8500.jpg
「お前の価値は1円だ」と居酒屋店長に罵倒された 「学生ブラックバイト」の実態公表
2015年04月28日 18時49分

大学教授やNPOなどでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は4月28日、厚労省記者クラブで会見を開き、過酷な長時間労働などを強いられる大学生の「ブラックバイト」に関するアンケート調査の結果を報告した。

調査を行った法政大学の上西充子教授は「ブラックバイトの学生は、店舗の都合で、勝手にシフトに入れられたり、残業をさせられたりしている。人件費を抑えようという意識が強い居酒屋バイトは、特にその傾向が強い」と述べ、特に「居酒屋バイト」を問題視していた。

大学教授やNPOなどでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は4月28日、厚労省記者クラブで会見を開き、過酷な長時間労働などを強いられる大学生の「ブラックバイト」に関するアンケート調査の結果を報告した。

調査を行った法政大学の上西充子教授は「ブラックバイトの学生は、店舗の都合で、勝手にシフトに入れられたり、残業をさせられたりしている。人件費を抑えようという意識が強い居酒屋バイトは、特にその傾向が強い」と述べ、特に「居酒屋バイト」を問題視していた。

●居酒屋バイトの90.7%が深夜時間帯に勤務

調査は2014年7月、全国27の国公私立大学で授業などの際に調査票を配布して、約4700人から回収した。その結果、76.4%にあたる3593人が大学生になってからアルバイトを経験していたことが分かった。

このうち、就業時間の記載のある学生2150人を分析したところ、「深夜時間帯(22時〜5時)に勤務がある」と答えた学生は、全体で42.8%なのに対し、居酒屋バイトでは90.7%に達した。また、現在、居酒屋バイトをしていると回答した228人のうち、「休憩が取れていないことがある」と回答した人の割合が48.2%と、全体平均24.5%の倍近くにのぼった。

さらに、深夜勤務を行っている学生は、職場から労働条件を記載した書類を渡されていない、募集内容と実態が違うなど、職場の管理が行き届いていない傾向が強かったという。

記者会見では、ブラックバイトに苦しむ学生からの労働相談に応じている「ブラックバイトユニオン」に寄せられた相談事例が紹介された。

個人経営の居酒屋で働く大学生の男性は、週5〜6日でシフトに入っている。店長にシフトを減らしたい、休みたいと告げると、「お前に休む権利はない」と怒鳴られるため、やむを得ず週5〜6日の勤務を続けている。

勤務時間は、午後7時から午前2時、休日は午前5時までで、休憩はない。しかも、営業終了後は他の店員を車で自宅まで送り届けなければならないため、仕事から解放されるのは朝7時ごろになることもあるという。男性はその後、朝10時すぎに大学へ向かうが、授業中はほとんど寝てしまっているそうだ。

男性は店長に叩かれることが頻繁にあり、さらに「お前の価値は1円だ」「お前の人生なんて塵と同じだ」などと罵倒されるため、恐怖心で店長に反論できず、理不尽な扱いを受けながらも仕方なく働いているそうだ。

●ブラックバイトを辞められない理由

明らかに不当な扱いを受けているのに、なぜ学生はブラックバイトを辞めないのか。アンケート調査を行った中京大学の大内裕和教授は、「『バイ活』『人間関係の構築』『労働の高度化』が、学生がブラックバイトを辞められない原因」と語る。

「バイトの面接では、『授業があるからあまりシフトに入れない』と言うとすぐに落とされ、10社以上平気で落ちている学生も多い。今のバイト先を辞めれば、そんな『就活』ならぬ『バイ活』でまた苦労することになる。

辞めてしまうと、人間関係を一から構築するのも大変だ。さらに居酒屋は単純作業ではなく、ある程度高度な業務を求められるので、違う職場で違う仕事のやり方を新たに覚えていくのが大変だという理由もある。

そもそも自分のバイト先がブラックだと気づかず、『他の職場も同じだ』と思っている学生も多い。ただ、ブラックバイトと気づいていても、そうした足かせのせいで、辞めて新しい職場にいくことを躊躇している学生は少なくない」

大内教授はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る