8694.jpg
浮気夫が「社宅」を解約して「妻と子」を放り出したーー身勝手な夫にどう対抗できる?
2015年05月18日 11時16分

社宅住まいの専業主婦の女性から「夫が離婚の意思を固めて、勝手に別居を始めてしまったうえ、1ヶ月以内に社宅から出て行けと言われている」との悩みが、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

騒動の発端は、夫の浮気だ。妻に浮気がバレると、夫は早々に弁護士をたて、離婚したいことやキャッシュカードの返却、さらに社宅の契約解除を通告してきたのだという。そして、妻と3人の子どもたちをおいて、勝手に1人で家を出ていった。

生活費も支払われない中、専業主婦である相談者が、3人(9歳、6歳、4歳)の子を抱えて、途方に暮れるのも当然だ。夫の身勝手と思える行動に、対抗する方法はないのだろうか。夫に家族の生活費を支払う義務はないのか。離婚問題にくわしい田村ゆかり弁護士に話を聞いた。

社宅住まいの専業主婦の女性から「夫が離婚の意思を固めて、勝手に別居を始めてしまったうえ、1ヶ月以内に社宅から出て行けと言われている」との悩みが、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

騒動の発端は、夫の浮気だ。妻に浮気がバレると、夫は早々に弁護士をたて、離婚したいことやキャッシュカードの返却、さらに社宅の契約解除を通告してきたのだという。そして、妻と3人の子どもたちをおいて、勝手に1人で家を出ていった。

生活費も支払われない中、専業主婦である相談者が、3人(9歳、6歳、4歳)の子を抱えて、途方に暮れるのも当然だ。夫の身勝手と思える行動に、対抗する方法はないのだろうか。夫に家族の生活費を支払う義務はないのか。離婚問題にくわしい田村ゆかり弁護士に話を聞いた。

●「夫に浮気されて、これではあんまりです」

「夫に浮気され、幼い子どもを3人抱えて、さらに社宅を追い出されて・・・これではあんまりですよね。ここからは交渉です」

田村弁護士はそう語る。

「不倫の証拠がどの程度あるか、財産状況はどれくらいかを把握したうえで、慰謝料はいくら請求できそうか、夫がどのくらい離婚を急いでいるか等を、まず整理してください。

また、夫が相手の女性と結婚したがっているのであれば、妻の要求に応じて、早く離婚したいはずです。また、夫が浮気したのですから、夫とその浮気相手に対して、不貞行為(不倫)に基づく慰謝料を請求できる可能性があります。

そこで、請求できるものは、積極的に請求することをお勧めします」

●「社宅の契約」は夫の一存で決められるか?

相談者は小さな子を抱えた専業主婦であり、当座の生活への不安も強そうだ。特に、社宅を追い出されると、新しい住まいの入居費から引っ越し費用、生活費まで全てを工面しなければならない。そんな相談者は、身勝手な夫に対して、どんな請求ができるのだろうか。

「まず、社宅の使用に関しては、会社と夫との間で賃貸借契約が結ばれているため、契約当事者である夫は、妻の同意がなくても賃貸借契約を解除できます。残念ですが、妻側から解約に異を唱えることはできないのです。

ただ、夫婦は婚姻から生ずる費用(婚姻費用)を分担する義務があり(民法760条)、この義務は夫婦が別居しても続きます。相談者の場合も当然、婚姻費用を請求することができます」

婚姻費用とは、日常の生活費のことだ。衣食住の費用や教育費、医療費、交際費が含まれる。では、引っ越し費用についてはどうだろうか。

「婚姻費用とは、互いの生活レベルが同等になるよう助け合う『生活保持義務』に基づくもので、家族が共同生活を保持するために必要な費用のことを言います。別居のための引っ越し費用や新しい住まいの敷金・家賃などは、家族が共同生活を保持するための費用とは言えませんので、残念ながら請求できるものではありません。

婚姻費用は一般的に、夫の収入や妻の収入、子どもの年齢等を当てはめる計算式を用いて、分担額を決定します。婚姻費用の分担額について、夫婦間での話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に調停または審判を申し立てることになります」

夫の身勝手さは「あんまり」なものだ。しかし、妻と子どもたちが新しい生活をスタートさせるため、夫のワガママに立ち向かう方法はあるようだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る