7230.jpg
SNSで「子どもの友達」の写真を公開したらダメ? 目線を入れればOK?
2016年07月06日 00時00分

東京都内在住の主婦・マリコさん(30代)の楽しみの1つは、3歳の娘の写真や成長記録をFacebookやブログで公開することです。

「Facebookはリアルな友達関係でつながっているので、『●●に行きました〜』とか『こんなこと娘に言われちゃいました☆』とか、目線を入れずに写真と一緒に公開してます。ブログでは、目線は入れてますね。同じ年の子どもをもった人たちとつながっていますが、会ったこともない人なので」と話します。

そんなマリコさんですが、子どもの成長とともに、ある心配が芽生えてきました。

「子どもの写真を撮る時って、お友達が映っていたり、公園だと知らない子が映っている場合があります。こういう写真って、目線を入れても公開してはダメなんでしょうか?」

SNSで、集合写真や一緒に遊んでいる他の子どもが含まれた写真を公開すると、プライバシーの侵害など法的な問題が発生するのでしょうか?伊藤雅浩弁護士の解説をお届けします。

東京都内在住の主婦・マリコさん(30代)の楽しみの1つは、3歳の娘の写真や成長記録をFacebookやブログで公開することです。

「Facebookはリアルな友達関係でつながっているので、『●●に行きました〜』とか『こんなこと娘に言われちゃいました☆』とか、目線を入れずに写真と一緒に公開してます。ブログでは、目線は入れてますね。同じ年の子どもをもった人たちとつながっていますが、会ったこともない人なので」と話します。

そんなマリコさんですが、子どもの成長とともに、ある心配が芽生えてきました。

「子どもの写真を撮る時って、お友達が映っていたり、公園だと知らない子が映っている場合があります。こういう写真って、目線を入れても公開してはダメなんでしょうか?」

SNSで、集合写真や一緒に遊んでいる他の子どもが含まれた写真を公開すると、プライバシーの侵害など法的な問題が発生するのでしょうか?伊藤雅浩弁護士の解説をお届けします。

●「肖像権」「プライバシー権」への配慮は?

一般に、他人を写真撮影したり、ネットで公開したりする際、法的には、肖像権やプライバシー権といった権利への配慮が必要になってきます。ただし、どんな場合でも、常に撮影や公開の際に、本人から同意を得なければならないというのは現実的に不可能であり、法もそこまで求めているわけではありません。

肖像権とは、判例上「何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない」権利だとされています。その権利の内容として「みだりに撮影されない権利」のほか、「撮影された写真を利用されない権利」も含むとされています。

もっとも、肖像権侵害となるのは、撮影された人の社会的地位や撮影された人の活動内容、撮影場所、撮影の目的、撮影の態様(様子)、撮影の必要性等を総合的に判断するとされており、一律に線引きできるものではありません。

過去に問題となった事例は、法廷内で被告人の容ぼうを描いたイラストや、著名人の私生活上の写真撮影等です。今回のケースのように「公共の場である公園での撮影で、わが子を映そうとしたときに他人が写り込んでしまった」という場合、肖像権侵害となるケースはあまり考えにくいでしょう。

●本人特定を避ける「写真加工」が重要

次に、「目線を入れて本人を特定できないように加工する」ことについて考えてみます。

前述したように、肖像権は「撮影されない自由」を含みますので、後から目線を入れるかどうかを問わず、撮影自体が問題になるとも言えます。しかし、総合的に判断する際には、本人を特定できないようにすれば、ほとんどのケースで問題にならないと考えられます。

また、本人を特定できないように加工することは肖像権の観点のほか、プライバシーへの配慮という意味でも重要でしょう。

肖像権とプライバシー権のほかに考慮すべきなのは「子どもの安全」です。最近では、SNSにアップした子どもの写真から児童ポルノ画像に加工されたり、子どもが狙われたりということも生じかねません。

撮影する際には、むやみに他人の子を映さないような配慮が必要ですし、たとえ我が子の写真であっても、SNS等で幅広く公開することは避けるべきでしょう。

(弁護士ドットコムライフ)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る