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「サークラ」のせいでサークル崩壊 メンバーは賠償請求できるか?
2013年05月27日 16時50分

「サークラ」。この言葉を聞いたことがあるだろうか。「何それ?」と思った人は幸いである。出会わなくて済むなら、一生無縁でいたほうが良い相手。大学のサークルなどで暗躍し、人間関係をズタズタにする存在——。それが「サークルクラッシャー(サークラ)」だ。

典型的なのは、男ばかりの集団に「姫」が紛れ込むパターンだろう。姫とは、要は周りにちやほやされたい女性のことで、たまたま美人だったりするとタチが悪い。男どもは姫に好かれたいがために勝手に争い、気を揉み、振り回されて、疲弊していく。一度パターンに嵌まれば、あとは一直線、サークルは崩壊へ通じる坂道を転がり落ち、臨界点を迎えた瞬間、「爆発」する。

この「サークラ」、本人に悪気があると決めつけるのは早計だろうが、メンバーから見てみれば迷惑な存在には違いない。もし、サークラのせいでサークルが壊滅状態に陥ったり、消滅してしまった場合、サークラや部長に対して「人間関係を崩壊させたこと」の損害賠償を請求できるのだろうか。また、万が一、サークラの「悪意」が証明できたとすればどうか。森本明宏弁護士に聞いた。

●サークラの「悪意」が証明できれば、慰謝料もあり得るが・・・・。

「実際には、サークラや部長に対して損害賠償の請求をするのは、難しい場合が多いでしょう。『意図的に、サークルを崩壊させるための言動を繰り返している』と、外から見ても認定できるような場合でなければ、損害賠償請求の根拠となる『民法上の不法行為』とは判断し難いです。

また、サークラの存在により直ちにサークルが崩壊したのではなく、メンバー間の争いや猜疑心などが介在して、徐々に崩壊に繋がっていったという場合には、『サークラの言動』と『サークルの崩壊』という結果との間に『直接的な因果関係』が認められるといえるか、という点も問題となります」

——メンバーの「リベンジ」は叶わない願いなのか。

「ただ、『悪意』が証明できるような場合、例えばサークラが複数メンバーに対して、悪口や虚偽の事実を繰り返し吹き込み、その結果として、サークルが実際に崩壊したような場合には、損害賠償を請求できる可能性があります。こういったサークラの言動は、名誉棄損等の不法行為に該当しますので、その結果、人間関係を崩壊させられたことを根拠に慰謝料請求をすることが可能となってくるでしょう」

なるほど、わずかなチャンスはあるようだ。しかし、もし慰謝料をもらえても、いったん失われた関係性が元に戻るとは限らない・・・・。「今後は、サークラによるサークル崩壊の事案が存在するということを十分に認識し、自衛策を考えることも運営者の検討課題といえるでしょう」。森本弁護士もそう話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

「サークラ」。この言葉を聞いたことがあるだろうか。「何それ?」と思った人は幸いである。出会わなくて済むなら、一生無縁でいたほうが良い相手。大学のサークルなどで暗躍し、人間関係をズタズタにする存在——。それが「サークルクラッシャー(サークラ)」だ。

典型的なのは、男ばかりの集団に「姫」が紛れ込むパターンだろう。姫とは、要は周りにちやほやされたい女性のことで、たまたま美人だったりするとタチが悪い。男どもは姫に好かれたいがために勝手に争い、気を揉み、振り回されて、疲弊していく。一度パターンに嵌まれば、あとは一直線、サークルは崩壊へ通じる坂道を転がり落ち、臨界点を迎えた瞬間、「爆発」する。

この「サークラ」、本人に悪気があると決めつけるのは早計だろうが、メンバーから見てみれば迷惑な存在には違いない。もし、サークラのせいでサークルが壊滅状態に陥ったり、消滅してしまった場合、サークラや部長に対して「人間関係を崩壊させたこと」の損害賠償を請求できるのだろうか。また、万が一、サークラの「悪意」が証明できたとすればどうか。森本明宏弁護士に聞いた。

●サークラの「悪意」が証明できれば、慰謝料もあり得るが・・・・。

「実際には、サークラや部長に対して損害賠償の請求をするのは、難しい場合が多いでしょう。『意図的に、サークルを崩壊させるための言動を繰り返している』と、外から見ても認定できるような場合でなければ、損害賠償請求の根拠となる『民法上の不法行為』とは判断し難いです。

また、サークラの存在により直ちにサークルが崩壊したのではなく、メンバー間の争いや猜疑心などが介在して、徐々に崩壊に繋がっていったという場合には、『サークラの言動』と『サークルの崩壊』という結果との間に『直接的な因果関係』が認められるといえるか、という点も問題となります」

——メンバーの「リベンジ」は叶わない願いなのか。

「ただ、『悪意』が証明できるような場合、例えばサークラが複数メンバーに対して、悪口や虚偽の事実を繰り返し吹き込み、その結果として、サークルが実際に崩壊したような場合には、損害賠償を請求できる可能性があります。こういったサークラの言動は、名誉棄損等の不法行為に該当しますので、その結果、人間関係を崩壊させられたことを根拠に慰謝料請求をすることが可能となってくるでしょう」

なるほど、わずかなチャンスはあるようだ。しかし、もし慰謝料をもらえても、いったん失われた関係性が元に戻るとは限らない・・・・。「今後は、サークラによるサークル崩壊の事案が存在するということを十分に認識し、自衛策を考えることも運営者の検討課題といえるでしょう」。森本弁護士もそう話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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