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フォロワー20万人TikTok配信者、ドッキリ動画で有罪…ガソスタ店員を車内に閉じ込め撮影
2025年09月22日 09時58分
#執行猶予 #TikTok #監禁 #威力業務妨害

TikTokフォロワー20万人を超える人気アカウントを運営していた動画配信者の男性2人が監禁、威力業務妨害の罪に問われた裁判で、大阪地裁は9月18日、それぞれ懲役1年(求刑同じ)、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。

犯行は、動画撮影中のことだった。一時期よりも「迷惑系」と呼ばれる配信者やコンテンツが表に出なくなったように感じるが、撮影の許可やコンテンツ収益が話題に上がるなど、まさに現代を象徴する裁判となった。(裁判ライター・普通)

TikTokフォロワー20万人を超える人気アカウントを運営していた動画配信者の男性2人が監禁、威力業務妨害の罪に問われた裁判で、大阪地裁は9月18日、それぞれ懲役1年(求刑同じ)、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。

犯行は、動画撮影中のことだった。一時期よりも「迷惑系」と呼ばれる配信者やコンテンツが表に出なくなったように感じるが、撮影の許可やコンテンツ収益が話題に上がるなど、まさに現代を象徴する裁判となった。(裁判ライター・普通)

●「ドッキリ動画」で店員を車に閉じ込め

被告人A、Bは小学生から友人で、ともに20代前半。エネルギッシュな外見のAが出演者で、長身のパーマで髭を整えたBが撮影や企画を担当していた。

起訴状によると、2人はガソリンスタンドで「給油口のレバーが後部座席付近にあるので確認してほしい」と言って、女性従業員を車内に呼び入れた。

そのうえでドアを閉め、チャイルドロックをかけて発進。女性従業員を閉じ込めて業務を妨害したとされる。

車に閉じ込められた従業員が困惑する様子を撮影し、動画に残していたが、事前の許可は一切とっていなかった。

●「泣きじゃくるほどの恐怖」被害証言

検察官の冒頭陳述などによると、2人はTikTokなどで生計を立てており、同じような迷惑行為で、罰金や逮捕歴があった。そのわずか約3カ月後に今回の事件を起こした。

法廷で上映された映像には、被害者の必死の拒絶をよそに「日本トップのライバー事務所で稼ぎたいでしょ?」「今、何歳?」などと問いかける場面が残っていた(傍聴席は音声のみ)。

被害者の上司は、被害者が「見たことないくらい泣きじゃくっていた」と証言。本人も「どこかに連れて行かれるのかと思った」と語り、その後半月ほど勤務できなかったという。

●妻たちが語った「配信業への不安」

情状証人として出廷した2人の妻はいずれも「配信活動を好ましく思っていなかった」と証言した。前科前歴や、将来性への不安を抱えていたようだ。

Aの妻は当時、生後3カ月の子どもを抱え、育児と生活への不安もある中、弁護士と連携して弁償できるよう必死に動いた。今後、配信業はさせないと誓った。

Bの妻は、配信をやめてほしいと思っていたが、そのことを話せばケンカになるので、アカウントをブロックしていた。収入も把握していなかったが、夫が別の正業についた今は「再犯させない」と語った。

●「罰金は痛くないですね?」検察官の問い

画像タイトル 大阪地裁(やんちんぐ / PIXTA)

被告人質問で、Aは「ドッキリ動画を作ることは多くなく、楽しく笑えるものを撮るつもりだった」と供述。しかし、弁護人からも「閉じ込めることが笑いになるのか?」と指摘された。

事件当時のフォロワーは20万人超。10~20代を中心に、町で声をかけられたり、写真を撮られることもあった。被害者も同じ年代だったことから、自身を知ってくれているのではと思い、恐がられるかもしれないという思いは抱かなかったという。

被害者の下車後「すみませんでした」と謝罪したというが、恐怖感を与えた思いからでなく、業務時間の手を取らせてしまった思いからだったという。

公判では「誤った考えだった」と被害者に向けて謝罪の言葉を述べ、急に知名度が高まったため、認識が未熟だったなどとも弁護人から指摘を受けていた。

しかし、今後は配信を続けないというAに検察官が疑問の目を向ける。

検察官:前回の逮捕をきっかけに有名になったのですか?
被告人A:ニュースになったので知られたかと思う。

検察官:逮捕後、収益はどうなりましたか?
被告人A:100(万円)いかないくらい。

検察官:じゃあ、罰金30万円は痛くないですね。

収益を目当てに今後も同種の行為を行わないかを暗に指摘する。

裁判官からも「簡単に稼げるのにやめられますか?」と問われたAは「家族に迷惑をかけたことを自覚して今後はおこなわない」と誓った。

撮影を担当していたBも「恐がらせる気はないが、笑みが出たら」という思いで、今回の動画の台本を作成したと述べた。

なお、以前の逮捕事案も動画再生数を目指す理由で、その後、顧問弁護士との契約を検討したが、実行しなかったという事情が明かされた。

●「同種犯行を抑止する」裁判官の判断

判決で、裁判官は「不安、困惑を面白がり、注意を引くことで収益を上げることを目的とし、相手に思いをいたすことのない身勝手なもの」と非難した。

懲役1年、執行猶予4年と比較的長期の猶予を付けた理由について「同種の犯行抑止のため」と述べ、社会的影響を強く意識した判断を示した。

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