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明治大学が完全否定した「144億円損失」デマ――拡散させた人は罪に問われるか?
2015年01月22日 12時51分

明治大学がスイスフランの暴騰によって多額の損失を出したという「デマ」が広がり、大学が公式サイトで否定するという騒動が起きた。明治大学は1月16日、「本日、一部ネット上におきまして、『本学がスイスフランで144億円の損失を出した』との情報が流れておりますが、そうした事実は一切ございません」と発表した。

騒動の発端となったのは、1月16日の午前中にネット掲示板「2ちゃんねる」に投稿された「明治大学がデリバティブ取引で144億の損失だそうな。例のスイスフラン上限撤廃により@TBS」という書き込み。これがツイッターに転載され、まとめサイトにも紹介されて、爆発的に広がった。

しかし、同じIDの投稿者は同日午後になって「完全にウソです」「本当すいません」と投稿。一連の投稿によると「@TBS」という記述も「たまたま思い浮かんだだけ」で何の意味もなかったようだ。

デマを投稿したことに対して、ネットでは非難の声が多く寄せられたが、こうしたデマを発信すれば、犯罪になってしまうのだろうか。また、デマを信じてリツイートなどで拡散した人の責任はどうか。刑事事件にくわしい神尾尊礼弁護士に聞いた。

明治大学がスイスフランの暴騰によって多額の損失を出したという「デマ」が広がり、大学が公式サイトで否定するという騒動が起きた。明治大学は1月16日、「本日、一部ネット上におきまして、『本学がスイスフランで144億円の損失を出した』との情報が流れておりますが、そうした事実は一切ございません」と発表した。

騒動の発端となったのは、1月16日の午前中にネット掲示板「2ちゃんねる」に投稿された「明治大学がデリバティブ取引で144億の損失だそうな。例のスイスフラン上限撤廃により@TBS」という書き込み。これがツイッターに転載され、まとめサイトにも紹介されて、爆発的に広がった。

しかし、同じIDの投稿者は同日午後になって「完全にウソです」「本当すいません」と投稿。一連の投稿によると「@TBS」という記述も「たまたま思い浮かんだだけ」で何の意味もなかったようだ。

デマを投稿したことに対して、ネットでは非難の声が多く寄せられたが、こうしたデマを発信すれば、犯罪になってしまうのだろうか。また、デマを信じてリツイートなどで拡散した人の責任はどうか。刑事事件にくわしい神尾尊礼弁護士に聞いた。

●さまざまな罪に当たる可能性が・・・

「大学が取引で大損失を出したというデマを発信することは、信用毀損罪(刑法233条前段)に該当する可能性があります」

神尾弁護士はこのように述べる。どんな罪なのだろうか。

「信用毀損罪は、『経済的な信用を傷つける行為』を処罰するというルールです。簡単に言えば、『お金に関する信用』を守るために規定されたものです。

大学にとっても、経済的な信用は重要です。リーマンショック後には、大学が金融取引で多額の損を出したというニュースが相次ぎ、世間に大きな衝撃を与えました」

もし、大学が巨額の損失を出したと聞けば、「経営は大丈夫だろうか」と不安になる人が出てもおかしくない。そうなれば、他の大学を選ぶ受験生が出てくるかもしれない。

「いまは受験シーズンを控えた時期でもありますから、あらぬ疑いをかけられる前に、大学側としては迅速な対応をせざるを得なくなったのでしょう。

こうした社会的背景や、時期的な要素なども併せて考えると、今回のようなデマが流れたことによって、大学の経済的な信用が傷付けられたと評価される可能性があると思います」

●名誉毀損や業務妨害の可能性も

神尾弁護士によると、信用毀損罪だけではなく、他の犯罪も成立する可能性があるという。

「たとえば、大学の社会的評価が傷つけられたとみれば、名誉毀損罪(刑法230条1項)が成立すると考えられます。

さらに、大学側が対応に追われることは容易に予想がつきますから、『大学の業務が妨害された』として、業務妨害罪(刑法233条後段)が成立すると考えることもできます。

刑事責任にとどまらず、民事上でも、損害賠償等の責任を負う可能性があるでしょう」

●拡散した人の責任は?

それでは、発信者ではなく、リツイートやまとめサイトへの転載をした人はどうだろうか。デマを拡散する行為と言えそうだが・・・。

「今回の情報をリツイートしただけなら、即、罪に問われるおそれは低いと思われます。デマの内容が一見もっともらしいので、拡散は過失にとどまると思われることなどが、その理由です。

ただし、リツイートであれば問題ないというわけではありません。たとえば、民事の判決ではありますが、転載行為について『より広範に情報を社会に広め、社会的評価をより低下させた』として、プロバイダに対する発信者情報の開示を認めた裁判例があります(東京高判平成25年9月6日)。

こうした裁判例の理屈からいうと、リツイート自体が罪に問われる可能性があることを、肝に銘じておく必要があるでしょう」

神尾弁護士はこのように述べていた。

ショッキングな情報に接した場合、鵜呑みにして反応するのではなく、落ち着いて確かめることが重要になってきていると言えそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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