7202.jpg
マナーの悪い一部「撮り鉄」に鉄道会社が苦言、法的にも「違法」なのか?
2016年04月29日 07時41分
#撮り鉄

「綺麗に咲いている菜の花を踏みにじって何も感じないのでしょうか?」。敷地に入って、菜の花を踏み荒らし、電車を撮影していた鉄道ファンに向けて、真岡鉄道(もおかてつどう・本社:栃木県真岡市)が異例の呼びかけをおこない、大きな話題になった。

真岡鉄道の沿線は、鉄道ファン、特に「撮り鉄」と呼ばれるカメラマンの撮影スポットとして知られている。だが、線路近くで撮影している「撮り鉄」のほとんどが、真岡鉄道の敷地内に侵入しているという。

同社は4月11日、公式フェイスブックページに、踏み荒らされた菜の花の写真を掲載した。さらに、「はっきり言って違法だと思う」「今後はそのような事を絶対にしないでください」「関係ない、今まで通り好き勝手やる、そう思った方はもう来ないで下さい」と記した。

ネット上では、一部の「撮り鉄」のモラル欠如が指摘されている。これから行楽シーズンに入るが、トラブルに発展しないために、鉄道ファンはどういうことに気をつければいいのだろうか。また、今回のケースは「違法」なのだろうか。自身も鉄道ファンである前島憲司弁護士に聞いた。

「綺麗に咲いている菜の花を踏みにじって何も感じないのでしょうか?」。敷地に入って、菜の花を踏み荒らし、電車を撮影していた鉄道ファンに向けて、真岡鉄道(もおかてつどう・本社:栃木県真岡市)が異例の呼びかけをおこない、大きな話題になった。

真岡鉄道の沿線は、鉄道ファン、特に「撮り鉄」と呼ばれるカメラマンの撮影スポットとして知られている。だが、線路近くで撮影している「撮り鉄」のほとんどが、真岡鉄道の敷地内に侵入しているという。

同社は4月11日、公式フェイスブックページに、踏み荒らされた菜の花の写真を掲載した。さらに、「はっきり言って違法だと思う」「今後はそのような事を絶対にしないでください」「関係ない、今まで通り好き勝手やる、そう思った方はもう来ないで下さい」と記した。

ネット上では、一部の「撮り鉄」のモラル欠如が指摘されている。これから行楽シーズンに入るが、トラブルに発展しないために、鉄道ファンはどういうことに気をつければいいのだろうか。また、今回のケースは「違法」なのだろうか。自身も鉄道ファンである前島憲司弁護士に聞いた。

●鉄道会社の敷地にみだりに立ち入ることは「違法」

「『良い写真を撮りたい』という気持ちは、自分だけではありません。モラルの欠如した1人のために、みんなが写真を撮れなくなるということがおこりえます。小さいことでも、十分注意していただきたいと思います」

前島弁護士はこのように警鐘を鳴らす。今回のケースでいえば、法的にも「違法」になるのだろうか。

「鉄道会社の敷地内にみだりに立ち入ることは『違法』です。

鉄道営業法違反で1万円の科料、あるいは軽犯罪法違反で拘留(最長で29日の身柄拘束拘留)または科料という罰則を受けます。 

もっとも、ただ『立ち入った』というだけでは、罰則を受けることはありません」

●「悪質な立入りが増えること」を危惧・・・

では、どのような場合に罰則を受けるのだろうか。

「さまざまな事情が考慮されます。たとえば、敷地の所有者・管理者である鉄道会社が、立入りを承諾しているのであれば、犯罪は成立しません。

明確な承諾がなくても、『これくらいなら良いのではないか』と思って立ち入った場合、そう思うことが常識的に仕方がない状況であれば、犯罪が不成立という結論を導くこともできます。

また、刑罰を与えるほどの危険性や悪質性がないと判断されれば、立入り行為があったとしても、犯罪不成立ということになりえます。

そもそも、そのような場合、捜査機関が犯罪として立件しないということもあります」 

実際に立件されるようなケースはあるのだろうか。

「そのようなケースは少ないとは思います。しかし、今後、悪質な立入りが増えるようなことがあれば、鉄道会社が『立入り禁止』の意向を明確に示すようになります。そうなってしまったら、あとの祭りです。

もし、明確に立入りを制限しているにもかかわらず、鉄道会社の敷地に立ち入って撮影したような場合、鉄道営業法違反または軽犯罪法違反で、実際に処罰を下されるような事態が出てくることがありえます。

くり返しになりますが、鉄道撮影の際は十分にマナーを守ってほしいと思います」 

前島弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る