7768.jpg
「国民の目と耳と口をふさぐ法律だ」 弁護士会が「秘密保護法」シンポジウムを開催
2015年11月14日 13時39分

第一東京弁護士会は11月13日、安保法制と特定秘密保護法について、「刑事弁護」の立場から問題点を考えるシンポジウムを東京都内で開いた。秘密保護法は昨年12月に施行されたが、現在までにその違反をめぐる裁判例がないため、登壇した弁護士と学者は「実際に起こりうるケース」を想定しながら、パネルディスカッションをおこなった。

青山学院大学の新倉修教授(刑法)は、秘密保護法が、刑法の原則の一つである「罪刑法定主義」に反すると指摘した。罪刑法定主義とは、どういうことをすれば犯罪になるのか、あらかじめ法律で明確に決めておかないといけないという考え方だ。

しかし、秘密保護法は、防衛などの国家機密の漏えいを防ぐための法律であることから、具体的に何が『秘密』に該当するのか明らかでない。新倉教授は「独立の第三者機関が『秘密』を審査するという仕組みがある。それが今回の法律に入っていない。前時代的で、国民の目と口と耳をふさぐ法律だ」と述べた。

第一東京弁護士会は11月13日、安保法制と特定秘密保護法について、「刑事弁護」の立場から問題点を考えるシンポジウムを東京都内で開いた。秘密保護法は昨年12月に施行されたが、現在までにその違反をめぐる裁判例がないため、登壇した弁護士と学者は「実際に起こりうるケース」を想定しながら、パネルディスカッションをおこなった。

青山学院大学の新倉修教授(刑法)は、秘密保護法が、刑法の原則の一つである「罪刑法定主義」に反すると指摘した。罪刑法定主義とは、どういうことをすれば犯罪になるのか、あらかじめ法律で明確に決めておかないといけないという考え方だ。

しかし、秘密保護法は、防衛などの国家機密の漏えいを防ぐための法律であることから、具体的に何が『秘密』に該当するのか明らかでない。新倉教授は「独立の第三者機関が『秘密』を審査するという仕組みがある。それが今回の法律に入っていない。前時代的で、国民の目と口と耳をふさぐ法律だ」と述べた。

●秘密保護法の刑罰は「非常に重い」

日弁連の秘密保護法対策本部長代行の江藤洋一弁護士は、「秘密保護法違反による刑罰が非常に重い」と語った。たとえば、国家公務員法違反(秘密漏えい)の刑罰は、「懲役1年以下または50年以下の罰金」と定められている。一方で、特定秘密保護法の違反の場合、「10年以下の懲役、または情状により10年以下の懲役および1000万円以下の罰金」とされている。

江藤弁護士はさらに、「重い刑罰があると、『威嚇効果』が生まれる」と付け加えた。江藤弁護士によると、戦前に市民弾圧に利用された「治安維持法」では、検挙された事件のうち、ほとんどが裁判までいかず、逮捕・勾留・捜索差押などで終わったのだという。

それはどういうことを意味するのか。江藤弁護士は「裁判を維持するかどうかだけでなく、(捜査機関が)ときどき逮捕や拘禁、家宅捜索するだけで、十分に萎縮効果が出てしまうおそろしさがあるということだ」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る