7400.jpg
本に載った編み物をマネして制作ーー主婦が売る「ハンドメイド作品」の法的問題とは?
2015年09月22日 12時55分

洋服やアクセサリーなどを手作りして、インターネットで販売する「ハンドメイド作家」が、主婦などの間で注目されている。趣味を収入につなげられるうえ、育児や家事との両立もしやすいことから人気に火がついたが、中には起業につながるケースもある。

日本経済新聞によると、ハンドメイド作品の専門サイトも複数登場して、売買が活発に行われている。4つの専門サイトに掲載された作品の価格帯と出品数(400万件)から試算すると、出品総額は155億円で、首都圏近郊の百貨店の年間売上規模に並ぶという。

ただ、出品を考える人からは「どんなハンドメイド作品を売ってもOKなのか」という声もあがる。編み物やビーズアクセサリー作りが趣味の主婦・あきこさん(36歳)は、「編み物やアクセサリーは、本に掲載されている作品を参考にして、制作するケースもあります。全くのオリジナルは難しい」と語る。

本に掲載された作品とそっくりなものを作って販売した場合、著作権などの法的問題はないのだろうか。柿沼太一弁護士に聞いた。

洋服やアクセサリーなどを手作りして、インターネットで販売する「ハンドメイド作家」が、主婦などの間で注目されている。趣味を収入につなげられるうえ、育児や家事との両立もしやすいことから人気に火がついたが、中には起業につながるケースもある。

日本経済新聞によると、ハンドメイド作品の専門サイトも複数登場して、売買が活発に行われている。4つの専門サイトに掲載された作品の価格帯と出品数(400万件)から試算すると、出品総額は155億円で、首都圏近郊の百貨店の年間売上規模に並ぶという。

ただ、出品を考える人からは「どんなハンドメイド作品を売ってもOKなのか」という声もあがる。編み物やビーズアクセサリー作りが趣味の主婦・あきこさん(36歳)は、「編み物やアクセサリーは、本に掲載されている作品を参考にして、制作するケースもあります。全くのオリジナルは難しい」と語る。

本に掲載された作品とそっくりなものを作って販売した場合、著作権などの法的問題はないのだろうか。柿沼太一弁護士に聞いた。

●実用品に「著作物性」はあるのか?

「創作性が認められるデザインのものであれば、洋服や編み物などの実用品についても、著作権が発生する可能性があります。ただ、それらの実用品は絵画などと異なり、鑑賞を目的としているわけではないので、いわゆる『応用美術』というジャンルに属することになります。

このような『応用美術』に属するものについては、これまでの判例上『機能を離れて独立して鑑賞の対象となる程度の美的創作性がある場合』に限って、著作物性が認められるとされています」

なぜ「応用美術」は、「著作物」にあたりにくいのか?

「実用品の場合、デザインと機能が不可分に結びついている場合が少なくありません。非常に使いやすいペンはおそらく非常に美しい形をしているでしょうし、自動車の美しいフォルムは空気抵抗を最大限考慮した形です。

このような実用品について著作物性を認めた場合、結局その『デザイン』のみならず『機能』も独占させることになってしまいます。そのため、実用品について著作物性が認められるには、『高度な美的創作性』という高いハードルが設定されているのです。

実は、最近の知財高裁の判決(2015年4月14日・2014年(ネ)第10063号)で、異なるハードルを設定し、実用品に著作物性を認めたものがあるのですが、その流れが一般的になっているとまでは言えません。なので、やはり実用品に関しては、『高度な美的創作性』が必要と考えるべきでしょう」

ハンドメイド作家の作品については、「高度な美的創作性」があると考えられるだろうか。

「たとえば編み物であれば、通常は身につけたり、物を入れたりする実用目的のために制作されたと考えられます。すべてとは言い切れませんが、『美的鑑賞の対象となる程度の創作性がある』とはいえない物が、かなり多いと思われます。

そのような物であれば、著作物とはいえないことになり、本に掲載されている作品を、そっくりそのまま模倣したとしても、著作権侵害にはならないことが多いと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る