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コンプラ違反で降板、国分太一さんは記者会見を開くべきか?日テレの"説明なき会見"が浮き彫りにした問題の本質
2025年06月24日 11時31分
#日本テレビ #TOKIO #国分太一 #コンプライアンス

TOKIOのメンバーで、タレントの国分太一さんをめぐり、日本テレビは、過去にコンプライアンス上の問題が複数確認されたとて、出演番組「ザ!鉄腕!DASH!!」の降板を発表した。

日本テレビの福田博之社長は記者会見で報道陣の取材に応じたが、「プライバシー等の観点」を理由に詳細の説明は避けた。

危機管理・メディア対応にくわしい河西邦剛弁護士は「企業のリスク管理としては適切だった」と評価しつつ、本人の説明責任の重要性も指摘する。河西弁護士に聞いた。

TOKIOのメンバーで、タレントの国分太一さんをめぐり、日本テレビは、過去にコンプライアンス上の問題が複数確認されたとて、出演番組「ザ!鉄腕!DASH!!」の降板を発表した。

日本テレビの福田博之社長は記者会見で報道陣の取材に応じたが、「プライバシー等の観点」を理由に詳細の説明は避けた。

危機管理・メディア対応にくわしい河西邦剛弁護士は「企業のリスク管理としては適切だった」と評価しつつ、本人の説明責任の重要性も指摘する。河西弁護士に聞いた。

●日テレは「人権保護」に振り切った判断をした

──日本テレビの記者会見をどう評価するか?

日テレの対応は、企業のリスク管理として適切だったと思います。

5月27日に事案を「覚知」したあと、約3週間で調査し事実関係を固めて、6月18日に対象者である国分さんに事実確認。その2日後には公表に至っており、スピード感に欠けるという印象はありません。必要な調査を十分な期間かけて実施し、適切なタイミングに公表したといえるでしょう。

ただ、問題の本質は、国分さん自身のコンプライアンス上の問題行為にあります。本来であれば、マネジメント会社が本人に事実確認をおこなって、公表するべき事案です。テレビ局とマネジメント会社の役割分担としても、説明責任はまずマネジメント会社にあったと考えられます。

今回は、日本テレビの関与する領域で事案が申告されたため、同局が先に記者会見を開くのはやむを得なかったとはいえ、その後も、国分さんサイドからの十分な説明がなかった点は課題でしょう。

──会見では「プライバシー保護」が繰り返されて、内容が何もわからず、会見の意味があったのかという疑問の声が出ていた。

記者会見を開いたこと自体に意味があったと思います。たとえ詳細を語れなくても「言えないことを言えない」と明示することが、企業のリスク管理として一定のメッセージになるからです。また、会見で「日テレ関係者が加害者側として関与していることはないこと」や「国分さん個人の問題であること」が強調されていたと思われます

総じて、日テレは"人権保護に振り切った"判断をしたとみています。被害者的な立場の人や関係者のプライバシーを守ることは極めて重要で、たとえ世間に伝わらなくても、関係者の間では断片的な情報から個人が特定されてしまうリスクがあります。

だからこそ、批判を覚悟で、リリース以上の情報開示は控えたわけです。その先の説明は、国分さんサイドに委ねたともいえます。

●日テレのガバナンスは信用されていたとみられる

──国分さんは記者会見を開くべきか?

国分さん、あるいはマネジメント会社が、記者会見を開いて説明すべきと考えます。特に、国分さんが他局や他の仕事現場で、同種のコンプライアンス上の問題行為を起こしていなかったかどうかは、明確に発信すべき情報です。

今回の発表で、他局も国分さんに関する調査をせざるを得ない現状になっていると思います。本来であれば、マネジメント会社やエージェント会社が国分さん本人にヒアリングし、率先して情報を公開すべきでした。

しかし、現状は、国分さん側もマネジメント側も、こうした危機管理上必要な対応が十分にできていません。

TOKIOのリーダーであり、株式会社TOKIOの代表取締役である城島茂さんには、マネジメント側としての調査や説明の責任が生じます。問題が他のメンバーに飛び火しかねない以上、メンバーを守るという観点からも、国分さんが率先して記者会見を開くべきだと考えます。

──フジテレビでの中居正広さんをめぐる問題と、今回のケースとの違いは?

フジの事案では、週刊誌報道が先行し、被害者とされる元女性アナウンサーからも、フジテレビの隠ぺい体質が疑われました。

一方、日テレのケースは、週刊誌が介在はなく、関係者と日テレが直接的なコミュニケーションがとれている印象を受けます。これは、テレビ局に対する信頼の違いによるものかもしれません。それこそがフジのコーポレートガバナンスの問題だったことを示唆しています。

当時のフジには、組織としての信頼性が欠けていたために、結果として週刊誌という外部機関を通じて情報が明るみに出たのだと思います。一方で、日テレは内部で信頼関係を築き、申告を受け止めたわけです。その点において、今回の日テレの対応は一定の評価に値するといえるでしょう。

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