7979.jpg
夫が浮気した仕返しに私も! 夫婦ともに不倫、慰謝料はチャラになる?
2018年02月10日 09時48分

夫の浮気への腹いせで、私も不倫してしまった。お互いに不倫をした夫婦の場合、慰謝料はどうなる? そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

相談を寄せた女性は「夫に異性とのチャットを2度としないという約束事を破られ、仕返しに不倫しました」と言う。夫の不倫については、肉体関係を示す明確な証拠はないものの、朝帰りや周囲の証言から不倫の事実を確信しているそうだ。妻の不倫について、夫は「キスをしたプリクラ」という証拠をつかんでいる。

現在、夫と離婚についての話し合い中だ。夫婦それぞれが不倫をしていた場合、慰謝料はどのように決まるのだろうか。河内良弁護士に話を聞いた。

夫の浮気への腹いせで、私も不倫してしまった。お互いに不倫をした夫婦の場合、慰謝料はどうなる? そんな質問が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

相談を寄せた女性は「夫に異性とのチャットを2度としないという約束事を破られ、仕返しに不倫しました」と言う。夫の不倫については、肉体関係を示す明確な証拠はないものの、朝帰りや周囲の証言から不倫の事実を確信しているそうだ。妻の不倫について、夫は「キスをしたプリクラ」という証拠をつかんでいる。

現在、夫と離婚についての話し合い中だ。夫婦それぞれが不倫をしていた場合、慰謝料はどのように決まるのだろうか。河内良弁護士に話を聞いた。

●慰謝料の相殺はできない

「今回のケースでは、慰謝料ゼロとなる可能性があります」

河内弁護士はこのように指摘する。お互いの慰謝料を相殺するからか。

「そうではありません。『慰謝料』とは、法的には『不法行為に基づく精神的損害に対する賠償』のことです。不倫の慰謝料は、配偶者の不法行為(不貞行為)によって精神的に傷ついたことに対して賠償を求めることです。

仮にお互いの不倫(不貞行為)を共に立証できたとしても、お互いの慰謝料を相殺することはできません(民法509条)。お互いに支払い合うことになります」

●最大の問題は「決定的な証拠がない」という点

では、今回のケースで、「慰謝料がゼロ」になるのはなぜだろうか。

「今回のケースで最大の問題は、お互いに不貞行為の決定的な証拠がない点です。

不貞行為とは、配偶者以外の異性との、肉体関係を伴う交際を指します。今回のケースでは、伝聞の証拠や『キスをしたプリクラ』があるとのことです。しかし、性行為を示す決定的な証拠(ラブホテルに出入りする際の写真など)は双方ありません。

不貞行為の立証はできておらず、今回のケースでは、不貞行為を理由とした慰謝料請求はもちろんのこと、離婚そのものも認められない可能性も大いにあります。結果として、離婚時の金銭的なやりとりとして、慰謝料はゼロ、財産分与のみとなりそうです」

●不貞行為の前に夫婦関係が破綻していれば、慰謝料がないことも

今回のケースに限らず、不貞行為があっても慰謝料が発生しないケースはあるのだろうか。

「不貞行為があっても慰謝料を払わなくて良い場合はあります。不貞行為の前に夫婦関係が破綻していたケースでは、不貞行為があっても精神的損害とは言えず、慰謝料を支払う必要がないこともあります。

しかし今回のケースでは、夫婦関係をもう一度見直す過程での不貞です。破綻した後だという主張は通用しないと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る