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職場の「カレーテロ」被害にあった上司が「席を移動しろ」と命令ーーこれはパワハラ?
2016年03月08日 10時49分

職場でおこった「カレーテロ」事件について、Sさん(30代男性)から情報が寄せられた。ある日の昼食どき、勤務先の自席で締め切りのせまった仕事に追われていたSさん。ただよう刺激臭に周りと見渡すと、隣席の部下Mさん(30代男性)が、近所のインドカレー店で購入した「カレーライス」を美味しそうに頬張っている姿が目に入った。

そこで、Mさんに対し、「くさいよ。職場でカレーはないだろう」と声を荒げてしまった。Mさんも「いや、カレーはありでしょ。他の人も食べているし、この職場では飲食は禁じられていない」と応戦した。

2人が勤務するIT系企業は、決まった時間に食事をとるのが難しい営業マンが多いこともあり、好きな時間帯に自席で食事することが認められている。昼食をとる休憩スペースもないことから、「お互い様」の精神で、これまでトラブルに発展したことはなかった。

Sさんは結局、上司として命令で、別の場所で食べるように指示を出したが、Mさんは「納得いかないですよ。これってパワハラじゃないんですか」とつぶやきながら、不満げな表情で席を移動した。

このようなMさんの行動は、職場の環境を破壊する「カレーテロ」として禁止されて当然だろうか。それとも、上司が部下の「食事の自由」を制限することはパワハラにあたるのか。河野祥多弁護士に話をきいた。

職場でおこった「カレーテロ」事件について、Sさん(30代男性)から情報が寄せられた。ある日の昼食どき、勤務先の自席で締め切りのせまった仕事に追われていたSさん。ただよう刺激臭に周りと見渡すと、隣席の部下Mさん(30代男性)が、近所のインドカレー店で購入した「カレーライス」を美味しそうに頬張っている姿が目に入った。

そこで、Mさんに対し、「くさいよ。職場でカレーはないだろう」と声を荒げてしまった。Mさんも「いや、カレーはありでしょ。他の人も食べているし、この職場では飲食は禁じられていない」と応戦した。

2人が勤務するIT系企業は、決まった時間に食事をとるのが難しい営業マンが多いこともあり、好きな時間帯に自席で食事することが認められている。昼食をとる休憩スペースもないことから、「お互い様」の精神で、これまでトラブルに発展したことはなかった。

Sさんは結局、上司として命令で、別の場所で食べるように指示を出したが、Mさんは「納得いかないですよ。これってパワハラじゃないんですか」とつぶやきながら、不満げな表情で席を移動した。

このようなMさんの行動は、職場の環境を破壊する「カレーテロ」として禁止されて当然だろうか。それとも、上司が部下の「食事の自由」を制限することはパワハラにあたるのか。河野祥多弁護士に話をきいた。

●「カレー禁止」はパワハラか?

「厚生労働省が発表した定義によると、『職場のパワーハラスメント』とは、『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為』をいいます」

Sさん、Mさんの場合はどうだろうか?

「定義からすると、上司が非常識と考える飲食を制限することが、業務の適正な範囲を超えている場合には、パワハラになる可能性があります。

ただ、業務の適正な範囲内の制限として、飲食を制限する必要があるのか、制限するしたらどの程度まで制限するかは、各職場によって異なります。本件の場合も、一概にパワハラとは言い切れません」

そう述べながら、河野弁護士は、管理職であるSさんに対して、次のように助言をした。

「今後のことを考えると、従業員からの聞き取りやアンケートを実施するなどして、実態を把握し、職場内でのガイドラインを作成したり、オフィスの座席等の配置を工夫して、食事スペースを設けたるすること等は必要かと思います。

また、たとえ飲食の制限自体が業務の適正な範囲だとしても、声を荒げて一方的に注意するような態様の場合には、適正な範囲を超えるものとしてパワハラとなる可能性があります。


そのため、『カレーの臭いによって周囲の作業効率が下がってしまう』などの理由を説得的に伝え、お互いが納得できるような解決をはかる必要があるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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