8336.jpg
歌舞伎町で中学生が転落死、通行人も負傷…飛び降りに「巻き込む」法的問題は?
2025年10月17日 10時57分
#オーバードーズ #トー横

東京都新宿区歌舞伎町で10月13日、女子中学生が雑居ビルから転落し、死亡した。下にいた男性も頭にケガを負ったが、命に別状はないという。

報道によると、この中学生は歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる一帯に出入りしており、事件当時、市販薬を過剰摂取する「オーバードーズ(OD)」状態だったとみられている。

詳しい経緯は明らかになっていないが、飛び降りに「巻き込まれた」かたちで通行人がケガを負うケースは過去にもある。こうした場合、法的にはどのような責任が問われるのか。冨本和男弁護士に聞いた。

東京都新宿区歌舞伎町で10月13日、女子中学生が雑居ビルから転落し、死亡した。下にいた男性も頭にケガを負ったが、命に別状はないという。

報道によると、この中学生は歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる一帯に出入りしており、事件当時、市販薬を過剰摂取する「オーバードーズ(OD)」状態だったとみられている。

詳しい経緯は明らかになっていないが、飛び降りに「巻き込まれた」かたちで通行人がケガを負うケースは過去にもある。こうした場合、法的にはどのような責任が問われるのか。冨本和男弁護士に聞いた。

●飛び降りで他人をケガさせた場合の責任

──飛び降りた本人が下にいた人にケガをさせた場合、法的責任はどうなりますか。

仮に本人が生存していた場合、刑事上は殺人未遂罪や傷害罪、過失傷害罪に問われる可能性があります。

また民事上は、不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)を負うと考えられます。

どの罪にあたるかは、飛び降りた際に本人が下の状況をどの程度認識していたかなど、具体的な事情によって判断されます。

一方で、本人が亡くなっている場合、刑事責任は問われません。

ただし、親などの監督義務者が監督を怠ったことと、本人の行為による損害との間に相当因果関係が認められる場合は、監督義務者が損害賠償責任を負う可能性があります(民法714条・709条)。

また、親が監督義務を怠っていなかったとしても、相続放棄をおこなわずに本人の債務を相続した場合には、相続人となる遺族が損害賠償責任を負うことになります。

●「オーバードーズ」状態は責任に影響するか

──中学生はオーバードーズ状態だったと報じられています。これは責任に影響しますか。

本人が自分の意思で薬を大量摂取し、その結果としてオーバードーズ状態になったのであれば、自己の行為を制御できないことを自ら招いたと評価されるため、責任が軽減されることは基本的にありません。

一方で、親などの監督義務者については、日常的に本人がオーバードーズを繰り返していたことを知りながら適切な対応をしなかった場合、監督義務の懈怠があったとみなされ、民事上の責任を問われる可能性があります。

●24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310

https://www.mext.go.jp/ijime/detail/dial.htm

●まもろうよ こころ

https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る