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元朝日記者・植村氏の弁護団に「大量ファクス攻撃」 東京弁護士会が非難声明(全文)
2015年02月18日 11時28分

元朝日新聞記者で慰安婦問題の報道に関わった植村隆氏の代理人を務める弁護士の事務所に、大量のファクスが送られて業務に支障が生じたとして、東京弁護士会は2月17日、「きわめて悪質、卑劣であり、断じて看過できない」と非難する高中正彦会長の声明を発表した。

植村氏は、週刊誌の記事で名誉を毀損されたとして、出版社などを訴えている。今回、大量のファクスが送られたのは、その訴訟の弁護団事務局長を務める神原元弁護士の法律事務所。2月7日の早朝から昼すぎにかけて、431枚の発信者不明のファクスが送りつけられ、メモリー容量がいっぱいになってファクスが受信できなくなったという。

声明によると、ファクスの内容は、植村氏に対する中傷や家族のプライバシーに触れるもの、慰安婦問題に対する揶揄などだった。

このような「ファクス攻撃」について、東京弁護士会の高中会長は「元記者の権利擁護に尽力する弁護士をも標的として、司法への攻撃をしていることにおいて、きわめて悪質、卑劣であり、断じて看過できない」と強く批判。「当会は、民主主義の根幹を揺るがせる表現の自由に対する攻撃を直ちに中止させるため、関係機関に一刻も早く厳正な法的措置を求めるとともに、引き続き弁護士業務妨害の根絶のために取り組む決意である」と表明している。

声明の全文は以下の通り。

元朝日新聞記者で慰安婦問題の報道に関わった植村隆氏の代理人を務める弁護士の事務所に、大量のファクスが送られて業務に支障が生じたとして、東京弁護士会は2月17日、「きわめて悪質、卑劣であり、断じて看過できない」と非難する高中正彦会長の声明を発表した。

植村氏は、週刊誌の記事で名誉を毀損されたとして、出版社などを訴えている。今回、大量のファクスが送られたのは、その訴訟の弁護団事務局長を務める神原元弁護士の法律事務所。2月7日の早朝から昼すぎにかけて、431枚の発信者不明のファクスが送りつけられ、メモリー容量がいっぱいになってファクスが受信できなくなったという。

声明によると、ファクスの内容は、植村氏に対する中傷や家族のプライバシーに触れるもの、慰安婦問題に対する揶揄などだった。

このような「ファクス攻撃」について、東京弁護士会の高中会長は「元記者の権利擁護に尽力する弁護士をも標的として、司法への攻撃をしていることにおいて、きわめて悪質、卑劣であり、断じて看過できない」と強く批判。「当会は、民主主義の根幹を揺るがせる表現の自由に対する攻撃を直ちに中止させるため、関係機関に一刻も早く厳正な法的措置を求めるとともに、引き続き弁護士業務妨害の根絶のために取り組む決意である」と表明している。

声明の全文は以下の通り。

●朝日新聞元記者の弁護団事務局長に対する業務妨害事件に関する会長声明

2015年02月17日

東京弁護士会 会長 高中 正彦

従軍慰安婦に関する記事を書いた朝日新聞元記者は現在週刊誌発刊会社等を被告として名誉毀損に基づく損害賠償等を請求する裁判を追行しているが、この裁判の原告弁護団事務局長が所属する法律事務所に、本年2月7日午前5時10分から午後0時27分までの間に延べ9件合計431枚の送信者不明のファクシミリが送りつけられ、過剰送信によりメモリーの容量が限界に達してファクシミリ受信が不能となる事件が起きた。ファクシミリの内容は、朝日新聞元記者に対する中傷、同記者の家族のプライバシーに触れるもの、慰安婦問題に対する揶揄などであった。

この朝日新聞元記者に関しては、2014年5月以降その勤務する北星学園大学に対し、学生に危害を加える旨を脅迫して元記者の解雇を迫る事件が起きており、当会ではこのような人権侵害行為を許さない旨の会長声明(2014年10月23日付け)を発出したところである。しかし、その後の本年2月にも再び北星学園大学への脅迫事件は起きている。

言うまでもなく、表現の自由は、民主主義の根幹をなすがゆえに憲法上最も重要な基本的人権のひとつとされており、最大限に保障されなければならない。仮に報道内容に問題があったとしても、その是正は健全かつ適正な言論によるべきであり、犯罪的な手段によってはならない。

今回の大量のファクシミリ送信は、いまもなお朝日新聞元記者に対する不当な人権侵害とマスメディアの表現の自由に対する不当な攻撃が続いていることを意味するだけではなく、元記者の権利擁護に尽力する弁護士をも標的として、司法への攻撃をしていることにおいて、きわめて悪質、卑劣であり、断じて看過できない。

当会は、民主主義の根幹を揺るがせる表現の自由に対する攻撃を直ちに中止させるため、関係機関に一刻も早く厳正な法的措置を求めるとともに、引き続き弁護士業務妨害の根絶のために取り組む決意である。

(弁護士ドットコムニュース)

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