7939.jpg
「試用期間が終わったら解雇」はダメ…「試用期間」の法的性質
2017年01月21日 00時00分

正社員と採用された人が、本採用となる前にある「試用期間」。4月1日入社の方の場合、7月1日あるいは10月1日から、正式な採用となる場合があるようです。この「試用期間」は、法律ではどのような状態をさすのでしょうか。

弁護士ドットコムの法律相談にも、質問が寄せられています。

正社員と採用された人が、本採用となる前にある「試用期間」。4月1日入社の方の場合、7月1日あるいは10月1日から、正式な採用となる場合があるようです。この「試用期間」は、法律ではどのような状態をさすのでしょうか。

弁護士ドットコムの法律相談にも、質問が寄せられています。

○Aさん「『試用期間が終わったら解雇してやる』と言われた」

正社員と採用され、3カ月間の試用期間の真っ只中にいるAさん。「試用期間が終わったら解雇してやると脅されています。多少仕事の覚えが悪いのは自分でも認めますが、一生懸命やっています」と相談を寄せました。

試用期間中に解雇されるのはやむを得ないのでしょうか。また試用期間は、どの程度の期間が認められるのでしょうか。佐藤正知弁護士に聞きました。

●法的には「本採用拒否=解雇」になる

就業規則等では、採用後の一定期間が「試用期間」であり、試用期間満了時点で本採用となると定められていることが多いですね。

本採用というと、それ以前の「試用期間」とは別に、あらためて労働契約を結ぶように聞こえます。しかし法的には、試用期間満了前後を通じて1つの労働契約です。このため、雇い主による本採用拒否は、法的には解雇にあたります。

Aさんは「試用期間が終わったら解雇してやる」と言われているそうですが、試用期間中であっても、解雇のプロセスを踏む必要があります。解雇である以上、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」(労働契約法16条)には、本採用拒否は、認められません。

●解雇されても仕方ないケースは?

多少仕事の覚えが悪いとしても、雇い主が教育を尽くしていなかったり、成長の見込みがあれば、本採用拒否は許されません。逆に、具体的で丁寧な指導をしても同じ不手際を繰り返すようであれば、本採用拒否も仕方ないと判断される場合もあります。

(弁護士ドットコムライフ)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る