響を及ぼすのだろうか。日米の最低賃金問題に詳しい三浦直子弁護士に聞いた。

アメリカ・ニューヨーク州の賃金委員会は7月22日、「ファストフード店で働く人たちの最低時給を15ドル(約1850円)にするよう勧告する」と決議した。このことでニューヨーク州では、ファストフード店員の最低賃金引き上げが今後数年かけて段階的に実施される見込みとなった。ニューヨーク州の最低時給は現在8.75ドル(約1080円)で、それと比べて大きな上乗せとなる。

ファストフード賃金委員会メンバーは「ファストフード店員の相当数は、健康的な生活を送るのに十分な賃金を得ていない」と、引き上げ理由を説明した。

同委員会によると、賃金引き上げの対象となるのは、一定規模以上のファストフード店で接客、調理、配達、清掃、メンテナンスなどの業務に従事している人たちだ。ファストフード店とは「食べたり飲んだりする前にお金を払うスタイルの飲食店」と定義され、今回対象となるのは、30店舗以上を展開しているチェーンとされている。

一方、この勧告には反発の声も出ている。ニューヨーク州レストラン協会は「(ファストフードという)飲食産業の一部門だけに、不公平で差別的な賃金増加を押し付けようとしている」「急上昇する労働コストの穴埋めするため、オーナー側に営業時間短縮、解雇やテクノロジー利用を強制する、極端な政策だ」と批判している。

この勧告は、日本にも影響を及ぼすのだろうか。日米の最低賃金問題に詳しい三浦直子弁護士に聞いた。

●アメリカでは「連邦」「州」「自治体」の各段階で最低賃金アップの動き

アメリカでは、ここ数年、最低賃金を引き上げる動きが加速しています。

2011年1月、オバマ大統領が「連邦最低賃金を7.25ドルから10.10ドルにすべきだ」と発言して、議会に働きかけました。

さらに「州」のレベルでも、最低賃金引き上げの動きがあります。現在、約30の州が連邦最低賃金を上回る「州の最低賃金」を定めていて、そのほとんどは、ここ2年くらいの間に引き上げられました。

また、「市」のレベルでも、ここ2年くらいの間に、18の市・郡が、新たに独自の最低賃金を設定するか、段階的に引き上げることを決めています。直近では、本年5月、ロサンゼルス市議会が、最低賃金を2020年までに15ドルに引き上げることを可決しました。

●「ウォール街占拠」など労働運動、市民運動が後押し

背景には、貧富の格差と貧困の拡大、そして、低賃金と劣悪な労働条件で働かされる労動者の増加があります。

そうした背景から、労働者、労働組合、市民が声をあげた「ウォール街占拠運動」が起きました。また、時給15ドルの実現をめざすファストフード従業員らの運動も広がりました。低賃金労働の代名詞と言えるファストフード労動者が立ち上がったことで、最低賃金を引き上げる動きが全米に広がり、加速したのです。

今回のニューヨーク州ファストフード賃金委員会の勧告も、そうした流れに影響を受けた、非常に画期的なものであるといえます。

●格差・貧困問題を解決するひとつの大きな鍵

この「ファストフード」時給15ドルをめざす運動は、ニューヨーク市が発祥の地ですが、世界に広がっています。日本でも昨年から、全世界35カ国、全米では236都市とともに「世界同時アクション」が行われるなど、運動が行われています。今回の勧告は、最低賃金引き上げの動きに、さらに拍車をかけるでしょうし、影響は日本にも及ぶと思います。

最低賃金の引き上げについては、否定的な意見もみられますが、経済に悪影響を与えるものではありません。

アメリカでは、過去20年にわたって多くの学術的な研究が蓄積されています。

その中には例えば、最低賃金が上がったことで、離職率が下がって、新規訓練のための費用が減る。従業員の業績が向上し、仕事の質が上がる。顧客からの苦情が減る・・・といった効果がある。それにより、賃金が上がった分の労働コストは吸収できる、という分析もありました。

また、低賃金労動者の上がった賃金は消費に回り、地域経済の活性化につながる。さらに、福祉に依存する労働者が減るので、福祉費用の削減に寄与し、その結果、中流層、富裕層にもメリットがあるとの分析もあります。

●格差・貧困問題「解決の大きな鍵」

アメリカと同様、日本においても、最低賃金の引き上げは、格差・貧困問題を解決するひとつの大きな鍵です。

最低賃金引き上げで、低賃金労働者の生活を底上げするとともに、中流層の賃金の値崩れを防ぐことができます。

日本の最低賃金が、47都道府県平均で780円というのは、アメリカの連邦最低賃金7.25ドル(約863円)とともに、先進国の中で最低クラスです。

今こそ、最低賃金の大幅な引き上げと、それをめざすアメリカのような労働者、市民の運動が重要だと思います。

(弁護士ドットコムニュース)

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