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「顔は覚えとる」裁判員に声掛けた元暴力団員を初摘発、「裁判員法」の仕組みと課題
2016年06月27日 10時32分

福岡地裁小倉支部で5月にあった裁判員裁判で、工藤会系の暴力団幹部の事件を審理した裁判員に対して、裁判所の外で「顔は覚えとる」などと声をかけ、脅したとして、福岡県警は6月17日、この幹部の知り合いの元暴力団員ら2人を裁判員法違反の疑いで逮捕した。

報道によると、福岡地方裁判所小倉支部で、特定危険指定暴力団、工藤会系の暴力団幹部の殺人未遂事件を審理した裁判員2人が、裁判所を出た直後、2人組の男から「あんたら裁判員やろ。顔は覚えとる。よろしくね」などと声をかけられた。

これを受けて、裁判員と補充裁判員の合わせて5人が裁判の途中で辞退した。裁判所は、予定していた判決の期日を取り消したうえで、裁判員法違反として、警察に告発していた。

裁判員法に違反した疑いで逮捕者が出たのは初めてだというが、今回はどのような容疑で逮捕されたのか。刑事事件に詳しい伊藤諭弁護士に聞いた。

福岡地裁小倉支部で5月にあった裁判員裁判で、工藤会系の暴力団幹部の事件を審理した裁判員に対して、裁判所の外で「顔は覚えとる」などと声をかけ、脅したとして、福岡県警は6月17日、この幹部の知り合いの元暴力団員ら2人を裁判員法違反の疑いで逮捕した。

報道によると、福岡地方裁判所小倉支部で、特定危険指定暴力団、工藤会系の暴力団幹部の殺人未遂事件を審理した裁判員2人が、裁判所を出た直後、2人組の男から「あんたら裁判員やろ。顔は覚えとる。よろしくね」などと声をかけられた。

これを受けて、裁判員と補充裁判員の合わせて5人が裁判の途中で辞退した。裁判所は、予定していた判決の期日を取り消したうえで、裁判員法違反として、警察に告発していた。

裁判員法に違反した疑いで逮捕者が出たのは初めてだというが、今回はどのような容疑で逮捕されたのか。刑事事件に詳しい伊藤諭弁護士に聞いた。

●「裁判の公正を保つために定められている」

「裁判員法において、裁判員に対して『請託』をした場合や『威迫』をした場合は、いずれも2年以下の懲役または20万円以下の罰金にあたる犯罪になるとされています。請託罪と威迫罪は別の犯罪です。

『請託』とは、職務に関し一定の行為を依頼すること、『威迫』とは言動をもって相手に不安や困惑を生じさせる行為を言います。これらの行為がされると裁判の公正が保てなくなることから犯罪とされているのです」

伊藤弁護士はこのように述べる。今回のケースはどう考えればいいのか。

「裁判所の外で、裁判員に対して『顔は覚えとる』『よろしくね』と声をかけることは、この裁判を有利に取りはからうようにというお願いの意味であり、また、声をかけた状況や、かけた人の風貌等から、声かけ行為そのものが裁判員を困惑させるものと判断されたのだと思われます。

なお、声かけの内容・状況しだいでは、裁判員法違反とは別に、刑法の強要罪や脅迫罪も成立する可能性があります」

裁判員を守る制度はないのか。

「現状の制度上、裁判員は、裁判中も自宅や宿泊先から裁判所に通っており、特に執務時間外には完全に外部と遮断することはできません。

今回のような事態を防ぐには、暴力団が関与する事件については裁判員裁判の対象から外すといった、制度的な対策が必要かもしれません。

ちなみに、裁判員、補充裁判員が5人辞退すると、この裁判を進めるにあたり裁判員が足りなくなります。今後新たに裁判員を選任する必要がありますが、新しい裁判員を加えた審理、評議をどのように行うのかといった点にも注目したいと思います」

伊藤弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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