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「ペアローン」の恐怖、縁が切れても、金は切れず…「住み続ける」選択が招く面倒
2017年12月04日 09時38分

夫婦がそれぞれ住まいの名義人となり、ローンを組んで住宅ローンを返済していく「ペアローン」。夫婦がそろって家事に取り組み、返済にも邁進する。そんな理想的な夫婦もいるはずだが、離婚する際には、厄介な火種に一変してしまう危険がある。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、離婚が決まった夫婦から、ペアローンで支払う物件をどうしたらいいのか、という相談が多数寄せられている。

たとえば、頭金と月々の返済割合に応じた所有権をもつ夫婦の場合。離婚でマンションを売却することには同意したという。しかし「できればこのまま住み続けたいと考えています」といい、「私が彼のローンを引き継ぎ、このままマンションで住み続けるために」どうしたらいいのか? と聞いている。

離婚でペアローンはどのように対処すればいいのか。森元みのり弁護士に聞いた。

夫婦がそれぞれ住まいの名義人となり、ローンを組んで住宅ローンを返済していく「ペアローン」。夫婦がそろって家事に取り組み、返済にも邁進する。そんな理想的な夫婦もいるはずだが、離婚する際には、厄介な火種に一変してしまう危険がある。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、離婚が決まった夫婦から、ペアローンで支払う物件をどうしたらいいのか、という相談が多数寄せられている。

たとえば、頭金と月々の返済割合に応じた所有権をもつ夫婦の場合。離婚でマンションを売却することには同意したという。しかし「できればこのまま住み続けたいと考えています」といい、「私が彼のローンを引き継ぎ、このままマンションで住み続けるために」どうしたらいいのか? と聞いている。

離婚でペアローンはどのように対処すればいいのか。森元みのり弁護士に聞いた。

●離婚で「ペアローン」の物件はどうなる?

「離婚する際には、夫婦の共有財産(婚姻中に夫婦が協力して増やした財産)を2人でわける『財産分与』という手続きを行ないます。具体的な項目としては、現金のほか、不動産、保険、有価証券も対象で、共働きはもちろん、専業主婦、専業主夫からも財産分与の請求は可能です。財産分与の割合は、『2分の1』が原則です」

現金なら単純に分けられそうだが、家という形ある物の場合には、どう分けるのだろうか。

「住宅の場合には、その物件の資産価値に応じて、名義や月々の返済割合とは関係なく『2分の1』で分けることになります。例外的に、各人の特有財産(結婚前からの財産など)や親からの贈与を購入資金に充てた分については、固有の寄与(財産に貢献した分)とみなして、その分を勘案して計算することもあります。

ペアローンの物件では、ローンを完済したか否か。離婚後、その住まいを手放すのか、住み続けるのかで結論は異なります。

まずローンを完済していた場合には、分与は簡単です。夫婦で共同売却するならば、売却代金を寄与割合に応じて分配します。あるいは、離婚後に夫婦の一方が保有するケースもあるでしょう。その時は、保有する側が相手に対価を支払って名義移転を受けることになります。なお、持分移転に伴う税金は、財産分与の場合、受け取る側にはかかりませんが、渡す側には譲渡所得税がかかることがあります」

●「オーバーローン」になると・・・

逆に、もしローンを完済していなかったら、財産分与はどう進めるのか。

「この場合は、複雑です。夫婦で共同売却し、ローン残額より売却代金が上回れば(アンダーローン)、売却代金からローンを支払った残りを寄与割合に応じて分配します。

夫婦の一方、例えば妻が保有するときは、夫に対価を支払って名義移転を受けて夫のローンを引継ぎます。夫が妻の連帯保証人になっているときは、夫を保証人から外す手続を金融機関に申し込んで審査を受けます。

正式な審査は離婚後しかできないことも多いため、離婚に際しては、『金融機関の審査が通らなかったら無しになる話』といった条件をつけた上で、金銭支払と名義移転、金融機関との交渉努力等を約束することがあります」

住み続ける意向があっても、離婚前には夫婦2人で支払っていたローンを全額支払うことができなければ不可能なプランではないのか。さらには、売却してもローンが残ってしまう、いわゆる『オーバーローン』になることもあるだろう。

「オーバーローンだった場合には、売却しても残ったローンを離婚後も各自が支払い続けることになります。売却せずに離婚後も当面は持ち続けることも可能ですが、どちらかが返済不能となった場合、ローンを滞納することで住宅が競売にかけられるリスクも考えられます」

離婚後も難題が残ることになりそうだ。ここまでの方法で解決できない場合でも、どうしても住み続けたいときはどうしたらよいのか。

「名義移転の対価を支払ったり、ローンを引き継いだりするだけの資力がないものの住み続けたい場合もあるでしょう。その場合には、『離婚後○年間は妻が居住する。その間、妻は夫に月○万円を支払う』といった合意をすることもあります。ただ、ずっと住み続けるのは難しいでしょう」

共働き世帯の増加もあり、ペアローンは珍しいものではなくなってきている。単独で借りるよりも借り入れ額を増やすメリットもあるだろう。しかし、離婚する際には、相当な手間がかかるようだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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