8081.jpg
仕事でミスをすると「私だけ」が反省文を書かされる…これってパワハラ?
2016年08月08日 00時00分

仕事でミスをすると、自分だけ反省文を書かされるのはパワハラではないでしょうかーー。こんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者によると、経理関連の業務で、他の人も同じようなミスをしているにもかかわらず、相談者だけが反省文を書くようにいわれています。さらに、他人から引き継いだ業務に間違いがあった場合についても、反省文を書くよう指示されているそうです。

相談者は「本当に書かなきゃいけないのか、納得できません」と不満に思っています。特定の社員だけに反省文を書かせることはパワハラに当たるのでしょうか。中村新弁護士の解説をお届けします。

仕事でミスをすると、自分だけ反省文を書かされるのはパワハラではないでしょうかーー。こんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者によると、経理関連の業務で、他の人も同じようなミスをしているにもかかわらず、相談者だけが反省文を書くようにいわれています。さらに、他人から引き継いだ業務に間違いがあった場合についても、反省文を書くよう指示されているそうです。

相談者は「本当に書かなきゃいけないのか、納得できません」と不満に思っています。特定の社員だけに反省文を書かせることはパワハラに当たるのでしょうか。中村新弁護士の解説をお届けします。

●業務の適正な範囲を超えたかどうか

パワーハラスメント(パワハラ)は、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されています。

今回のケースの場合、反省文の提出を求めることが、「業務の適正な範囲を超えた」指導に当たるかどうかが問題となります。

上司が部下に対して、業務上必要な注意・指導を行うことは当然違法とはなりませんが、口頭での注意にとどまらず、反省文の提出まで求めることは、対象者の「意思の自由」ともかかわるため、反省文を書かせる必要性や反省文の内容については、上司の側に一定の配慮が求められます。

●自分だけが反省文の提出を求められる場合

まず、「他の人も同じようなミスをしているにもかかわらず」相談者のみが反省文の提出を求められている点ですが、ミスの内容のみならず、ミスの頻度、ミスをしたことについて口頭で注意を受けた場合の態度などについて、相談者と他の従業員とで違いがないにもかかわらず、相談者のみに反省文の提出を求めている場合は、特定の従業員へのねらい打ちとして、業務の適正な範囲を超えたパワハラ行為と評価される可能性が高いと思われます。

その一方で、ミスの頻度などについて、相談者に何か特有の事情があるのであれば、反省文の提出を求めることも適正な範囲の指導と評価される余地があります。

ただし、その場合も、上司が求める内容をそのまま書き写すよう、しつこく求めるなど、反省文の提出の求め方に行き過ぎた点があれば、パワハラと評価される可能性があります

●他人のミスで反省文を求められた場合

次に、「他人から引き継いだ業務に間違いがあった場合についても反省文を書くよう指示されている」点については、他の従業員のミスについて、相談者が反省文を書かされる理由はありません。自分のミスでないことを相談者が説明したにもかかわらず、反省文の提出を求められた場合、上司の行為はパワハラと評価される可能性が高いでしょう。

なお、使用者(会社)側は、反省文の提出を求めざるを得ない場合も、求める反省文の内容について注意すべきです。ただ漫然と「反省する、謝罪する」という内容の文面を求めた場合、業務上の必要性に疑義が生じる可能性があるので、ミスの内容や、今後同じミスを繰り返さないため心がけようと思っている点などを具体的に示させるようなテンプレートを用意し、必要な範囲で記述させるなどの工夫をすることが望ましいでしょう。

(弁護士ドットコムライフ)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る