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「LGBTのことを考えるきっかけに」 弁護士たちが性的少数者の「Q&A本」を出版
2016年07月05日 09時40分

セクシュアル・マイノリティの人々が遭遇する法的なトラブルについて、弁護士がわかりやすく解説した書籍『LGBTsの法律問題 Q&A』が、弁護士会館ブックセンター出版部LABOから出版された。執筆したのは、大阪弁護士会・人権擁護委員会の「性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム」の弁護士たちである。

14人の執筆者の中には、LGBTであることをカミングアウトしている弁護士も含まれている。同性愛者であることを公言している南和行弁護士は「LGBTの当事者だから書けることもあるし、法律の専門家だからこそ指摘できる法制度の不備もある」と語る。書名には「LGBTs」と「s」がついているが、多様な性のあり方を考えてほしいという意図だ。

セクシュアル・マイノリティの人々が遭遇する法的なトラブルについて、弁護士がわかりやすく解説した書籍『LGBTsの法律問題 Q&A』が、弁護士会館ブックセンター出版部LABOから出版された。執筆したのは、大阪弁護士会・人権擁護委員会の「性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム」の弁護士たちである。

14人の執筆者の中には、LGBTであることをカミングアウトしている弁護士も含まれている。同性愛者であることを公言している南和行弁護士は「LGBTの当事者だから書けることもあるし、法律の専門家だからこそ指摘できる法制度の不備もある」と語る。書名には「LGBTs」と「s」がついているが、多様な性のあり方を考えてほしいという意図だ。

●履歴書に「性別欄」は必要かと問題提起

本を開くと「死後、同性パートナーに財産を譲りたい」「同性パートナーの緊急手術と同意書の署名」など、45個の法律問題について、Q&A形式で弁護士の回答と解説が記されている。「LGBTの当事者が直面する問題が、網羅的に広くカバーできていると思う」と、プロジェクトチームの三輪晃義弁護士は語る。

たとえば「Q28」は、男性から女性への性別越境者(MTF)であるトランスジェンダーからのこんな相談だ。

「私はMTFの学生で、大学などでは女性として社会生活を送っていますが、性別変更の手続きは行っていません。女性として就職活動をしているのですが、エントリーシート等に女性と記載しても問題ないですか」

それに対する回答は「場合によっては、虚偽の申告や経歴の詐称として内定の取消理由になることもあります」というシンプルなものだが、2ページ半に渡る「解説」が続く。そこでは、男女雇用機会均等法が「性別による差別」を禁じていることを指摘しつつ、多くの企業がエントリーシートや履歴書で「性別の記載」を要求している現状に疑問を投げかけている。

そのうえで「性別欄のない履歴書を使用する等の方法をとることが可能であれば、その方法を取るべきでしょう」と提言している。このように、単なる法律解説にとどまらず、LGBTに関連する法制度や慣習の問題点や改善策にまで触れているのが、本書の特徴である。

●「LGBTをめぐる矛盾に気づいてほしい」

三輪弁護士は「一般的な法律解説では、解雇の可能性があると書けば十分だが、LGBTの法律問題はそれだけではない。そもそも従業員の採用の際に性別を聞く必要があるのか、考える必要がある」と狙いを語る。南弁護士も「読者には、問題解決の方法を知るだけでなく、社会の矛盾に気づいてほしい」と口にする。

最近は「LGBT」という言葉がメディアで頻繁に取り上げられるようになり、LGBTに関連する本も数多く出版されるようになった。そんな類書との違いはなにか。プロジェクトチームの大畑泰次郎弁護士は「LGBTをめぐる法律問題について、弁護士がここまで網羅的に解説している本は初めて」と話す。

第一の想定読者は、弁護士や自治体職員、企業の人事労務担当者といった法律実務に携わる人々やLGBTの当事者だが、できるだけ多くの人に読んでもらいたいという。「Q&A形式で、平易な文章で書かれているので、一般の人も参考にできるはず。LGBTが身近にいるんだということを考えるきっかけにしてほしい」(南弁護士)。


本の出版を記念して、7月22日には大阪弁護士会(大阪市北区)でシンポジウムが開かれる。「広がる家族のカタチ」と題して、「LGBTの家族と友人をつなぐ会」の尾辻孝子理事長や立命館大学法学部の二宮周平教授(家族法)らが討論する。コーディネーターをつとめる南弁護士は「家族っていったい何だろうということを、みんなで考えたい」と話している。

(弁護士ドットコムニュース)

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