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「アマゾンだけじゃない」ヤマト現役ドライバー、過酷労働の「搾取構造」語る
2017年03月11日 11時04分

約7万6000人の従業員と全国規模の面談を進めているヤマト運輸。表向きは「労働実態把握のため」としているが、実質は未払い残業代の確定作業だ。昨年、所属する支店に労基署の是正勧告が出され、今回の大規模な「改革」の発端となった神奈川主管では、1月にホテルなど複数の会場を借りて面談が行われた。

「残業代は支払われるかもしれないけど、未だに法定の休憩時間は取れません。変わったのは、休憩できなかったときに、ちゃんと休めていないと申告できるようになったことぐらい」と話すのは、面談に出席した勤務10年以上のベテランドライバー。

「ネット通販の増加という『社会問題』に責任転嫁しているけど、結局は会社が『シェア』を追って、現場に押し付けてきた結果。人が増えないとどうしようもないけど、現場を『搾取』する構造で利益をあげてきたから、新しい人が定着しない」と不満をあらわにした。毎月40時間ほどがサービス残業だったという。

配達量増加の背景には、アマゾンの契約があると言われている。ヤマトは2013年に撤退する佐川急便を引き継ぐ形で、アマゾンの配達を引き受けた。運賃は1個250〜280円と言われているが、ヤマトの通常運賃は約750円。現場のドライバーたちは口々に「利益が出ている実感はない」と経営陣を批判する。

約7万6000人の従業員と全国規模の面談を進めているヤマト運輸。表向きは「労働実態把握のため」としているが、実質は未払い残業代の確定作業だ。昨年、所属する支店に労基署の是正勧告が出され、今回の大規模な「改革」の発端となった神奈川主管では、1月にホテルなど複数の会場を借りて面談が行われた。

「残業代は支払われるかもしれないけど、未だに法定の休憩時間は取れません。変わったのは、休憩できなかったときに、ちゃんと休めていないと申告できるようになったことぐらい」と話すのは、面談に出席した勤務10年以上のベテランドライバー。

「ネット通販の増加という『社会問題』に責任転嫁しているけど、結局は会社が『シェア』を追って、現場に押し付けてきた結果。人が増えないとどうしようもないけど、現場を『搾取』する構造で利益をあげてきたから、新しい人が定着しない」と不満をあらわにした。毎月40時間ほどがサービス残業だったという。

配達量増加の背景には、アマゾンの契約があると言われている。ヤマトは2013年に撤退する佐川急便を引き継ぐ形で、アマゾンの配達を引き受けた。運賃は1個250〜280円と言われているが、ヤマトの通常運賃は約750円。現場のドライバーたちは口々に「利益が出ている実感はない」と経営陣を批判する。

●消えた12月のタイムカード

未払い残業代が発生する理由は主に2つある。1つ目は、会社による労働時間管理の問題。ヤマトではタイムカードがあるにもかかわらず、労働時間が配達で使う業務端末(PP)の稼働時間で計算され、配達後の作業などが切り捨てられていた。

2つ目は、年々短くなる残業の上限時間だ。ヤマトが労使で決めている残業の上限時間は、たとえば昨年是正勧告が出た支店でも、2014年の年545時間から、529時間(2015年)、521時間(2016年)と短くなっている。一方、宅配便の個数はこの間だけでも、全社で1億個以上増えている。

「上限に収まるわけがない。労働組合は、従業員のためと言っているが、実際はサービス残業を増やしているだけ。会社の『残業代抑制』に加担しているんじゃないかと疑いたくなる」と前出のドライバーは語る。

このドライバーによると、今回の面談では、過去2年分のPPとタイムカードのリストが手渡され、2つを見比べながら、休憩時間などを修正していったそうだ。その中で、2015年12月分のタイムカードがないことに気づいたという。

「この月だけ別途プリントを渡され、『原本を労基署に持って行かれたから、これで確認して』と説明を受けました。ほかの支店の人もそこだけなかったと言っていました」

弁護士ドットコムニュースが、複数のドライバーに確認したところ、やはり12月分のタイムカードがなかったという。ヤマト運輸は「回答は差し控えたい」と否定しなかった。

12月は宅配業者にとって最繁忙期。このドライバーも2015年12月は、36協定の上限(101時間)を超える残業をしていたという。労基署の判断次第では、全社的な問題になる可能性もある。

「12月分と言っても、ヤマトは月の半ばで締めているので、11月16日〜12月15日までの分です。11月と1月は帳尻合わせの公休があります。12月に限定すれば、起きている間はずっと仕事です」

●「休憩を取ってから退社」帳尻合わせの指示

このドライバーによると、会社は残業時間については敏感なのだという。「上司からは残業を少なくしろといつも言われる。そんなこと無理なので、サービス残業をするわけですが、それでも上限を超えそうになる」

すると、急にシフトが変わるのだそうだ。上限を超えそうな人は短いシフトになり、余裕がある人はフルタイムになる。また、各人を「上限ギリギリ」まで使うためシフトが変わることもある。

「荷物が少ない日は、急に何人かが短いシフトになって、残りの人で全部片付けることになる。全員でやれば、早く終わるのに、結局荷物が少なくても忙しさは変わらないんです」

昨年、別の支店が法定の休憩時間が取れていないことで是正勧告を受けたとき、このドライバーの支店では「休憩をとってから退社しろ」との指示があったという。「早く帰りたいから、みんな休憩をとったことにして帰りました。今ではなくなりましたが、暗にサービス残業しろと言っているようなものですよね」

労働環境の悪化には、ネット通販の影響を指摘する声がある。しかし、従業員を酷使する構造は、それ以前からあったという。「ネット通販で、労働の密度は格段に上がりましたが、昔からサービス残業は多かった。ドライバーを『数字』でしか見ないのは、別に今に始まったことじゃない。この会社、外から言われないと絶対変わらないんで」。ドライバーは疲れた声で話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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