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在日コリアン弁護士への懲戒請求、控訴審も賠償命令「差別意識の発現というべき行為」
2019年05月14日 17時25分

在日コリアンであることを理由とする不当な懲戒請求で、精神的苦痛を受けたとして、東京弁護士会所属の金竜介弁護士が、懲戒請求した男性に慰謝料をもとめた訴訟の控訴審判決が5月14日、東京高裁であった。萩原秀紀裁判長は、男性に計33万円を支払うよう命じた1審判決を破棄して、計11万円の支払いを命じた。

金弁護士は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。控訴審判決について、「弁護士は、業務上対立することが仕事だ。批判や逆恨み、懲戒請求はありうる。弁護士をやっている以上、避けられない。しかし、業務とはまったく関係ない、出自からの懲戒請求だった」「明確に人種差別だと言ってくれた。(1審判決からの)前進だ」と評価を示した。

弁護士の大量懲戒請求をめぐっては、「余命三年時事日記」というブログが発端となって、全国レベルで大量におこなわれている。これまでに金弁護士など複数の弁護士が、懲戒請求者を相手取って、損害賠償をもとめる訴訟をおこしているが、今回は一連の訴訟で初めての控訴審判決。

在日コリアンであることを理由とする不当な懲戒請求で、精神的苦痛を受けたとして、東京弁護士会所属の金竜介弁護士が、懲戒請求した男性に慰謝料をもとめた訴訟の控訴審判決が5月14日、東京高裁であった。萩原秀紀裁判長は、男性に計33万円を支払うよう命じた1審判決を破棄して、計11万円の支払いを命じた。

金弁護士は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。控訴審判決について、「弁護士は、業務上対立することが仕事だ。批判や逆恨み、懲戒請求はありうる。弁護士をやっている以上、避けられない。しかし、業務とはまったく関係ない、出自からの懲戒請求だった」「明確に人種差別だと言ってくれた。(1審判決からの)前進だ」と評価を示した。

弁護士の大量懲戒請求をめぐっては、「余命三年時事日記」というブログが発端となって、全国レベルで大量におこなわれている。これまでに金弁護士など複数の弁護士が、懲戒請求者を相手取って、損害賠償をもとめる訴訟をおこしているが、今回は一連の訴訟で初めての控訴審判決。

●「弁護士としての活動を萎縮させ、制約することにつながる」

判決などによると、男性は2017年11月、朝鮮学校への補助金交付をもとめる東京弁護士会の声明について「確信的犯罪行為である」などとして、金弁護士ら同弁護士会に所属する18人の弁護士を懲戒請求した。このうち10人は、会長・副会長の役職にある立場だったりしたが、残り8人は名前から在日コリアンと推認されるだけで、業務上のつながりもなかった。

東京高裁の萩原裁判長は、懲戒請求について「懲戒事由が事実上または法律上の根拠を欠き、そのことを知りながらまたは通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たにもかかわらず、あえて懲戒請求したものだ」として、弁護士懲戒請求の趣旨に照らして、相当性を欠くと認めた。

さらに、金弁護士が懲戒請求の対象とされたことについて、「専らその民族的出身に着目されたためであり、民族的出身者に対する差別意識の発現というべき行為であって合理性が認められない」「確たる根拠もなしに、弁護士としての活動を萎縮させ、制約することにつながる」として、不法行為にあたると判断した。

●減額された理由とは?

なお、一審と比較して減額となった理由は、総合的考慮したとされているが、次のような指摘がある。

(1)男性は金弁護士の弁護士としての活動内容についてまったく認識がない
(2)男性が提出した書類は、別件訴訟の被告らが作成・提出したものを流用したもので、大量懲戒請求がおこなわれた中で付和雷同的に本件懲戒請求に加わったことがうかがわれる
(3)東京弁護士会綱紀委員会において、金弁護士の弁明書の提出を必要とせず、調査を終了し、懲戒しないという議決がされている
(4)弁護士が、法的知識の乏しい一般人が違法ないし不合理な懲戒請求をおこなったことに対し、法的措置をとることが常に必要であるとは限らず、ある程度謙抑的姿勢が望まれる

(弁護士ドットコムニュース)

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