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21億円横領 「グローリー」子会社社員、法的責任は? 17億円は馬券、4億円は遊興費に
2022年03月20日 09時13分

貨幣処理機製造大手のグローリー(兵庫県姫路市)は3月14日、コインロッカー販売保守などを担う子会社の社員が約13年間で計約21億5500万円を横領していたとして、同11日付で元社員を懲戒解雇したことを明らかにした。

同14日発表された同社内に設置された調査委員会の報告書によると、2005年の入社当初より経理業務の支払・資金管理を担当していた元社員は、2009年頃から2022年2月まで、売上金や保険料などの現金を他の従業員から預かったままにしたり、会社の銀行口座から元社員の個人口座に振り込むなどの手口で着服していた。

不正行為の発覚を防ぐため、会社の銀行口座の残高証明書などの資料を改ざんするとともに、会計仕訳を操作するなどの隠ぺい工作もおこなっていた。元社員は横領を認め、約7000万円を返金したという。

同報告書では、横領金について、元社員が競馬の馬券購入に「約17億6300万円」、日常的な飲食代や遊興費に「約3億9200万円」を費消したとしている。

調査委員会は、遵法意識および規範意識が著しく鈍麻した元社員の単独犯と認定。元社員個人の責任が大きいとしつつも、不正行為を早期に発見し阻止できなかった背景には、出納・資金の管理に関する同社の内部統制の形骸化があると指摘した。

同社は元社員を横領容疑での刑事告訴を検討していると報じられており、今後元社員の法的責任が追及されそうだ。横領の罪に問われて有罪となった場合、どの程度の量刑になるのだろうか。清水俊弁護士に聞いた。

貨幣処理機製造大手のグローリー(兵庫県姫路市)は3月14日、コインロッカー販売保守などを担う子会社の社員が約13年間で計約21億5500万円を横領していたとして、同11日付で元社員を懲戒解雇したことを明らかにした。

同14日発表された同社内に設置された調査委員会の報告書によると、2005年の入社当初より経理業務の支払・資金管理を担当していた元社員は、2009年頃から2022年2月まで、売上金や保険料などの現金を他の従業員から預かったままにしたり、会社の銀行口座から元社員の個人口座に振り込むなどの手口で着服していた。

不正行為の発覚を防ぐため、会社の銀行口座の残高証明書などの資料を改ざんするとともに、会計仕訳を操作するなどの隠ぺい工作もおこなっていた。元社員は横領を認め、約7000万円を返金したという。

同報告書では、横領金について、元社員が競馬の馬券購入に「約17億6300万円」、日常的な飲食代や遊興費に「約3億9200万円」を費消したとしている。

調査委員会は、遵法意識および規範意識が著しく鈍麻した元社員の単独犯と認定。元社員個人の責任が大きいとしつつも、不正行為を早期に発見し阻止できなかった背景には、出納・資金の管理に関する同社の内部統制の形骸化があると指摘した。

同社は元社員を横領容疑での刑事告訴を検討していると報じられており、今後元社員の法的責任が追及されそうだ。横領の罪に問われて有罪となった場合、どの程度の量刑になるのだろうか。清水俊弁護士に聞いた。

●有罪となれば「実刑になる可能性高い」

——横領罪とはどのような犯罪でしょうか。

横領罪とは他人から預かっている物を自分のものにしてしまう犯罪で、5年以下の懲役となります。業務上預かっている物を横領した場合には10年以下の懲役となります。

自分の占有下にあるという点で、他人の占有下にある物を奪う窃盗や詐欺、強盗と異なります。

——今回のような多額の横領事件で有罪となった場合、量刑はどの程度になるのでしょうか。

経済的な犯罪なので、示談なり被害弁償がきちんとできれば執行猶予の可能性も出てくるのかもしれませんが、長期かつ多額の横領をしたとなれば、基本的には実刑になると予想されます。

NECの孫会社だったネッツエスアイ東洋株式会社の社員が約8億4000万円を横領した事件では、2015年に横浜地裁で懲役9年が言い渡されています。単純に比べることはできませんが、これに近い判断になるのではないかと思います。

——民事上の責任はどうなるでしょうか。

不法行為に基づく損害賠償責任が発生します。

もっとも、被害金額が仮に20億円を超えるともなると、個人で容易に弁済できるような金額ではないため、めぼしい財産がなければ回収もできず、会社としては泣き寝入りせざるを得ない可能性が高そうです。

横領した者が罰を受け賠償すべきなのは当然ですが、被害者である会社の出納資金の管理に関する内部統制が形骸化していたとも報じられています。そうだとすれば、今回の被害は長年にわたってリスク管理を怠ってきた代償という側面もあるといえそうです。

なお、ずさんな管理体制だったという事実は、刑事裁判における量刑事情にもなり得ます。

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